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立ち退き交渉・示談の方法は? 成功例と失敗例もわかりやすく解説

更新日:2019年07月09日
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立ち退きを交渉を行う時の成功例と失敗例をご紹介!交渉のポイントや弁護士へ依頼する時のメリット。また退去勧告はどのくらい前からしないといけないのか等
立ち退き交渉で困っている方や、これからという方はぜひ読んでみてください。
では、立ち退きをさせる交渉とはどのようなものでしょうか?
ここでは「正当事由」というものが問題になってきます。
正当事由というのは、賃貸借契約を貸主側から終了させたい場合に必要なものです。

当然ですが、契約違反の賃料不払いなどが借主にあると、解約することができます。
正当事由は、契約違反が借主にないが、解約しても仕方がないというものです。

解約の申し出や更新拒絶をする貸主側に、正当な賃貸借契約を解約する理由がある、ということです。
解約の申し出や更新拒絶をするため当然理由があるでしょうが、理由の正当なものが必要です。
この最大の理由は、貸主が自分で賃貸している建物を使う、というものです。

例えば、住むところが他になくて賃貸物件にどうしても住む必要がある、賃貸物件を商売するためにどうしても使用したい、というようなケースです。
これ以外に、賃貸物件が古くなって危ないため建て直しをする必要がある、周りの状況に応じて木造アパートを賃貸マンションにする、ケースがあります。

また、借主の瑕疵として、騒音トラブルがある、ペット不可の物件でペットを飼っている、ゴミ屋敷になっている、というようなケースがあります。
しかし、正当事由というのは、一方的な貸主のこのような事情のみで決定するということではありません。

借主にとっては、一般的に、賃貸物件は、営業の拠点であったり、暮らしの拠点であったりします。
そのため、借主には、その賃貸物件を借りる必要があります。
しかし、どちらかと言うと、重要視されるのは貸主側の都合の方です。

立ち退き料とは?

では、立ち退き料とはどのようなものでしょうか?
貸主の都合と借主の都合が同じくらい、あるいは貸主の都合の方が弱いというケースは、正当事由が立ち退き料を貸主から借主に払う条件で認められる場合があります。
では、立ち退き料とはどのようなものでしょうか?

法律上は、立ち退き料というのは、貸主側の正当事由をカバーするものです。
カバーするものであるため、立ち退き料を単に払うので退去して欲しいと言っても、話し合いによって解決する場合を除いて裁判所は認可してくれません。
立ち退き料は、それぞれのケースごとに貸主と借主のいろいろな事情を考えて決定されます。

退去勧告はどれくらい前にしないといけないのか?

では、退去勧告はどれくらい前にしないといけないのでしょうか?
借地借家法上は、正当事由が貸主側に無いが退去して欲しいとか、契約更新をしないとかという主張は、認可される場合はありません。

この正当事由というのは、どうしても退去してもらわなければ暮らしが破綻するなどの自己使用をする理由が貸主側にある場合であり、そうでなければ退去する必要は全くありません。
正当事由がもしあったとしても、貸主から通知する際は、書面で6ヶ月~1年以上前に最低でも行う必要があります。

通知する貸主側も、トラブルを避けるために一般的に内容証明付き郵便を使用します。
また、更新契約をしない場合も同じです。

契約書を返すのが遅れたのみで、契約更新を貸主が拒むということはありません。
裁判すると貸主が言っても、借主が負けることはないため、現在のまま住み続けるといいでしょう。
家賃滞納をしないできちんと払って、貸主も家賃を受け取りしている場合は、破綻に双務契約はなっていません。
貸主が家賃を受け取らない場合は、トラブルが解決するまで一時的に法務局に預けましょう。

立ち退き交渉の成功例と失敗例

では、立ち退き交渉の場合はどのような成功例と失敗例があるのでしょうか?
ここでは、立ち退き交渉の経験がある貸主のさまざまな経験談などについてご紹介しましょう。

立ち退き交渉の成功例

立ち退き交渉を自分で5年前に行ったことがありますが、退去をなんとかしてくれました。
退去してくれて、建物を壊すことができたため成功したと言えるでしょうが、ある人との立ち退き交渉が難しくて、1年以上最終的に解決するまでにかかりました。
具体的には、立ち退き交渉を5世帯と行いました。
最も長く入居している人がリーダーになって、話し合いを他の4世帯と行って巻き込みました。

集団での立ち退き交渉には対応してくれませんでした。
賃貸借契約は、それぞれの世帯と結んでおり、賃料条件も期間もそれぞれ違っているため、個別に話し合いもして欲しいと言われました。
4世帯については、こちらが示した立ち退き料でなんとか納得してくれましたが、時間が巻き込まれたためかかりました。

リーダーの人は、条件闘争を初めから行ってきました。
法外な条件を初めは要求してきました。
立ち退き料として、家賃の20年分程度になるものです。

リーダーの人は、30年近く入居していましたが、家賃として30年間に払ったものの中で20年分を返して欲しいということでした。
その後、交渉の場を何回も設けました。
別の全ての借主が退去したアパートの部屋で、このリーダーの人と交渉するのみで半年程度かかりました。

諦めかけたこともありましたが、建て直しはできなく、賃料収入が一世帯のみでは税金も支払うことができないため、最後は交渉を悲壮な覚悟で行いました。
立ち退き料は、高かったのですが、一世帯のみであったため何とかなりました。

立ち退き交渉の失敗例

自分の場合は、管理会社に立ち退き交渉を依頼しました。
立ち退き料を準備して欲しいと、管理会社に初めに言われました。
立ち退き料としては、まず、新しく借主が借りる場合に必要な、敷金、礼金、仲介手数料などです。

この他に、実際の引越し費用と、迷惑料がプラスされました。
引越しを自分の都合で行ってもらうため迷惑料が必要で、自分の場合はトータルで家賃の8ヶ月~10ヶ月程度ということでした。

しかし、全国的に見れば、地域によって大きな違いがあるようです。
自分の地域で多いのは礼金無しですが、地域によっては3ヶ月~4ヶ月分の礼金が必要な場合もあります。
迷惑料としては多かったため、それほど多いのかと自分が言うと、木造アパートの築35年の建て直しの場合は、理由が老朽化によるというものでは正当事由として認可されない、ということでした。

立ち退きは交渉が難航すると困難になるため、基本的に、解決できるのは話し合いでしかなく、ある程度の迷惑料は覚悟して欲しいと言われました。
これ以外には、直接借主と交渉することは今後避けるようにと言われました。
何か借主がもし言ってきた場合でも、管理会社に任せたと言って欲しいと言われました。
やはり、2つの窓口があるのは良くないためでしょう。
最終的に、6ヶ月でちょうど終わりました。
1人の借主とは交渉が難航して、初めは退去しないと言ったため、交渉をこの人以外と進めたようです。
最終的に退去してくれましたが、最も立ち退き料としては高くなりました。
しかし、退去を少な目の立ち退き料でしてくれた人もいたため、平均的には初めに示した金額の枠内にはなりました。

立ち退きの対応方法

では、立ち退き交渉はどのように対応するといいのでしょうか?
ここでは、立ち退き交渉の対応方法についてご紹介しましょう。
立ち退き交渉の場合は、慣れている業者に依頼する方がいいでしょう。
自分でもし立ち退き交渉をする場合は、借主を判断して、交渉が常識的にできる借主から進めましょう。
借主の条件が、長く入居している、相場より賃料が安いというような場合は注意しましょう。

また、内容証明郵便をいきなり送るのは悪いと言われています。
というのは、通告期間として6ヶ月前が大家は義務化されているため、通告したということは残しておく方がいいためです。
正当事由が大家側には認可されない場合が多くあるため、基本的に話し合いが大切です。
内容証明郵便をいきなり送ると、借主の気持ちが硬化してしまいます。
借主の気持ちが硬化すると長い交渉になり、立ち退き料も高くなります。

話し合いの精神で借主と対応して、難しいかもしれませんが、感情的にならないようにして、対決しないようにしましょう。
これ以外の対応方法としては、上手く定期借家を利用するというものもあります。

例えば、築30年の賃貸物件で、取壊しを今後5年間~10年間には行う場合は、定期借家に新しい契約はしておく方がいいでしょう。
5年程度の契約期間でもいいでしょう。
定期借家にしておくと、契約を正当事由無しで終了することができます。
では、入居している借主の場合でも、定期借家に更新する際に切り替えすることができるのでしょうか?
平成12年3月1日以後の定期借家が施行になった賃貸借契約の場合には、切り替えすることができます。
契約をこの前から行っている場合は、切り替えが認可されないというようになっています。

取壊しや建て直しを将来的に行う場合は、定期借家に切り替えして欲しいと更新する際に交渉するのは、駄目と思える場合でもトライしてみましょう。
例えば、賃料を少し下げたり、欲しい設備を新設したり、取り替えたりするなど、何か借主としてメリットがあるとよりいいでしょう。
では、定期借家の場合には、本当に立ち退き料無しで解決できるのでしょうか?

法律的には可能です。
借主の中にはその時になって拒む人もあるでしょうが、一般の借家契約とは大家の立場が全く違うため有利です。

立ち退き交渉をするポイント

寿命が建物にあるため、立ち退き交渉を取り壊しするために行うのは避けられません。
しかし、このことを考えている大家は多くないかもしれません。
この場合のために、金銭的にもメンタル的にもダメージが少なくなるように用意しておきましょう。

・借主と良好な関係を維持する
・条件として相場以下のものでは賃貸しない
・上手く定期借家制度を利用する
・任せることができる業者に依頼する

立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリット

では、弁護士に依頼するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
立ち退きなどの不動産トラブルは、会社・個人に関係なく、頻繁に起きる身近な一つの法律問題です。

そして、高額になる場合が多くあるので、深刻な問題に不動産トラブルはなるのが一般的です。
弁護士事務所は、不動産トラブルを多く過去に取り扱っており、経験が豊富にあります。
専門の正確な知識をベースに、依頼する人に解決方法の最善のものを提案してくれます。

しかも、外部の専門家である土地家屋調査士や司法書士などとも連携しているので、不動産についてのいろいろな手続が必要な場合でも、対応をスムーズに行うことができます。
借家・借地については、例えば、借主に対して貸主が立ち退きを要求することができるかどうかということがあります。
契約違反の重大なものが借主にあると、これを理由に貸主は契約を終わらせて、立ち退きを要求することができます。
一方、契約違反が借主にない場合には、借家借家法が借主を守るために適用されるため、ほとんどの場合は契約を貸主だけの考えで終わらせることができません。
このような場合には、争点に立ち退きできるかどうかや立ち退き料がなります。

弁護士事務所では、多くの事例を借主側・貸主側のどちらの立場からも解決しています。
依頼する人にとって解決方法の最善のものを提案してくれます。

 

立ち退き交渉を弁護士に依頼した時の費用

では、弁護士に依頼した時にはどのくらい費用がかかるのでしょうか?
立ち退きを請求する状況や合意するまでの交渉過程はいろいろであり、どのような立ち退きを請求する場合でも適用できる立ち退き料を計算するための方法として決まったものはありません。

立ち退きを請求する手続きの場合には、一般的に借主・貸主の両方の事情を考えた上で立ち退き料を計算します。
そのため、事情も依頼する数だけ違うのは仕方がないことです。
しかし、極端に弁護士の費用がアップすることにも場合によってはなるので、依頼する人から見ると心配になるでしょう。
そのため、立ち退きを請求する場合の料金表を、弁護士事務所によっては作っているところもあります。

実際に強制執行や裁判にかかる費用などで増減が少しあるでしょうが、ここでは借主が家賃を払わないなどの債務を履行しなかったことを理由に立ち退きを請求する場合の弁護士の料金は、着手金、一律税抜きで20万円、成功報酬は税抜きで20万円~40万円が多く弁護士の料金設定としてはされております。
まずは、立ち退きなど多くの不動産問題を手掛けている弁護士に相談した方が良いでしょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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