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不動産の共有持分・売却や譲渡ってできるの?

2018年03月16日 公開
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土地の所有権と持分とは

複数の土地の所有者がいると、持分割合という全体の土地に対して権利をどの程度持っているかを表示するものが必ずあります。
所有者の全ては、持分割合の権利を土地に対して持っており、制限を他の人から受けません。

しかし、持分割合でよく勘違いするのは、持分割合に比例した広さがあると考えることです。
また、持分割合とは無関係に、全体の土地を共有することであるため注意しましょう。

例えば、2人の共有名義に1つの土地がなっている場合、持分がそれぞれ2分の1ずつでも、土地そのものの扱いは1つだけになります。
土地は1つであるため、どのような広さで2人の所有者が分けるという考え方ではなく、2人で1つの土地の権利を分けるようになります。
共有名義の土地は、このような考え方であるため、売る際は全員の共有者が売ることに合意する必要があり、1人でも誰かが反対すると、土地は売れません。
土地が共有名義の場合は、土地は自分のものであると同時に、共有者のものでもあるので、1人で売ることはできません。

そして、共有者は持分があるため、持分割合とは無関係に権利を1人の所有者として持っており、自分が大きな持分割合であるということで、小さい持分割合の人の権利を妨げることはできません。
そのため、土地が共有名義の場合は多くトラブルが発生しがちです。

共有持分は売ることができる

共有している不動産の場合は、家を建てたり、売ったりする際に、全ての所有者の合意が必要なのでしょうか?
共有している不動産は、全ての所有者の合意が必要になるケースがあると、民法251条に決まっています。

共有している不動産において、全ての所有者の合意が必要になるケースとしては、土地を登記上分けるという土地の分筆、家の取り壊し、建て替えや規模の大きな改修、家の新築、不動産の売却、が挙げられます。
このように、共有している土地は、全ての所有者の合意が必要になりますが、自分の共有持分のみは売ることができると、民法206条で決まっています。

民法251条と民法206条の違いにとは?

民法251条というのは、それぞれの共有者は別の共有者の合意を得ないと共有物は変更できない、という共有物を管理する方法について決めたものです。
一方、民法206条というのは、法令の制限内において所有者は自由に所有物を使う権利、収益を得る権利、処分する権利を有する、という所有権の権利内容と制限について決めたものです。
このように、共有している全ての不動産を売る際は、全ての共有者の合意が必要になります。
それぞれの共有者の共有持分のみを売る際は、承諾を別の共有者からもらう必要はありません。

しかし、単独で家を建てたり、売ったりすることができないような不動産であれば、ほとんどの人は所有権のみは買わないでしょう。
もし、共有持分をなんとかして売るのであれば、専門に共有持分を買取する不動産業者に相談するのがおすすめです。

共有持分の適正価格って?

では、共有持分のみを売る際はどの程度の価格で売れるのでしょうか?
実際には、一般のマーケットで共有持分を売った場合、マーケットの価格の70%~80%になるそうです。
共有持分を売る価格は、評価しにくく、実際のケースが多くないそうですが、相続税路線価や競売価格が一応参考になるようです。

相続税にかかわる路線価とは?

相続税路線価というのは、贈与税や相続税を算出する時に路線価として基準になるものです。
路線という宅地が接する道路に設けられた価格の標準的なものである路線価を、基準にして評価をします。
相続税路線価は、マーケットの価格の80%程度になります。

競売価格とはどのようなもの?

競売価格というのは、長期にわたって住宅ローンを滞納すれば、債権を金融機関が回収するために競売に不動産をかけて売る価格のことです。
競売価格は、マーケットの価格の70%程度と言われています。
売る価格がこのように安くなるのは、共有持分のみを買っても不動産を単独で処分することができないためです。

3000万円の特別控除の特例とは?

自分が住んでいる家を売った場合、特別控除の特例によって譲渡所得は3000万円まで課税されません。
ここでは、この3000万円の特別控除の特例についてご紹介しましょう。
この3000万円の特別控除の特例は、マイホームを売った際に適用になるものです。

3000万円の特別控除の特例の概要

3000万円の特別控除の特例は、居住用財産のマイホームを売った場合、所有期間が長いかどうかとは無関係に、最高3000万円まで譲渡所得から控除できるものです。

3000万円の特別控除の特例が受けられる適用条件

3000万円の特別控除の特例が受けられる適用条件としては、次のようなケースが挙げられます。

・自分が暮らしている家を売ったり、家と一緒にその借地権や敷地を売ること

なお、売る期限としては、家や敷地が以前に暮らしていたものの場合は、暮らさなくなった日から3年目になる日がある年の12月31日までであることが必要です。
また、暮らしていた家あるいは暮らさなくなった家を取り壊しする際は、家を取り壊した日からその敷地の譲渡契約が1年以内に結ばれ、しかも、売る期限は暮らさなくなった日から3年目になる日がある年の12月31日までであること、および、譲渡契約を家を取り壊して結ぶ日まで、その他の貸駐車場などにその敷地を使っていないこと、の2つの条件に該当することが必要です。

・この3000万円の特別控除の特例を、売った年の前々年および前年に受けていないこと

なお、この3000万円の特別控除の特例を「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によって受けている場合は対象外になります。

・マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例、あるいは、マイホームの交換やマイホームの買換えの特例の適用を受けていないこと

・売った家や敷地に関して、別の特例の収用などの場合の特別控除などを受けていないこと

・災害によって無くなった家の場合は、売る期限がその敷地に暮らさなくなった日から3年目になる日がある年の12月31日までであること

また、売る期限としては、家が東日本大震災によって無くなった場合は、震災が起きた日から7年になる日がある年の12月31日までになります。
詳しいことについては、「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)」を確認してみましょう。

・買い主と売り主の関係が、夫婦や親子などのように特別なものでないこと

特別な関係としては、これ以外にも、一緒に生計をしている親族、家を売った後その売った家で一緒に住んでいる親族、内縁関係の人、法人として特殊な関係があるところなども含まれます。

3000万円の特別控除の特例が適用されない条件

3000万円の特別控除の特例は、次のような場合は適用されません。

・この3000万円の特別控除の特例を受けることのみのために住んでいると認められた家

・仮住まいとして居住用家を新しく建築する期間のみを使用した家、これ以外のために一時的に住んでいると認められた家

・主に娯楽、趣味、保養などのために持っている別荘などの家
なお、3000万円の特別控除の特例の適用は、一人ひとりの所有者が対象になります。

しかし、先にご紹介したように、3000万円の特別控除の特例は、家と一緒に借地権や敷地を売ったり、自分が住んでいる家を売ったりする際に適用されます。
そのため、土地のみを売る際は、3000万円の特別控除の特例は適用になりません。
つまり、所有しているのが共有あるいは単独所有の土地のみであれば、3000万円の特別控除の特例の対象にはなりません。

しかし、土地のみを共有あるいは単独所有している人が、同居家族のように家を所有している人と一緒に生計をしている場合は、家を所有している人から控除ができなかった残りの部分に限定して、3000万円の特別控除の特例が適用されます。

 

共有持分を売却後、税金はどうなる?

共有している不動産を売った場合でも、基本的に、所得税の税率や計算する方法は1人の所有者の際と同じになります。
なお、所得税の税率や計算する方法については、ネットなどで紹介されているため確認してみましょう。

では、共有持分のみを売った時はどのように所得税がなるのでしょうか?
有償で共有持分を譲った時に譲渡益が出た場合は、約20%の譲渡所得税が譲渡した人に課税されます。
譲渡する際はどの程度で売るかが大切ですが、譲渡額が非常に時価より安い場合は、贈与税が譲渡所得税以外にも課税される可能性があるため注意しましょう。
つまり、共有持分を売る場合も、一般的な不動産取引と考え方は同じになります。

 

住宅ローンが残った共有持分

連帯債務で共稼ぎの夫婦がマイホームを買うことも多いでしょう。
では、このような場合に夫婦がもし離婚すればどのように共有持分はなるのでしょうか?
夫婦が離婚する際に土地や家の共有持分を検討する場合は、大まかに分類すると、住宅ローンが家を売って完済できるケース、住宅ローンが家を売っても完済できないケースに分けて考える必要があります。

住宅ローンが家を売って完済できる場合

住宅ローンが家を売って完済できるケースは、夫婦で残ったお金を分けるようになります。
この際、基本的に、夫婦の共有持分割合とは無関係に、残ったお金を折半にします。
例えば、3000万円のマイホームを、2400万円は夫、600万円は妻がそれぞれ住宅ローンを組んで買ったとしましょう。

つまり、夫と妻の持分割合は夫が8、妻が2になります。
夫婦は25年後に離婚するようになって、1200万円の住宅ローンの残債と1200万円の不動産の売却額があり、200万円が差し引き手元に残るとしましょう。
資産を離婚によって分ける場合は、基本的に、夫婦が折半になるため、取り分としては夫が100万円、妻が100万円にそれぞれなります。

住宅ローンが家を売って完済できるのであれば、離婚する際に家を売って住宅ローンを完済した上で残ったお金を分ける場合が多くあるようです。
離婚した後に共同で夫婦が作った財産は、基本的に、持分割合とは無関係に折半します。
ここでご紹介したケースでは、残った200万円の中から折半した100万円を受け取る権利があります。

住宅ローンが家を売っても完済できない場合

住宅ローンが家を売っても完済できないケースは、家の価値が無い、つまり財産が無いため、資産は分けることができません。

例えば、1500万円の住宅ローンの残債があるが、家を売ったとしても1000万円というような場合は、住宅ローンの残債が500万円になります。
そのため、資産は分けられません。

夫が、折半に住宅ローンの残債をして欲しい、あるいは妻が連帯債務を住宅ローンで負いたくない、などというような主張は通りません。
住宅ローンの契約は金融機関と取り決めしたものであるため、それぞれの夫婦の債務が離婚した後でも続きます。

財産分与の対象に住宅ローンの残債はならなく、ローンを利用した保証人や名義人は責任をそのまま負うようになります。
住宅ローンが家を売っても完済できないような場合は、住宅ローンの残債をどのようにして誰が返済するかを協議して、自己破産などを返済がどうしてもできなければ検討するようになります。
共有持分のみを売りたいと考えても、買い主はまずいないでしょう。
共有不動産の持分を売る場合は、話し合いを素人のみで行っても解決できないことが多くあります。
そのため、可能な限り早めに、専門の不動産業者や弁護士などに相談するのがおすすめです。

 

不動産の共有持分・売却や譲渡についてのまとめ

ここでは、土地の所有権と持分とは、共有持分は売ることができる、共有持分の適正価格って? 3000万円の特別控除の特例とは? 共有持分を売却後、税金はどうなる? 住宅ローンが残った共有持分、住宅ローンが家を売って完済できる場合、住宅ローンが家を売っても完済できない場合、についてご紹介しました。
複数の土地の所有者がいると、持分割合が必ずあります。

それぞれの共有者の共有持分のみを売る際は、承諾を別の共有者からもらう必要はありません。
有持分のみを売る際の価格は、実際には、一般のマーケットで共有持分を売った場合、マーケットの価格の70%~80%になるそうです。
共有している不動産を売った場合でも、基本的に、所得税の税率や計算する方法は1人の所有者の際と同じになります。

住宅ローンが家を売って完済できるケースは、夫婦で残ったお金を分けるようになります。
住宅ローンが家を売っても完済できないような場合は、住宅ローンの残債をどのようにして誰が返済するかを協議して、自己破産などを返済がどうしてもできなければ検討するようになります。

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