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借主・貸主必見 立ち退き・立ち退き料で困っている方の対応方法とその流れ

更新日:2019年07月09日
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立ち退きとはどのようなものでしょうか?
立ち退きというのは、貸主が借主に対して解約の申し出をすることです。

普通借家契約で、立ち退きを借主に要求する際は、6ヶ月の猶予が借地借家法上必要です。
賃貸契約の解約を借主に貸主が申し出する場合は、6ヶ月を解約を申し入れした日から経つことで終わるので、借主に書面で解約する日の6ヶ月前に通知します。
正当事由が借主が立ち退きするためには必要で、問題が借主にあったり、やむを得ない事情があったりしても、正当事由にこのようなことをしてすぐに解約することはできません。
トラブルを先々防止するために、解約通知書は書面で通知します。
解約通知書は、内容証明郵便あるいは配達証明で送って、解約の申し入れ日を証明することが必要です。

しかし、トラブルが感情面で起きないように、内容証明郵便をいきなり送らないで、口頭で解約する意思を事前に伝えておいて、借主がびっくりしないようにするなどの気配りが必要です。
というのは、借主にどうしても動きたくないと言われると、立ち退き交渉は成功しないためです。

立ち退きをしないといけない理由

では、立ち退きをしないといけないのはどのような理由があるのでしょうか?
立ち退きの理由としてはいろいろありますが、ここでは、一般的な理由についてご紹介しましょう。

一般的な立ち退きの理由

・資産価値を高めるために建替えをしたい
・今まで賃貸していたが、自分でこれからは住みたい
・入居者が家賃滞納者などで困っている
・建物を売りたい
・立ち退きが都市計画事業によって必要である

定期借家契約以外の賃貸物件の契約においては、 解約を大家から退去勧告の申し出をする場合は基本的に期間が終了する6ヶ月前までに、解約の申し出を借家人に対して行う必要があります。
また、期間の定めがなければ、解約の効力が解約の申し出をしてから6ヶ月が経った際に生じます。

なお、借地借家法においては、6ヶ月猶予の解約についても、正当事由が申し出には必要であり、 解約は正当事由なくしてできないと決まっています。
正当事由というのは、住居の明け渡しを貸主が借主に対して要求できる世の中の常識的なものを言います。

例えば、古い建物で新耐震基準法をクリヤーしていないため、破壊や倒壊のリスクがあるなどの理由です。
しかし、状況・理由・経緯などがそれぞれのケースによって違ってくるため、裁判をしてみなければ正当事由が最終的に認められるかは分かりません。

定期借家契約とは?

定期借家契約とはどのようなものでしょうか?
定期借家契約というのは、契約で決めた期間が終了することによって、契約が確定的に更新されないで終わるものを言います。
賃貸借契約は、定期借家契約が施行される前には、その建物を貸主が自分で使うなどの正当事由がない限り、更新拒絶を大家からしにくいものになっていました。

定期借家契約の特徴

・契約で決めた期間が終了することによって、賃貸借契約が確実に終わる

募集する際、賃貸借期間の一定のものを大家が決め、普通の賃貸契約とは違って契約が契約期間が終了することによって終わり、解約できるようになります。

・双方が合意して契約を再度行うことによって、 そのまま続けて住むこともできる

更新は定期借家契約の場合にはありません。
そのまま続けて住む場合は、契約者・大家の合意によって礼金・敷金・仲介手数料などを払って、契約を再度行うことができます。
当然ですが、大家は立ち退き料などを払わなくても、退去を入居者に対して基本的に要求できます。

・契約期間内に解約を途中で行うことは基本的にできない

借主は、契約を一度すると必ず期間中は借り続ける必要があるのが前提であるため、基本的に契約期間内に解約を途中で行うことはできません。
居住用建物で200平方メートル未満の床面積の場合は、やむを得ない転勤、親族の介護、療養などの事情によって、暮らしの本拠として使うことが難しくなった時は、解除の申入れを契約期間の途中でできます。

・契約する場合は公正証書などの書面がおすすめである

定期借家契約の場合は、契約を公正証書、公証役場などのスタイルによって行うことがおすすめです。
また、信用できる不動産業者と付き合いしている場合は、その業者のスタイルで、契約するのも方法の一つでしょう。

・礼金・敷金・賃料などが普通の賃貸物件より安くなっていることが多い

契約期間が、大家の転勤・取壊し・建替えなどの事情から決まっているため、普通の賃貸物件よりも自由が期間的条件で効かないと思っている借主も多くいると考えられるため、周りの相場より安くなることが多くあります。

退去勧告とは?

では、退去勧告とはどのようなものでしょうか?
退去勧告というのは、退去を入居者に対して迫ることです。
大家としては、可能な限り避けたいことの一つでしょう。
納期通りに家賃を払わない、マンションでのマナーに気配りできない、などの入居者も世の中にはいます。
基本的に、借地借家法によって賃貸物件の借主は守られており、簡単に大家の都合によって退去させられることはありませんが、あまりにもひどい場合には、その入居者に対して大家として退去を迫る場合もあります。

立ち退き料の妥当費用

では、立ち退き料とはどのようなものでしょうか?
立ち退き料というのは、貸主の要請によって賃貸物件を借主が明け渡す際に、この代償になる費用 です。

また、立ち退き料というのは、絶対的なものではなく、法律的な用語でもありません。
ここでは、立ち退き料の妥当費用である立ち退き料の相場についてご紹介しましょう。
立ち退き料の相場としては、住居を新しく見つけるための保証金・礼金・敷金・仲介手数料などの費用や、新しい住居に引越しするための家賃の5ヶ月~6ヶ月分の費用などを払う場合が多くあるようです。

なお、経過・地域・状況・事案などで非常に違ってきます。
法律で決まっているようなものでは決してありません。
立ち退きについては、専門業者などに全て頼む大家もいるようです。

しかし、専門業者と契約する内容によっても違いますが、費用はその分かかります。
一方、交渉などを大家自身が行う場合は、専門業者などに払う費用は無くなりますが、交渉力や時間などが必要でしょう。
このように、メリット・デメリットがいずれの場合でもあるため、時間や費用などを考えて立ち退きを平穏無事に行う最もいい方法を選択しましょう。

立ち退きの流れ

では、立ち退きはどのような流れになっているのでしょうか?
立ち退きの場合は、契約期間が終了になる前の6ヶ月~1年以内に、書面・口頭で入居者に通知します。
まず、転居の打診をして、代替物件の提案をした後、立ち退き料という立ち退きに必要な費用の算出と配分交渉を行います。
この時点において不安・不明なことがあれば、できるだけ賃貸物件の入居者の募集を頼んでいる不動産業者、あるいは不動産管理会社、弁護士に相談しましょう。

期日までに入居者が退去しなければ、再度通知します。
期日が過ぎた場合は、問題が最終的に解決しなければ、方法としては訴訟というものがあります。
もし、知り合いの弁護士がいない場合は、不動産業者あるいは地方自治体の窓口、弁護士会に相談するといいでしょう。

立ち退きのポイント

立ち退きを賃貸人の都合で行ってもらう場合は、一般的に立ち退き料が払われます。
しかし、必ず貸主が払う必要があるというものではなく、金額も定まっていません。
信頼関係を普段から保っておくと、立ち退きの際の金銭・引越し先・時期などの条件を貸主が示して、この提示が納得できれば、立退きに快く応じてくれるでしょう。
立ち退きの場合は、一方的に貸主の立場を主張しないで、入居者のことも考えて、誠意を持って立ち退いてもらう理由・経緯・状況などを説明して、話し合いをしてお互いに歩み寄ることが大事です。
方法によっては、問題がかえってこじれることもあるため慎重に対応しましょう。

立ち退き問題を弁護士に依頼するメリット

立ち退きは、弁護士に依頼するのがおすすめです。
ここでは、立ち退きを弁護士である専門家に依頼するメリットについてご紹介しましょう。

・家賃を借主が滞納している場合は滞納を抑止できる

優先順位が家賃を払うということに対して下がるため、滞納がついつい起きてきます。
しかし、弁護士が一度介入するとトラブルが解決した後も、優先的に家賃を払うことが期待できます。

・解決が揉めないでできる

不動産における借主と貸主のトラブルでは、話し合いが当事者同士の場合にはよく感情的になるので、進展が全くないという場合が多くあります。
しかし、間に弁護士が入ることによって、交渉が平和的かつ冷静に進みます。

・解決が早期にできる

弁護士は経験と法的な知識があるため、速やかに書類を作ることから交渉するまでができます。
また、家賃を滞納している場合は、家賃の回収がたとえできなくても、明け渡しを要求する裁判に速やかに移り、最小限に滞納による損害をすることができます。
立ち退きを弁護士に依頼するとこのようなメリットがありますが、一方、次にご紹介するような注意することもあります。

・借主との関係が悪くなる

裁判も恐れないという強い意思が借主に伝わることによって、その後いい関係を借主と保つことが難しくなることもあります。

・家賃を借主が滞納している場合は借主が破産する恐れがある

弁護士が間に入ることによって、返済することがこれ以上難しいと判断されて、弁護士を借主も立てて破産を選ぶ場合もあり得ます。
借主が破産を選んでしまえば、立ち退きができなくなります。

・費用がかかる

立ち退きを弁護士に頼む場合は、費用として成功報酬と着手金がかかります。

立ち退き問題を弁護士に依頼した時の費用

弁護士に依頼することによって、立ち退きを効率よく進められます。
では、立ち退きを弁護士に依頼した時にはどの程度費用がかかるのでしょうか?
ここでは、立ち退きを弁護士に依頼した時の費用についてご紹介しましょう。

・相談料がかかる場合がある

まず、正式に立ち退きを弁護士に依頼する前に、相談するようになります。
この際には相談料がかかりますが、有料の場合には30分~1時間で相場としては5000円くらいになります。
しかし、ほとんどの弁護士事務所が、現在では、無料で初めての相談は行ってくれます。
そのため、自分と相性が合う弁護士を見つけるためにも、無料の相談を何度か利用してみるのがいいでしょう。

・着手金がかかる

正式に立ち退きを弁護士に依頼すると、着手金が案件に着手すると発生します。
着手金の相場としては、20万円以下の1ヶ月の賃料の場合は10万円~40万円くらいになります。
弁護士事務所によって、この着手金も相当金額に違いがあるため、いくつかの弁護士事務所を比べて検討してみましょう。

・報酬金がかかる

借主が滞納している家賃を回収した場合は、報奨金を弁護士に払うようになります。
報酬金の相場としては、多くの弁護士事務所が回収額の1割くらいに設定しています。
では、このような弁護士に依頼した時の費用を安くするにはどうすればいいのでしょうか?
ここでは、無料の初めての相談を利用する他に、弁護士に依頼した時の費用を安くする方法についてご紹介しましょう。

・弁護士に依頼した時の費用を分割で払うことをお願いする

弁護士事務所の多くは、現在、支払いが分割でできたり、後払いしたりすることができるようになっています。
弁護士に依頼した時の費用が安くなるのではありませんが、支払いを一括で行う負担は軽くなります。

・法テラスを利用する

弁護士に依頼した時の費用を用意するのが困難な場合には、一つの方法として、民事法律扶助制度を法テラスで利用するものがあります。
民事法律扶助制度というのは、所得が低い人のために設けられているものであり、この制度を利用すると弁護士に依頼した時の費用を法テラスで立て替えしてくれます。
立て替えした費用については、立ち退きが完了した後に、毎月5000円ずつ法テラスへ返していきます。
この制度を利用して、着手金を少なくしたり、報酬金を免除してくれたりすることもできます。
しかし、この制度は、所得が低い人を対象としたものであるため、所得がある一定以上ある人は利用できません。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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