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ローン分割、共有不動産にかかわる分割問題

更新日:2020年10月13日
ローン分割、共有不動産にかかわる分割問題のアイキャッチ

不動産にローンはつきもの?

不動産の住宅を買う場合には、住宅ローンをほとんどの人が利用しています。
いくつもの種類が住宅ローンにはあるため、自分の状況やニーズに適したものを選択することが大事です。
住宅を買う費用を自己資金のみで賄えるのは少数の人です。
住宅を買う資金を、住宅ローンを利用することによって確保しています。

自分の希望に合う住宅ローンを選択する

住宅ローンについては、銀行だけでなく、保険会社やいろいろなノンバンクと言われる金融機関などが競合しています。
激しい競争もあり、どの融資機関も住宅ローンの特徴をアピールするために、メニューをいろいろ準備しています。
そのため、住宅ローンはどこのどのようなものを選択するといいか、ということがまず大事になります。

このような視点で多くの広告を見てみれば、住宅ローンとしてさまざまなものがあるが、違いはそれほどないのではないか、というように思うかもしれません。

しかし、住宅ローンによって、申込資格、金利、返済期間、返済方法、手数料など、大きな違いがメニューごとにあります。
それぞれの住宅ローンの内容をチェックして、できるだけ自分の希望に合うものを選択しましょう。

住宅ローンはメニュー選びが大事である

住宅ローンとしては、公的なものと民間の銀行などのものがあります。
しかし、現在は、公的なものは、一部の自治体などのものと財形住宅融資だけであり、民間のものがほとんどを占めています。

民間の住宅ローンのメニューは、住宅を買う人に応じて、細かな違いを金利の仕組みなどに出して、さらに利用条件や申込資格などを組み合わせたものが多く、金融機関の1つのみでも住宅ローンは相当数あります。

そのため、住宅ローンの場合は、メニュー選びというどのような融資機関のどのような種類にするかというものが大事になります。
住宅を買う場合には、住宅ローンを返済している途中で、大きな事故や病気などのためにもし収入が無くなればという心配があるでしょう。

借入金を返済する際のことを、住宅ローン選択する際にはぜひ考えておきましょう。
どの程度借入できるかという借りる人の要望は、どの程度返済できるかという融資する金融機関の審査で決まります。
これは大切なことであるため、ぜひ覚えておきましょう。

分割融資

住宅ローンは、住宅を買うためのみに払われるため、一般的に、1回だけ払われます。
しかし、土地をまず買って、後から住宅を建築するような場合は、融資は1回のみでは対応することができません。

一般的に、初めに土地を買う代金を払う必要があるため、この際に1回目の融資を受け、住宅が完成した際に2回目の融資を受けるようになります。
このような融資のスタイルを、分割融資、あるいは分割実行と言います。

分割融資は、別々に建物と土地を買う場合などによく使われていますが、この他に複数に分けて建築業者へ払う必要がある場合に使われることもあります。
しかし、分割で住宅ローンを融資するかは、個別に金融機関が決めており、融資回数の制限も違っているでしょう。
建築業者としても、工事の進み具合で払うことを要求する場合があるため、融資元を選ぶ場合は十分に調査してから決定しましょう。

なお、つなぎ融資という借入が住宅ローンの融資を受ける前にできるものもあります。
つなぎ融資の場合は、住宅ローンとは違って、住宅を買うために別に融資の短期間のものを必要な資金として受けるようなものです。
そのため、住宅ローンの控除対象につなぎ融資はなりません。

また、高めに金利もなっており、基本的に、資金が必要な時期に利用するためのものです。
分割融資の場合は、それぞれの複数の融資を、長期間に渡って低い金利で返済することができます。

そのため、できるだけ分割融資を使う方が、トータルの利息は少なくなるでしょう。

住宅・不動産の遺産相続での分割方法

遺産分割の方法としては、現物分割、換価分割、代償分割があります。
現物分割というのは、財産を相続する人を個別に決めて、遺産をそれぞれの共同相続人に分割するものです。

例1:3つの不動産がある場合は、不動産ごとに、妻、長男、長女などというように決めるものです。

遺産分割の目的は、相続が生じることによって、相続財産が共同相続人同士で共有不動産になっている状況を無くすことです。
共有不動産の状況になっていると、不動産を処分したり、利用したりする場合に、全員の共同相続人の了解が必要になります。

しかし、現物分割することによって、それぞれの共同相続人の財産が特定の人のものになって、それぞれの相続人が不動産を処分したり、利用したりすることが自由にできるようになります。
また、現物分割の場合は注意することもあります。

例2:土地が広い場合には、分割が分筆することによってできます。

3人の相続人がおり、相続分も同じ場合は、3つに土地を分筆して、それぞれの相続人が取得することがあります。

しかし、同じ面積で分けた場合でも、道路条件や画地条件などが違うことによってそれぞれの土地の価格が違ってきて、不公平感が相続人間で出ることがあります。
このため、分筆する場合は、土地価格が分筆した後にどのようになるかも注意する必要があります。
遺産を現物分割によって分割する場合は、土地の価格のバランスがそれぞれの相続人が取得するもので良くなくて、不公平感がそれぞれの相続人で生じることが多くあります。

例3:同じ相続分を長男と長女が有しているが、収益マンションの3億円のものを長男が取得し、田舎の300万円の更地を長女が取得するようなこともあり得ます。

このような場合は、長男が代償金などで長女に補填するといいでしょう。

困ったときの代償分割

基本的に、遺産分割としては、先にご紹介したように、現物分割、換価分割、代償分割があります。
現物分割は、遺産分割として最も一般的なものです。
換価分割の場合は、まず全ての遺産を換金します。

そして、相続人でこの換金したお金を分けます。
換価分割の場合は、相続人の全てにお金が平等に渡るということになります。

しかし、遺産として残っている住宅に住み続ける人がいれば、換価分割に賛成しないことがあります。
換価分割がこのようにできない場合は、代償分割が役に立ちます。
代償分割の場合は、残った財産を複数の相続人の中の特定の人が相続します。
別の相続人に対して、この相続人が金銭の相応のものなどを渡すものです。

例えば、遺産の住宅を1人の相続人が相続する代わりに、別の相続人に2000万円を代償金として払うようなものです。

代償分割が利用される場合とは?

代償分割が利用されるのは、遺産分割が別の分割方法では全員の相続人が満足できるものがない場合です。
遺産に預金や現金がなっていると、不満がどの相続人からも出る場合はなくて、法定相続分の比率をベースに相続を平等に行うことができます。

しかし、遺産が分けにくい、自宅・住宅、事業用地、農業用地、自社株、不動産などのような場合はトラブルが発生します。
このような遺産は、例えば、もともと遺産の自宅に住んでいるなど、相続人の特定の人が必要な場合が考えられます。

そのため、単純に財産を分割するのが困難で、平等性のみを考慮して財産を法定相続分の比率で分割すると、売る際などにトラブルになる恐れがあります。
また、代償分割の場合は、このような遺産を特定の1人の相続人が相続する代わりに、相応の代償金を別の相続人に払うということで不公平感が相続人間で出ないようにしています。

代償分割は、一般的に、主な遺産が自社株や不動産の農地・自宅・事業用地などの場合に利用されます。
自社株や不動産を分割すると、将来的に管理したり、売ったりするなどの際に不都合が出る恐れがあるため、広く代償分割が利用されています。

代償分割で注意すること

代償分割で注意することについてご紹介しましょう。
代償分割を遺産分割協議書には明記する必要があります。
遺産分割協議書というのは、話し合いが遺産相続についてまとまった場合に作るものです。
遺産相続について、全員の相続人が了解したという記録として客観的なものを残すことによって、トラブルが相続した後に起きるのを防ぐ効果があります。

また、遺産分割協議書を相続税の申告書と一緒に提出することが必要であるため、必ず作りましょう。
代償分割の場合は、必ず代償金を払うということを書く必要があります。
もし書いていない場合は、一般の贈与と見られてしまって、贈与税がかかる恐れがあるため注意しましょう。

贈与税というのは、財産を贈与された人に課税されるもの

贈与税が代償分割の場合はかかる恐れがあります。
基礎控除が年間に110万円以内の場合はあるため、贈与税がかかる場合はありません。

しかし、年間に110万円をオーバーする場合は、贈与税を金額によっては払うことが必要です。
代償分割の場合は、基本的に、手続きをきちんと行うと相続税のみが対象になります。
また、代償分割について遺産分割協議書の中に書いていない場合は、贈与に代償金を払うことがなると判断されてしまって、贈与税がかかる恐れがあります。

基本的に、贈与税として払う必要がないものがかからないように注意しましょう。
現金でなくても、代償分割の場合は問題ありません。
一般的に、代償分割の場合の代償金は多くの場合が現金です。

しかし、了解が相続人同士でとれていると、代償金として権利や土地などを取り扱うことができます。
この場合は、現金を払う代わりに権利や土地などを取り扱ったということを、必ず遺産分割協議書に書いておきましょう。
もし書いていない場合は、譲渡所得税がかかる恐れがあるので注意しましょう。

代償分割の場合に代償金を確実に払わせる方法

代償分割は、つまり遺産を特定の相続人に相続させる代わりに、代償金を遺産を相続しない相続人に払うものです。
そのため、代償金を遺産を相続した相続人に払ってもらうことが必要です。
この際、相続人の中には代償金を払わないような人もいます。

では、どうすれば相続人は代償金を払ってくれるのか?

代償金を払ってくれない場合は、代償金を払う必要がある相続人に対して、調停を要求したり、訴訟を起こしたりする必要があります。
調停の場合は、簡易裁判所の家族間のトラブルの場合の家事調停でもできます。
調停が成り立って、金銭の払いの同時履行とすると、代償金を確実に受け取ることができます。

また、方法としては、共同相続登記を一度行った上で、共有持分移転登記手続きと代償金の払いを同時履行するものもあります。
さらに、方法としては、仮差押えするものもありますが、法務局に保証金を供託する手続きが必要であり、面倒であるためそれほどおすすめではありません。
代理人に弁護士がなっている場合は、代理人の口座に預かってもらう方法もあります。
金銭は代理人である弁護士に預かってもらっている方が、代償金が確実に払われる可能性が大きいでしょう。

代償分割のメリット・デメリット

では、代償分割はどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ここでは、代償分割のメリット・デメリットについてご紹介しましょう。

代償分割のメリット

・遺産を別の相続人に相続させないで自分が相続できる
・遺産の全てを分割しないで相続できる
・相続税が節税になることがある
・財産が相続人の一部の人のみに分割されて、不満が別の相続人に残るのが防げる
・遺産分割協議が法定相続分に近いもので成り立つようになるので、不公平感が相続人間で起きにくい
・代償金を受け取る相続人の了解が得られると、分割で払うこともできる
・分割が困難な工場や農地、家屋などの場合に利用できる

代償分割のデメリット

・相続人の全員に了解してもらう必要がある
・全ての遺産を相続した場合は、金銭的に大きな負担が代償金などを払うためにある
・代償金が遺産を全て相続した人から払われなければ、遺産分割協議を再度実施することは難しく、払うことを要求する訴訟になると手間と時間がかかる
・代償金を払う相続人は手持ちの財産や現金が必要であるため、生命保険などで相続する際の現金を確保する必要がある。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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