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離婚に伴う不動産の財産分与とは?

更新日:2020年06月09日
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今、日本の離婚率は約35%にも上るそうです。
 もはや離婚は他人事ではありませんね。

 では、夫婦で住んでいたマイホームなどはいったいどうなるのでしょうか。
 ここで、離婚に伴う不動産の財産分与について見ていきましょう。

離婚に伴う財産分与とは

 まず財産分与とは一体何のことなのでしょうか。
 財産分与とは、婚姻中に夫婦で築き上げた財産を、離婚に際しそれぞれの貢献度に応じて分配することを言います。
 民法768条1項にも「

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

」と定められています。
 つまりは法律上認められている権利という事になります。

 離婚における財産分与の基本は、「夫婦の財産を半分ずつに分ける」ことです。
 家庭裁判所の資料などによっても、働き方が共働き、片方が専業主婦(夫)だったとしても、大体は半分ずつになっているようです。

 財産分与の対象となる財産は、土地や建物などの不動産、預貯金、車、家財道具、有価証券や掛け捨てではない生命保険などがあります。
 そして、その財産は例えば不動産の名義人が夫で、ローンの支払いも夫がしていたとしても、「夫婦が婚姻中に築き上げた財産」として、財産分与の対象となります。

 ちなみに、結婚前に貯めた預貯金や、相続財産などは財産分与の対象とはなりません。
ただし、それらが結婚後に夫婦の協力によって価格が維持・増加した場合は、貢献の割合に応じて財産分与の対象となることがあります。

財産分与は、離婚後でも請求可能ですが、時間が空きすぎると請求できなくなる可能性があります。離婚が決まったら、財産分与についてはしっかりと話し合っておくことが大切です。

財産分与の種類

 財産分与には、「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3つの種類があります。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

 

●清算的財産分与

  財産分与の中核となるのがこの清算的財産分与です。
  「婚姻中に夫婦で協力して形成・維持してきた財産は、名義に関わらず夫婦の共有財産と考えて、離婚の際にはそれぞれの貢献度に応じて公平に分配しましょう。」というものです。
  この清算的財産分与は、あくまでもふたりの財産を公平に分けましょうというものですので、離婚原因を作った配偶者からでも請求が可能です。

 

●扶養的財産分与

  これは、離婚をした後に、夫婦のどちらかが生活に困窮してしまうという場合に、その生計を補助するといった、扶養的な目的による財産分与のことです。
  例えば離婚する際に相手方が
  ・病気だった
  ・専業主婦だった(経済力が乏しい)
  ・高齢者だった
  ・乳幼児を監護している
  などの原因で、経済的な自立が困難だったり不可能だったりする場合に認められることがあります。経済的に強い立場の配偶者が、一定額を定期的に支払うケースが多いようです。

 

●慰謝料的財産分与

  これは離婚による精神的な損害賠償を、財産分与によってしようとするものです。
  ですので、慰謝料的財産分与は、離婚原因が小さいほうからの請求しかできません。

  本来、財産分与と慰謝料は別々に請求されるものですが、離婚の原因が夫婦のどちらか一方にあることが明らかな場合、財産分与の際に慰謝料も含めることができる場合があります。裁判所もそれを認めているようです。

不動産売却を考えている場合(メリットとデメリット・リスク)

 離婚する際に、不動産を売却することを検討される方もいらっしゃるかもしれませんので、不動産の売却についても少し触れていきます。
 
 不動産の売却には、メリットとデメリットがあります。それを知ったうえで売却するかどうかの検討をするほうが良いでしょう。

 

●不動産売却のメリット

・現金化できる。
・生活合った住まいに買い替えることができる。
・維持費がかからなくなる。
・固定資産税や都市計画税などを減らすことができる。
・残り数年分の保険料(火災保険料や地震保険料など)や保証料(銀行保証料など)を、手元に戻すことができる。※ただし、不動産売却後に申請が必要です。

 

●不動産売却のデメリット

・諸費用(仲介手数料、譲渡所得税、引越費用など)がかかる。
・家賃収入などを得ていた場合はそれが無くなる。
  ・引き渡しに向けて家を綺麗にしておく必要がある。等。

 こうしてみると、メリットが多く、不動産売却をしてもいいかなと思われるかもしれませんが、不動産売却にはリスクもあります。
 
 

●不動産売却のリスク

・買主がなかなか見つからない。
・次のマイホームを買っている場合、買主が見つからなかった場合二重ローンになってしまう。
・用途に困る土地や、面積が曖昧な土地。
  ・生活スタイルやご近所づきあいの変化。
・瑕疵のある可能性が高い不動産。
・未登記の不動産。等。

これらのリスクを解消しておかないと、売却が困難になってしまう可能性があります。
不動産売却を考える際には、あらかじめリスクを解消しておきましょう。

離婚時に税金がかかる!?

 例えば贈与などを受けると、贈与税が課税されます。
 慰謝料や養育費、財産分与も同じように、贈与または収入とみなされて贈与税や所得税が課税されてしまうのでしょうか。

 離婚に伴う慰謝料や養育費、財産分与には、贈与税や所得税は課税されません。
 ただし、養育費を将来の分まで一括で受け取った場合は、贈与税を課税されてしまいます。(必要となる都度支払われるものでなく、未だ発生していない将来の分までの支払いは贈与だとみなされるようです。)

 また、過大な財産分与を行った場合には、贈与とみなされて贈与税が課税される可能性があります。

 その他かかる税金などを、財産を受ける側と与える側とでチェックしておきましょう。
 

●財産を受ける側にかかる税金

  ・婚姻前に相手側が持っていた財産を受ける場合
   →贈与税の対象となります。

  ・不動産を取得した場合
   →登記にかかる、登録免許税がかかります。
    また、譲り受けた不動産が、財産分与の価格より高額だった場合は不動産取得税がかかります(通常は財産分与で1/2を取得したとして、不動産価格の半分に対しての課税となります)。
    そして、不動産を受け取った翌年からは、固定資産税がかかります。

 

●財産を与える側にかかる税金

  ・不動産を譲渡した場合
   →譲渡所得税がかかります。
    財産分与の場合は、分与時の価格が購入時と比べて高額だった場合に課税される可能性があります。

財産分与の際、節税は可能?

 ずっと見てきたとおり、離婚時の財産分与は「夫婦の財産を半分ずつに分ける」ということが基本です。
 ですので、過大に財産分与をされた場合や、贈与税や相続税の税金逃れが目的である場合を除けば、離婚時の財産分与や慰謝料などの財産を受け取った側には税金はほとんどかかりません。財産を与える側も、場合によっては税金がかかる程度でしょうか。

 それでも、もし課税される可能性があるとしたら、節税方法はあるのでしょうか?
 そこで、4つの節税方法をご紹介いたします。

●金銭による譲渡

 金銭によって譲渡をした場合は税金が課税されません。
 金銭以外の不動産、株式や有価証券、ゴルフなどの会員権、高額な美術品などを譲渡した場合は、不動産所得税や登録免許税、固定資産税、または譲与所得税が課税されます。財産分与の際の節税がしたい場合は、可能な限り金銭で財産分与を行うと良いでしょう。

●3,000万円の特別控除

マイホームを売った場合、最高で3,000万円の特別控除を受けることができます。ただし、この特別控除は、譲渡者の配偶者や親・子などの直系血族、また生計を一にする親族に譲渡する場合には適用されません。
なので、離婚する際に、不動産を譲渡することになっている場合は、離婚をした後に財産分与を行うことで、特別控除を受けることができます。

●10年超所有軽減税率の特例

不動産を売却した年の1月1日の時点で、その土地と建物の所有期間が10年以上、かつ譲渡利益が3,000万円を超えている場合は、3,000万円を超えている部分に対して(上限6,000万円まで)、軽減税率の特例を受けることができます。
通常の長期譲渡所得税(5年超)の場合の所得税15.315%、住民税5%が課せられますが、それが所得税10.21%住民税4%に税率が軽減されます

●配偶者控除

婚姻期間が20年以上である場合、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」を受けることができます。居住用不動産を対象として、最大2,110万円の節税が可能です。2,110万円の内訳は配偶者からの贈与の配偶者控除が2,000万円、その年の贈与税の基礎控除が110万円となります。

 控除や特例を受ける場合は、様々な条件がありますので、該当するかどうかを確認する必要があります。正直かなり複雑になっていますので、弁護士さんなどに相談するほうが確実だと思われます。

まとめ

 離婚するだけでも精神的に疲れてしまいそうですが、共に築き上げてきた財産をどうするか、最後まで話し合う必要がありますね。
 大変だとは思いますが、後々もめごとにならないようにきっちり話をつけておきましょう!

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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