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共有不動産とは?共有とは何か、確定申告をしなければならないのか?

2017年08月19日 公開
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「共有不動産」をご存知でしょうか。
 共有不動産は、1つの不動産(土地や建物)を、複数人で所有している状態の不動産の事を指します。
 例えば、二人兄弟が実家を相続して、その二人が実家を共有している場合などの不動産が共有不動産に該当します。

 共有不動産を所有しているけれど、それぞれがマイホームを持っており、住む必要が無い場合などは賃貸して家賃収入を得ることも検討するのではないでしょうか。

 では、その共有不動産を賃貸する際はどのようにしたらいいのか、また、確定申告をどのようにするのかなど、共有であることにより、通常の不動産所有とどう異なるのか、詳しくみていきましょう!

共有物とは?

 まず、民法で定められた「共有物」の扱いについて知っておかなければなりません。
 民法第249条では、共有物は次のように定められています。

 

 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
 

 持分とは、それぞれの共有者が持つ所有権の割合の事を指します。
 例えば兄弟二人で法定相続分通りに相続した場合は、一人あたりの持ち分は1/2となります。
しかし、不動産については家を真っ二つに割るわけにはいきませんし、「1階は私の持ち分だからリビングは使わないで!」というわけにもいきません。物理的に持ち分に応じた使い方はできないというわけです。

そのため、民法では、共有物の変更・管理・保存を行う際には、共有者の同意が必要であるとしています。変更・管理・保存とはどのような行為なのか、また、共有者の同意はどの程度必要なのかをそれぞれみてみましょう。

●共有物の変更
  共有物の変更とは、不動産の性質や形状の変更のことを言います。
  例えば田んぼを宅地に変更する、といった行為です。
  共有物の変更をするには、共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。

  また、変更だけではなく、売却などの処分をする際も同様に、共有者全員の同意が必要となります。(自分の持ち分だけを処分することは可能です)
  これらが何故全員の同意が必要かといった理由は簡単で、この変更や売却を共有者一人が勝手に行ってしまった場合でも、その効果は共有者全員に及んでしまうからです。
  勝手に家全体の売却や解体をされてしまった、土地の地目を変更されてしまった、借金の担保に抵当に入られてしまった…ということがあれば、権利を侵害されてしまったことになります。ですので、変更や処分などの行為を行う際には共有者全員の同意が必要となる、というわけです。

 ●共有物の管理
  共有物の管理とは、性質や形状の変更をせず共有物を使用・利用・改良することです。
  例えば共有不動産を賃貸する、またはその賃貸を解約するといった行為が共有物の管理となります。
  共有物の管理をする際の意思決定については、持分の過半数の同意によって決まります(民法第252条)。共有者の過半数ではありませんのでご注意ください。(例えば3人の共有物で、Aが2/3の持ち分を持っており、BとCが1/6ずつの持ち分だった場合は、BとCが同意をしなかったとしても、Aが同意をすれば持分の過半数を超えますので、意思決定ができることになります。)

  しかし、共有不動産の賃貸借契約締結については、様々な条件があり、多くは管理でなく変更行為とみなされるようで、共有者全員の同意が必要だとされています。このあたりはかなり複雑ですので、割愛させていただきます。

 ●共有物の保存
  共有物の保存とは、共有物の修理や、不法占拠者に対する明渡請求などの行為のことを言います。
  共有物の保存は、それぞれの共有者が単独で行うことができます(民法第252条但書)。保存行為は、他の共有者が不利益を受けるわけではないことから、単独で行うことができるというわけです。

共有不動産の賃料の配分は?賃料の設定はどうしたらいい?

 共有不動産の賃料は、共有者のそれぞれの持ち分に応じて、各共有者が受け取ることとなります。もしも、賃貸借契約に自分が関わっておらず賃料が不明な時は、共有者に賃貸借契約書を開示してもらいましょう。開示を拒まれた場合は訴訟を起こす必要があります。

 賃料の設定については、近隣の家賃相場に合わせて適正なものとしましょう。
 高く設定すると入居者が決まらず、低く設定すると家賃収入が増えません。
 賃貸物件の築年数や間取り、設備や立地、マンションの場合は階数によっても賃料は異なります。わからなければ不動産業者などに相談してみるのも良いかもしれません。
 一度賃料を安く設定してしまったら、賃料を上げる事は困難です。賃料は、慎重に設定しましょう。
 
 また、共有不動産の場合、一度設定した賃料を変更する場合は「共有物の管理」に当たりますので、持分の過半数の同意が必要です。場合によっては「共有物の変更」に当たり、共有者全員の同意が必要となる場合もあります。
 通常の賃料設定よりも、なおさら慎重に決める必要があるということですね。

共有不動産を賃貸する時には確定申告が必要!

 共有不動産を賃貸する時には、確定申告をする必要があります。

 まず不動産所得(総収入金額-必要経費=不動産所得の金額)を計算します。不動産全体の所得を計算して、その後それぞれの持ち分の割合によって按分します。不動産全体の所得の計算をするには、期末の時点で決算書を作成すると良いでしょう。
 そして、確定申告はそれぞれ個人で行います。

 また、5棟10室と呼ばれる、事業的規模の条件を満たしていれば65万円の青色申告特別控除を受けることができます。この条件は、全体の棟数・室数で満たすことができますので、例えば2人で共有しているマンションが10室だった場合、1人5室の計算となるわけではなく、10室を共有しているという計算になりますので、青色申告特別控除が受けられるというわけです。

共有不動産の手続きを依頼するべき専門家は?

 共有不動産の手続きは、色々と複雑です。
 手続きを行う際には専門家に依頼をしましょう。ただし、内容によって依頼する専門家が違いますので、自分に適した専門家であるか、また、場合によっては専門家同士が連携することができるかなどの見極めが必要です。

 ●弁護士
  訴訟や和解など、すべての裁判に関する手続きを解決してくれます。
  例えば兄弟姉妹などの共有不動産ではトラブルになることが多く、トラブルになれば裁判を避けられない場合もあります。
  また、他の士業との連携もできている場合がありますので、弁護士に依頼をするのがおすすめです。

 ●司法書士
  司法書士は、主に登記(商業登記や不動産登記)に関する専門家です。
  不動産登記を行っているので、不動産の知識や民法についての知識を多く持っています。共有不動産の登記についてのトラブルや、相続などについてのトラブルの依頼をするなら司法書士が良いでしょう。

 ●土地家屋調査士
  土地家屋調査士は、不動産の表示に関する専門家です。
  表示というとわかりにくいですが、「土地や建物に関する物理的状況」の事です。
  例えば土地の地番や地積、建物の構造や床面積が表示に当たります。
  土地の分筆や合筆(土地を分けたり、くっつけたりすること)、表示の変更、隣家との境界線の確定などを行っています。
  共有不動産の分筆や合筆を行いたいとき、また境界線でのトラブルなどがあった時などは、土地家屋調査士に依頼すると良いでしょう。

 ●税理士
  税理士は、税金に関する専門家です。
  確定申告などで悩んだときは、税理士に依頼すると良いでしょう。
  ただし、相続税などについても相談したい場合は、経験のない税理士もいるため、税金や確定申告についてなど色々なことを依頼したい場合は、経験があるかどうかの確認をしておいた方が良いと思います。

 ●行政書士
  行政書士は主に役所などに提出する文書や、許認可手続きに関する専門家です。
  公正証書作成や、農地転用の許認可などをする場合には行政書士に依頼しても良いでしょう。ただし、弁護士と比べると費用はかかりませんが、できることが少なく、自分でしなければならないこともでてきます。

 ●不動産鑑定士
  不動産鑑定士は、不動産価格の算定をしてくれる専門家です。
  共有不動産の価格でトラブルになっている場合などは、不動産鑑定士に鑑定してもらうと良いでしょう。

 依頼するところによっては、弁護士や司法書士、不動産鑑定士に至るまで、様々な士業のサポートが受けられるところがあります。
 一つ一つ依頼をすることなく、まとめて相談に乗ってくれますので、そういった事務所などに依頼するというのも良いのではないでしょうか。

まとめ

 本来であれば不動産などは相続した時点で誰か一人に相続させるのが一番良い方法なのですが、様々な理由により共有状態のままにしている不動産が多いのだと言います。
 共有状態だと、簡単に物事を進めることができませんので、トラブルになりやすいのではないかと思いますが、そんな時は専門家に相談して解決していきましょう。

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