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任意売却と競売の違いって?メリット・デメリットを徹底比較!

更新日:2019年07月09日
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任意売却や競売など、不動産売買をする上で聞いたことがある人も多いと思います。
では、実際どんなメリットとデメリットがあるのか。比較も含めて紹介していきます。

任意売却と競売の違いって?

任意売却と競売では、次の表に示すように大きな違いがあります。

売却する方法 任意売却 競売
価格 市場の相場に近い 市場の相場の5割~7割
情報漏えい 売却が事情を知られないでできる 近くの人に知られる恐れがある
引越しする費用 捻出することができる 捻出することができない
費用の負担 全くない 基本的にない
返済額 多い 少ない
資金が残るか 残る ほとんど残らない
残った債務の交渉 可能 不可能
立ち退き日 協議が事前に可能 強制執行も裁判所からある
終了までの期間 短期間 長期間

 

任意売却のメリット・デメリット

ここでは、任意売却のメリット・デメリットについてご紹介しましょう。

◎任意売却のメリット

手持ちの資金を一切持ち出す必要がない

一般的に不動産を売却する場合は、不動産業者へ支払う仲介手数料、抵当権を抹消するための費用、マンションの場合は修繕積立金・滞納した分の管理費、差押えになっている滞納分の住民税・固定資産税の一定額、がかかります。
しかし、任意売却の場合は、このような費用を全て債権者が支払ってくれます。

競売より高い売却価格になる

不動産を持っている人・担保権がある人・買主が納得するまで話し合いをしてから売却するので、強制的に売却される競売より高い売却価格になります。

引越しする費用が捻出できることがある

競売の場合は、資金が手元に一切残りません。
しかし、任意売却の場合は、粘り強く債権者と交渉することによって、引越しする費用をほとんどの場合に捻出できます。

近くの人に知られないで売却できる

競売の場合は、情報が新聞、裁判所のホームページ、業界紙、ネットに掲載されます。
そのため、競売になったことが、周りの人や近くの人に知られてしまいます。
一方、任意売却の場合は、不動産を持っている人が了解した上で売却するため、競売の場合のように、不動産の情報を集めるために落札する人が近くの人に聞き込みなどをしないため、他の人に知られないで売却することができます。
当然ですが、競売開始決定や差押えの通知が来ている場合でも、任意売却を早急に進めることで、競売の取り下げが開札まであればできます。

分割で残った借金は支払うことができる

債権者には、すでに担保の抵当権が任意売却によってありません。
また、債務者は返済し続ける資金が今後無いことも分かっています。
そのため、十分に生活状況や収入状況を考えた上で、実際に返済できる方法になり、一般的には給料を差し押さえするなどはありません。

競売が始まっても任意売却に変更できる

「競売開始決定通知」が裁判所から来ても、任意売却に変更できます。
しかし、債権者の全てが承諾するということではなく、入札するまでは時間的に4ヶ月~6ヶ月くらいの猶予しかありません。
「競売開始決定通知」が裁判所から来た場合は、対応を早急に行うことが必要です。

現在のまま住み続けられるかもしれない

投資家に買取してもらったり、身内の人に協力してもらったりすると、賃料を払って現在のまま住み続けられるかもしれません。
また、買戻しが一定期間の後にできます。

難しい債権者との全ての交渉は専門の任意売却の業者が行ってくれる

専門の任意売却の業者に依頼すると、依頼した人の状況、いろいろな調査、売る物件の査定、債権者との全ての交渉、引越しの手配まで、一貫して全て行ってくれます。

 

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✖任意売却のデメリット

任意売却は、先にご紹介したように、手持ちの資金を一切持ち出す必要がない、競売より高い価格になる、などというようなメリットがあります。
しかし、任意売却は、少なからずデメリットもあります。
ここでは、任意売却のデメリットについてご紹介しましょう。

滞納する必要がある

任意売却の場合は、住宅ローンを債務者が返済できない状態、つまり住宅ローンの返済を滞納していることが必要になります。
しかし、住宅ローンの返済の滞納は、単に1ヶ月や2ヶ月ではなくて、数ヶ月になると任意売却になります。
そのため、債権者からの住宅ローンの返済の催促があるため、対応面において心配になる場合も多くあります。

債権者から承諾をもらう必要がある

住宅ローンの残債務よりも安い価格で不動産を売却してもいいか、承諾を債権者からもらう必要があります。
不動産の売却価格を決めるために債権者から承諾をもらうのは、交渉が個人ではなかなかできません。
そのため、専門の業者に任意売却を依頼する必要があります。
任意売却を債権者の中には承諾しないというような場合もあるので、豊富に経験がある専門の任意売却の業者へ依頼するのが成功するための早道になります。

迷惑が連帯保証人にかかる

住宅ローンの返済を滞納すれば、請求が連帯保証人にもいくようになります。
連帯保証人がこの際に住宅ローンを返済すると、任意売却は成り立ちません。
連帯保証人に必ず協力してもらわないと任意売却は成り立たないので、任意売却の承諾を連帯保証人からもらう必要があります。

競売のリスクがある

せっかく不動産を売却できるようになっても、任意売却は買主がいなければ成り立ちません。
そのため、必ず不動産が売却できるということではなく、時間的に限定されている中において不動産を売却するので、もし不動産が売却できないと競売になるというリスクがあります。
もし競売になった時は一括で残債を返済することが要求され、もし返済できない場合は自己破産になるリスクも考えられます。

信用情報機関に登録される

信用情報機関に登録されるというのは、一般的に、ブラックリストに掲載されるということです。
信用情報機関に登録されると、大きなローンは5年~7年くらいはその後組むことはできません。
ローンの申し込みをしても審査に受からなくなります。
しかし、自己破産のように預貯金などが差し押さえになるなどはありません。

 

競売のメリット・デメリット

ここでは、競売のメリット・デメリットについてご紹介しましょう。

◎競売のメリット

競売と言うと、デメリットばかりあると思っている人も多くいるのではないでしょうか。
しかし、メリットが競売にもあります。
ここでは、競売のメリットについてご紹介しましょう。

楽で手間がかからない

競売は、楽で手間がかかりません。
裁判所から来る通知の全て、金融機関などから来る連絡、通知などを一切無視していると、競売が勝手に進んで、勝手に終わります。
そして、知らない人がある日急に来て、「新しくこの不動産のオーナーになった○○○○です。ここを○○月○○日までに立ち退いてください」と言われます。
競売の場合は、このような流れで終わりになります。

自己破産を競売の後に行うとメリットがある

自己破産を競売の後に行うと、残債務の返済が競売した後に全く無くなるため、いくらで不動産が落札されても関係が全く無くなります。
任意売却の場合とは異なって、競売が終わった後、サービサーに何年もの間追い回されるようなことはありません。

任意売却に比較してマイホームにそのまま長く住み続けることができる

裁判所によっても違ってきますが、競売になってからでも約8ヶ月くらいはマイホームにそのまま住み続けることができます。
従来に比較して、競売の場合も時間が相当短くなっていますが、任意売却に比較すると、マイホームに長く住み続けることができます。

しかし、マイホームに長く住み続けることができる一方、その分遅延損害金額が大幅にプラスされます。
さらに、一般的に、競売の落札額は、任意売却に比較すれば安くなり、多く債務も残ってしまいます。
また、再スタートする時期も延期されるようになってしまいます。

 

✖競売のデメリット

競売は、先にご紹介したようなメリットがありますが、やはりデメリットもあります。
ここでは、競売のデメリットについてご紹介しましょう。

市場の価格よりも安く売却される

競売の場合は、市場の価格より2割~4割安く売却されるので、残債務がより多くなります。

競売が他の人に知られる

競売になると、不動産の写真が載っている資料が、新聞、ネット、住宅情報誌、裁判所などで公開されます。
そのため、競売が他の人に知られるようになります。

立ち退きする際の引越し費用は都合してくれない

担保権者へ返済するために、競売して不動産を売却した全ての代金は引き当てされます。
そのため、引越し費用を都合してくれる場合はありません。
落札された後は、不法に占拠したようになるため、強制的に裁判所から立ち退きが執行されます。

残債務について自分で債権者と交渉する必要がある

競売の場合は、市場の価格よりも大幅に安く売却されるので、債務が余計に残ります。
基本的に、一括で残債務を返済することを要求されるため、自分で債権者と交渉する必要があります。
さらに、給料も差し押さえされます。
柔軟に債権者に対応してもらうのは、ほとんどの場合は難しくなります。

 

任意売却の流れと競売の流れ

任意売却と競売については、どのような流れになるか把握しておく必要があります。
ここでは、任意売却の流れと競売の流れについておおまかにご紹介しましょう。

任意売却の流れ

任意売却の流れとしては、以下というようになります。

  1. 専門の任意売却の業者に相談する
  2. 債務者の現在の状況を把握する
  3. 不動産の価格を調べる
  4. 媒介契約を結ぶ
  5. 債権者と交渉する
  6. 売却活動を始める
  7. 買主を決める
  8. 債権者から承諾をもらう
  9. 不動産の売買契約を結ぶ
  10. 引越しする
  11. 売却代金を決済する
  12. 新しい生活を始める

任意売却の期間は、一般的には3ヶ月~5ヶ月くらい、最短の場合でも2ヶ月は必要になります。

 

競売の流れ

  1. 住宅ローンの返済が停滞する
  2. 督促の書類や電話が金融機関から来る
  3. 債権が回収会社に移管される
  4. 競売を申し立てした後、「競売開始決定」が通知される
  5. 裁判所の調査官が訪問して、現状を調査するために写真などを撮る
  6. 情報が裁判所で公開される
  7. 入札スケジュールが決まる
  8. 「期間入札」が始まる
  9. 売却が決まる
  10. 不動産を引き渡しする

 

任意売却と競売、実際にかかる費用って

ここでは、実際に任意売却と競売でかかる費用についてご紹介しましょう。

任意売却で実際にかかる費用

任意売却で実際にかかる費用としては、全くなく、引越し費用については、債権者と交渉することによって最高30万円程度負担してくれます。

競売で実際にかかる費用

競売で実際にかかる費用としては、引越し費用などがあります。
立ち退き命令が裁判所から出るので、引越し費用が支払われる場合はほとんどありません。

このように、実際にかかる費用としては、任意売却より競売の方が大きくなります。

 

任意売却と競売の違いについてのまとめ

ここでは、任意売却と競売の違いって? 任意売却のメリット・デメリット、競売のメリット・デメリット、任意売却の流れと競売の流れ、任意売却と競売、実際にかかる費用って、についてご紹介しました。
任意売却と競売の違いとしては、価格は任意売却では市場の相場に近い、競売では市場の相場の5割~7割、情報漏えいは任意売却では売却が事情を知られないでできる、競売では近くの人に知られる恐れがある、引越しする費用は任意売却では捻出することができる、競売では捻出することができない、などが挙げられます。

任意売却のメリット

手持ちの資金を一切持ち出す必要がない、競売より高い価格になる、引越しする費用が捻出できることがある、近くの人に知られないで売却できる、分割で残った借金は支払うことができる、競売が始まっても任意売却に変更できる、現在のまま住み続けられるかもしれない、難しい債権者との全ての交渉は専門の任意売却の業者が行ってくれる、デメリットは、滞納する必要がある、債権者から承諾をもらう必要がある、迷惑が連帯保証人にかかる、競売のリスクがある、信用情報機関に登録される、ことが挙げられます。

競売のメリット

楽で手間がかからない、自己破産を競売の後に行うとメリットがある、任意売却に比較してマイホームにそのまま長く住み続けることができる、デメリットは、市場の価格よりも安く売却される、競売が他の人に知られる、立ち退きする際の引越し費用は都合してくれない、残債務について自分で債権者と交渉する必要がある、ことが挙げられます。
任意売却と競売については、ここでご紹介したような流れと実際にかかる費用について把握しておきましょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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