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第三者のために契約する業者「三為業者」とは?

2018年04月10日 公開
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不動産の専門用語に「三為(さんため)業者」というのがありますが、ご存知の方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか?
 専門用語ですので、不動産に深くかかわることのない方は聞いたことのない方も多いのではないでしょうか。
 この三為業者ですが、インターネットで検索したらあまり良いように書かれていません。

 一体三為業者とはどんな業者なのか、どのようなことを行っているのか、詳しく調べてみました。

まず知っておきたい「第三者契約」

まず、「第三者契約」について知っておかなければならないでしょう。
第三者契約とは、当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約のことを言います。
例えば、A(売主)がB(買主)と物の売買契約を結んだ場合、AはBに物を渡す義務が発生し、BはAに代金を支払う義務が生じます。
通常の売買契約はこの相互間の契約となりますが、この契約において、Bが代金をAに支払わず、Aの債権者であるCに支払う契約だった場合は、代金を第三者であるCに給付する約束をした契約となりますので、この契約は第三者契約となります。
 Cは、この契約が成り立つと、直接Bに代金の支払いを請求できるようになります。

三為業者とは?

 さて、では本題の三為業者とは何かということですが、不動産を「第三者の為に契約する業者」の事で、簡単に行ってしまえば転売業者の事です。
 通常、不動産を業者が買った後に別の買主にその不動産を売却する場合は、所有権は売主→不動産業者→買主となりますので、不動産の所有権を2回変更しなければなりません。
 かつて転売する際には、所有権を業者を介す事無く売主から買主に移す「中間省略登記」がなされていました。現在では中間省略登記は法律により禁止されています。
 しかし、中間省略登記は、第三者契約を結ぶことにより合法的に行うことができます。
三為業者は、合法的に中間省略登記を行う業者の事を指します。

三為業者を省略?「中間省略登記」

 では「中間省略登記」についてもうすこし詳しくみていきましょう。

 不動産の所有権を移す登記を「所有権移転登記」と言います。
 不動産の所有権を、売主Aから不動産業者Cへ、そして不動産業者Cから買主Bへと移す場合は、該当する所有権の所有権移転登記は“売主A→不動産業者C”のものと“不動産業者C→買い主B”の二つの登記が登記事項証明書(昔でいう登記簿謄本)に記載されます。

 しかし中には、ABCが話し合いをして、“売主A→買主B”の所有権移転登記だけを行う場合があります。中間省略登記とは、このような場合の登記のことを言います。つまり、中間に不動産業者Cが入っている実情が反映されないものなのです。

 平成17年3月以前の旧不動産登記法が適用されていた時代は、登記申請をする際にきちんと書類を提出すれば、実際は第三者Cが中間に入っている所有権移転であっても、売主Aと買主Bだけが出てくる登記申請も受け付けられていました。
そして裁判所でも、所有権は現在の所有者である買主Bになっているため、ABC全員の合意によって行われた中間省略登記は過去の判例によって有効であると判断していす。

しかし、不動産登記法が改正され、提出書類の内容に変更があり、所有権が売主A→不動産業者C→買主Bへと移転したという情報の書類を添付しなければならなくなったため、中間省略登記の申請はできなくなりました。

 では、三為業者は成立しないじゃないか、という話になりますが、決してそうではありません。
 法務省は、次の形での所有権移転登記が可能であるとしています。
・第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権移転登記
・買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転登記

 要は売主Aから買主Bに所有権移転をさせるために、不動産業者Cが関与するケースの売買契約は、ABCの三者が関与する取引ではあるが、“売主A→買主B”の直接の所有権移転登記を認めるというものです。「新中間省略登記」と呼ばれることもあるそうです。

三為業者に依頼するメリット

 三為業者についてわかりましたが、三為業者に依頼するメリットとは一体どの様なものがあるのでしょうか?

 ●金融機関で融資付けされているケースがある
  これが三為業者から購入をする場合の最大のメリットです。
  通常の不動産取引の場合は、物件価格は売主が決めます。そのため金融機関からの融資額は、物件価格を超えることはありません。そのため、登記費用や仲介手数料などは買主が負担することになります。
 
一方、三為業者に依頼をすると、物件価格は業者の任意によりますので、フルローンやオーバーローン(※)に期待することができます。買主に物件を紹介した時点で、既に提携金融機関などで融資評価を受けていることが多いからです。
例えば三為業者が銀行に向けて物件価格を3,000万円で設定していた場合に、銀行の担保評価が3,000万円以上の価値であれば、物件価格の3,000万円融資してくれる場合があります。
このケースで買主に対する売却額が2,900万円だったとしたら、100万円オーバーした融資ということになりますので、この100万円を買主にキャッシュバックするというわけです。
  このキャッシュバック分で登記費用や仲介手数料を支払うことができるので、実費の負担は少なくて済みます。

  ※フルローン…不動産の購入金額を全額金融機関から融資してもらうこと
   オーバーローン…フルローンに加えて諸費用まで含めた金額を融資してもらうこと

 ●瑕疵担保責任は三為業者に請求
  瑕疵担保責任というのは、売買する物件に隠れた欠陥(瑕疵と言います)があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。実際に負う責任としては、瑕疵の修復や、損害が発生した場合には損害金を支払うことなどがあります。
この瑕疵担保責任ですが、一般の売主から仲介で不動産を購入した場合は、契約によって免除されていることが多いようです。それが三為業者からの購入した場合は、売主が不動産業者となり、宅建業法によって購入から2年以内(特約がある場合は2年以上になることもあります)であれば、瑕疵担保責任を請求することができます。

瑕疵担保責任を重視する場合は三為業者からの購入が安心でしょう。

 ●リフォームなどの手間が省ける
  一般の売主が売却する場合は、リフォームや修繕のために売却価格を高めに設定しなければなりませんが、三為業者からの購入をする場合は、ビジネスとして他にも何件もリフォームをしているので、一般の売主よりも費用が安く抑えられます。
  三為業者がリフォームもしてくれますし、内覧のために掃除をするなどの手間も省けるというわけです。

 ●その他
  ・直接不動産業者が買い取るので、成約までに時間がかからない。
  ・仲介ではないので、仲介手数料がかからない。
  ・仕入れに強い不動産業者であれば、安く購入できる場合がある。

 これらが三為業者に依頼するメリットになります。

三為業者に依頼するデメリット

 メリットがたくさんあるにも関わらず、三為業者が良いように言われないのはなぜなのでしょうか?
 それはやはりデメリットがあるからでしょう。
 メリットで「安く購入できる場合がある」としましたが、このメリットは買主側のメリットです。つまり、売主側は安く買われてしまうということです。
 三為業者の買取価格は、相場の7~8割であると言われています。理由は簡単で、転売目的での買取なので、安く仕入れて転売しないと儲けが出ないからです。
 仲介業者に依頼した場合は、基本的には相場で売却されますので、メリットがたくさんある三為業者に依頼する人がそう多くないのはこれが理由です。
 最近では仲介手数料を無料や半額にする不動産業者もいるため、この点でも三為業者に依頼をするメリットはあまりないと言えます。

起こり得るトラブルとは?

 三為業者に依頼することにより、中間省略登記をすると、登記費用を抑えることができます。そのため、先ほど挙げたメリットや、登記費用を抑えようとする場合は三為業者に依頼することを考えている方もいらっしゃるかもしれません。
 ただし、この中間省略登記をすることによってトラブルが起こることも考えられます。

 例えば売主と買主が直接やり取りをするわけではないので、売主と三為業者の間での売買価格は買主にわからないことがあります。売主から5,000万円で三為業者が買った物件を、三為業者が6,000万円で買主に売るなど、金額を上乗せして売られているということは多くあるそうです。転売だからそうですよね。
 三為業者を介して買う方には投資家の方が多いそうですので、例のように金額を上乗せされてしまうと、三為業者が買った時点では10%を超える利回りだった物件が、買主が買った時点では利回りが10%を切ってしまうといったトラブルが起こるというわけです。

まとめ

 早く売りたいときや投資物件を考えているなど、場合によってはメリットがたくさんあるので利用したい三為業者ですが、美味しい話にはやはりデメリットやトラブルもつきものですね。利用するときには、しっかりと吟味をしてからのほうがよさそうです。

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