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立ち退きを強制的に退去してもらう時の知識

更新日:2024年03月28日
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立ち退きを強制的に退去してもらう時の知識

まず、立ち退きを強制的に退去してもらう時の知識についてご紹介しましょう。
家賃を払わないということでも、強制退去がすぐにできるのではありません。

強制退去は、基本的に、最終の法的な手段であることを考慮しながら、次にご紹介する強制退去できる条件に関しても十分にチェックしておきましょう。
当然ですが、部屋を貸主は貸す代わりに、賃料を部屋を借りる借主は払う必要があります。
賃貸借契約とこの取り決めのことを言って、貸主と借主の両方の合意で成り立ち、バランスが権利と義務をお互いに持つことによって取れるようになります。

しかし、アンバランスになれば、契約は信頼関係が無くなったとして解約になります。
家賃を滞納しても、家賃を滞納している人をすぐに強制退去はさせられません。
一定のルールは法的にはありませんが、家賃の滞納が最低でも3ヶ月以上続いていなければ、強制退去は難しいというようになっています。
訴訟を起こしてからは、強制退去を約5ヶ月で断行できます。

すぐに退去して欲しいということでも、実際はこのような期間が手続きにかかることも事前に把握しておきましょう。
家賃を滞納している借主が失業している、あるいはやむを得ないこの他の理由があれば、強制退去は貸主側の権利の濫用と見られて認可されない場合もあります。

また、家賃を借主が滞納しているということでも、部屋に勝手に入って持っているものを売ったり、貸主が鍵を変更して家に借主が入れないようにしたりするなど、実力行使を個人的に行った場合は、住居侵入罪、強要罪、脅迫罪などに問われる場合もあり、一気に立場が逆転します。
非常に悪質な場合を除いて、まずは十分に貸主と借主で話し合いをしながら解決することが、選択肢として最善のものになります。

立ち退きの交渉の方法とは?

電話による交渉の方法は、最も手軽なもので、回収のための費用も通話料だけというものです。
まず、断続的に電話を相手にかけることからスタートしましょう。
電話番号が分からない場合、あるいは電話料金を納めていないので通じなくなった場合などのために、請求が電話でできなければ、請求書や督促状を出しましょう。
また、内容証明郵便を利用しましょう。

内容証明郵便というのは、日本郵便がどのような内容のものを、誰から誰へ、いつ差し出したかを証明するものです。
このような内容証明は、必ず裁判においても書証類として必要なものになります。
訪問できるところに相手が住んでいる場合には、実際に訪れてみましょう。
労力は相当かかりますが、目を見ながら対面で訴えることができるため、人を動かす場合には効果が相当あります。

立ち退きをするために用意するもの

では、立ち退きをするためにはどのようなものを用意するといいのでしょうか?
ここでは、立ち退きの申し立てする場合に用意するものについてご紹介しましょう。

債務名義とは?

債務名義というのは、文書として明渡請求権が借主にあることを公証するもので、民事執行法第22条に債務名義なるものが記載されています。
債務名義としては、仮執行宣言付きの判決、確定判決のことを言うと考えておくといいでしょう。

執行文とは?

執行文というのは、公証文言のことで、正本の債務名義の末尾に執行文付与機関を付記したものを言います。
この執行文付与機関というのは、裁判所として判決が言い渡されたところの書記官のことです。
なお、執行文付与は、申請から実際にもらうのは、実際には次にご紹介する送達証明書と一緒になる場合が多くあります。

送達証明書とは?

送達証明書というのは、裁判所の書面で相手方に債務名義が送られたことを証明するものです。
強制執行をスタートするには、債務名義が借主に送られる必要があると法律上は決められているので、送達証明証が必要です。
なお、当然ですが、送達証明証を送るに場合には、裁判所で判決正本が作られていることが必要です。

判決が言い渡された後、判決正本が作られるまでの期間は、裁判所によって違っていますが、1日~1週間くらいになります。
ここから、借主に対する判決が送られるようになります。

強制執行の申し立て方法と料金

強制執行をする場合は、賃貸物件があるところを管轄している地方裁判所の執行官に申し立てします。
予納金が、申し立てする際には必要です。
予納金は、相手方の人数や裁判所によって違いますが、1人の相手方の場合は、6万円~7万円くらいになります。

なお、執行官というのは、それぞれの地方裁判所に在籍している裁判所の職員で、裁判の執行などを行います。
執行官は、建物の明渡しを執行する場合は、明渡しを言い渡された借主が明け渡さなければ、明渡義務がある借主をその建物から排除してから、貸主にその建物を引き渡しします。
強制執行の申し立てをすると、打ち合わせを執行官と行います。
直接執行官と面会して打ち合わせすることも裁判所によってはあり、打ち合わせを電話で行うこともあります。
明渡しの催告日がこの際決定され、執行官にどの業者に執行補助者をするかを伝えるようになります。
執行補助者というのは、強制執行の場合に、荷物を実際に運搬したり、保管したりする業者です。

一般的には、貸主側で事前に執行補助者を決定しておきますが、執行補助者が決定されていなければ、執行補助者を執行官が紹介してくれます。
この場合に注意する必要があるのは、日当などの費用を執行補助者に対して払う必要がありますが、その報酬体系は執行補助者によって違っているということです。
強制執行が終わった場合に、報酬として執行補助者に対して払うものは、荷物の量や部屋の大きさによっても違ってきますが、15万円くらいから、多い場合には50万円をオーバーすることもあり、非常に高額なものになります。

そのため、事前に可能な限り安く請け負ってくれる執行補助者を見つけておくようにしましょう。
なお、弁護士に頼む場合、実務経験が建物明渡しに対してあれば、執行補助者として懇意にすでにしている人がいることが多くあります。
しかし、付き合いを古くからしているため決まった執行補助者に頼む場合も多くあり、弁護士の中には費用面に関してあまり考えていない場合もあります。
そのため、強制執行を頼む弁護士を選ぶ場合には、きちんと弁護士がこのことを考えているかをチェックしてみるといいでしょう。

 

立退きの明渡しの催告

督促手続きというのは、借主の意見を聞かなく、また実質的な裁判という審理がなく、経済的かつ簡易迅速に、支払督促という借主に判決と効力が同じようにあるものを取得するものです。
支払督促は、この手続きそのものを言うこともあります。

少額訴訟の場合とは違って、この手続きの場合は、上限が請求額になく、利用が何回でもできることがメリットです。
明渡しの催告日が打ち合わせを執行官と行って決まると、賃貸物件に実際に行くようになります。
明渡しの催告というのは、執行官、多くの場合は執行官が準備してくれる立会人、執行補助者、貸主あるいは貸主の代理人、鍵技術者が、賃貸物件に行って、物件を占有している状態をチェックした後、物
件の中に公示書に強制執行を実際に行う日と引き渡し期限を書いて貼り付けることです。

なお、鍵技術者は、物件の合鍵が無い場合に必要になります。
鍵技術者は、貸主側が準備しますが、執行補助者に頼むと準備してくれます。

しかし、費用が別にかかるようになります
引渡し期限については、法律によって1ヶ月が明渡しの催告日から経った日と決められています。
強制執行が実際に行われる日は、一般的に、明渡し期限の数日前になります。
一般的に、断行というのは強制執行を実際に行うことで、断行日というのはこの日のことです。
なお、断行日は引き渡し期限ではないため注意しましょう。

借主にとっては断行日が大切であるため、この日は忘れないようにチェックしておくことが必要です。
明渡し催告日は、強制執行を申し立てしてから2週間くらい後になります。
そのため、断行日は4週間くらいさらに後になります。

なお、明渡しの催告の場合に、物件の中に残っているものの廃棄・保管の方法などが執行官の判断によって決定され、執行補助者がこれに応じて強制執行の費用を見積りするようになります。
そのため、具体的な強制執行の費用は、この段階で初めて算出されるようになります。
明渡し催告の場合に、ほとんどものが残っていなければ、明渡しが即時に執行官の判断で終わることもあります。

 

立退きに関して退去までの全体的な流れ

では、退去までの全体的な流れはどのようになるのでしょうか?
ここでは、家賃を滞納している借主を強制退去させるまでの全体的な流れについてご紹介しましょう。

・電話で請求する
・請求書、督促状を送る
・内容証明郵便を送る
・家へ訪問する

任意のこのような交渉をしても進展が全く得られなければ、法的な強制退去をさせる手続きを行うしか方法はありません。
賃貸仮契約解除は、家賃の滞納している分の支払いが、督促状や内容証明郵便などに書いた期限内にない場合には効力が生じます。
契約を解除した後は、明け渡し請求訴訟を行うようになります。

強制執行の場合に、建物を明け渡しする以外に、滞納している家賃に引き当てするために物件の中にあるものを売ることもできます。
そのため、裁判の場合には、建物を明け渡しする以外に、滞納している家賃などを払うことも請求します。
裁判所に被告の貸主、保証人が出頭した場合は、和解に話し合いでなる場合もあり、この場合には和解調書という判決と同じように強制力があるものが作られます。
和解した内容にもし従わなければ、訴訟を改めて行わなく強制執行ができます。

強制執行というのは、強制的に法律上の権利・建物明け渡し請求権・賃金債権などを実現するもので、この強制執行に強制退去は含まれます。
執行する場合は、裁判所の強制執行担当の執行官が借主を退去させるようになります。

立退きに関して借主が退去するまでの流れ

・居住している状況を、ポスト、ガスメーター、電気メーターなどからチェックする
・部屋の中に執行官が呼びかけしても応答がもし無い場合は、錠技術者によって鍵を強制的に開けて部屋の中に入る
・借主、同居の家族を退去させて、部屋の中の家具などを搬出して空にする
・搬出した荷物を倉庫にトラックで運搬して保管する
・荷物の処分は、貸主が最終的に検討する
・断行期日を書いた公示書・催告書を部屋の中の壁に貼付する

強制退去にかかった費用に関してはどうなる?

では、強制退去にかかった費用に関してはどうなるのでしょうか?
まず、強制退去にかかる費用としては、以下がかかってくるでしょう

・解錠技術者の場合は1回約2万円~
・荷物を運搬する場合は普通の家庭で約30万円~50万円
・廃棄処分の場合は約2万円~4万円

強制執行にかかる費用は貸主が負担すると、民事執行法第42条では決められています。
家賃を滞納している人を強制退去させる場合の裁判費用や回収作業費は、最初は債権者の貸主が払います。
しかし、債務者の借主に後で請求できます。

なお、財産として支払いできるだけのものが借主になければ、回収するのは非常に難しいでしょう。
強制退去はできても、費用面についてはマイナスになり兼ねないため、強制退去の計画を立案する場合は予め覚悟しておく必要があるでしょう。

また、強制退去の手続きの場合に、弁護士にサポートを頼んだ場合の費用については、請求ができません。
請求できるのは、基本的に強制執行をする際に生じた費用だけになります。

弁護士に依頼するメリットとポイント

法的な強制退去の手続きについては、最も迅速で的確な方法としては、法律の専門家の弁護士に依頼をすることです。
では、強制退去の手続きを弁護士に依頼するとどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
ここでは、弁護士に依頼するメリットとポイントについてご紹介しましょう。

弁護士に依頼するメリット

・家賃を滞納していることに対して抑止できる
・揉めないで解決することができる
・解決が早期にできる
・自分で面倒な手続きを行う必要がない

弁護士に依頼する場合のデメリットポイント

・借主との関係が悪くなる
・自己破産を借主がすることがある
・費用がかかる

上記のことが挙げられます。
まずは、話が合わない場合に関しては弁護士に相談するのが良いと思われます。

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