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立ち退き交渉を拒否された場合の対処法

更新日:2019年07月09日
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立ち退きをさせる正当な理由とは?

借主に立ち退きをさせるためにはどのような理由が必要なのでしょうか?

賃貸借契約の更新や解除を貸主の都合で拒否して、立ち退きが認可されるためには通知と正当事由が必要です。
基本的に、貸主を貸主の都合によって立ち退かせるのはできません。

しかし、借主と貸主の事情をそれぞれ比べて、正当理由として立ち退きを貸主が求める事情が認められると、賃借物件を借主は明け渡す必要があります。
ここでは、具体的に正当理由とはどのようなことかご紹介しましょう。

建物が古くなった

入居しているマンションやアパート、一戸建てが倒壊すると被害の重大なものが発生するので、建て替えや改築を理由に立ち退きを借主へ要求するケースです。
正当理由として認可されるかどうかは、建物の状態や建築年数など、古くなった程度によって違います。
建物の状態によっても違ってきますが、築20年~30年くらいでは、倒壊するリスクが迫っているケースでないと、正当理由として認可される可能性は少ないでしょう。

物件を売る

相続税や借金を貸主が支払う必要があり、少しでも物件を高く売却したいので立ち退きを求めるケースです。
このような場合は、借主が入居している状態で売却するのが非常に難しかったり、別に貸主の財産がなかったりするなどの事情がなければ、正当理由として認可される可能性は少ないでしょう。

貸主の子供が利用する

貸主の子供が新居として結婚した後に利用するために退去して欲しいというケースが、最も考えられるものです。
必要な度合いは賃借中の物件を借主側と貸主側のどちらが強いかで、正当理由として認可されるかが違います。
別に貸主側に住居がなく、借主の生活状態や経済的事情などから、損害が立ち退きによって多くないというような事情でなければ、正当理由とこれのみで認可される可能性は少ないでしょう。

店舗や住居として貸主自身が利用する

商売を貸主がスタートするため事務所や店舗として利用したい、自分の住居として利用したいなど、貸主が必要なケースです。
例えば、借家に貸主が住んでいたり、貸主の暮らしに営む事業が必要であったりするような事情があれば、正当理由として認可されやすくなります。
しかし、移転するお金が借主にない、店舗として借主が営業しているなどがあると、正当理由としてこれが認可される可能性は少なくなります。

立ち退きしてもらう為の猶予(時間)とは?

では、借主の立ち退きためにはどの程度の時間が必要なのでしょうか?
借主の立ち退きためには、猶予期間として6ヶ月以上が法的には必要です。

更新を契約期間が終了する6ヶ月~1年前までにしないことを通知する、あるいは更新を条件を変えないとしないことを通知しなかった場合は、更新を同じ従前の契約条件でしたと判断するということが、借地借家法の第26条には書かれています。

そのため、短期間の6ヶ月より短い場合には、借主は立ち退きを要求されても従う必要はありません。
そのため、貸主側にこのことを指摘すると、6ヶ月後でも良いので立ち退いて欲しいという内容に変更になるかもしれません。
しかし、これと同時に、立ち退き料は通告を6ヶ月前にしたため払うことはできない、払わなくてもいい、と言うかもしれません。
しかし、これも実際には違っています。

法律においては、通告を6ヶ月前までに行うことを要求しているのみで、立ち退き料は通告さえすると払わなくてもいいと言うことではありません。
契約違反として家賃滞納などが借主側になければ、基本的に、契約が解除される場合はありません。
立ち退き料を立ち退きする代わりにもらうため、退去を6ヶ月以内に行う場合でも、あるいは6ヶ月経った後に行う場合でも、立ち退くのは同じであるため、立ち退き料を同じように請求することができます。

別に例えると、立ち退き料などの退去する全ての条件に合意しなければ、立ち退く義務はいつまででも発生しません。
実際には、貸主はこのことを把握しているにも関わらず、立ち退きを早くして欲しいために、よくこのように言う場合はあります。

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立退きを拒否をされた時の対応方法

では、借主に立ち退きを拒否された時はどのように対応するといいのでしょうか?
ここでは、借主に立ち退きを拒否された時の対応方法の事例についてご紹介しましょう。

借主に立ち退きを拒否された時、貸主は弁護士と相談して、個人的な手紙を入居している人に対して送るようにしました。
入居している人に対して、感謝の気持ちを今まで入居してくれたことについて伝えて、さらに建物が古くなったので維持することがこれ以上難しいことをアピールしました。
手紙の内容については、アドバイスを弁護士からもらいました。

また、立ち退き交渉の場合でも、移転する候補の住宅の間取りについて説明するなど、親身になって引越し先を入居している人と一緒に探しました。
最終的に、入居していた人の全てが、引越し先を自分でそれぞれ探して、全戸が立ち退き料についても引越し費用プラスアルファの約30万円~50万円というような範囲になりました。
このように、借主に立ち退きを拒否された時でも、稀に立ち退き交渉がスムーズに進むケースもあります。

しかし、注意すべきは、立ち退きは権利調整の交渉する行為です、この交渉の報酬を受け取っても良いのは弁護士のみと法律で決まっていることです。
弁護士以外の人にお金を払って交渉を頼むと、弁護士法に違反します。
事情聴取を貸主までされたようなこともあるため注意しましょう。

立ち退きを書面でやり取りする場合

では、立ち退きを書面でやり取りする場合は、どのようなことに注意するといいのでしょうか?
まず、立ち退き料を話し合いによって請求しますが、伝われば書面でも、口頭でも問題ありません。

しかし、立ち退き料を請求するのが目的ではなく、要求として立ち退き料などを了解してもらうことが目的です。

合意を話し合いですることは、裁判と比較すると、メリットが貸主も借主も大きいため、話し合いでまずは合意書を作ることを目指します。
請求を直接行うことがしにくい場合は、内容証明郵便を使用します。

また、内容証明郵便を使用した場合でも、法的拘束力は内容証明郵便には無いため、立ち退き料を内容証明郵便で請求したということでも、貸主の要求に借主が従う義務はありません。
内容証明郵便を使用するのは、強い証拠力がある、圧力を心理的にかけるためです。

立ち退きは住宅や店舗で費用が違うものなのか?

住宅と店舗では立ち退きの違いと費用がどのようになるのでしょうか?

まず、立ち退き料の基本になる考え方としては、賃貸物件が住宅として使われていた場合は引越しする費用を考慮し、店舗として使われていた場合は損失を補てんする費用を考慮するというものです。

交渉をする場合に退去する際の引越しする費用を基本にするという考え方は、立ち退き交渉の場合に一般的によく使用するものです。
貸主の都合で立ち退きをしてもらうため、引越しする費用程度は払うという考え方です。

具体的には、新居へ引越しする費用、新居の礼金・敷金・保証金などの初期にかかる費用などのトータル額が、立ち退き料を計算する基本の考え方になります。
立ち退きを早くして欲しいので、労力をかけて引越し先を見つけてくれるような貸主もいます。
立ち退き料の基本は経済的に借主に生じる損失を補うことであるという考え方は、裁判所に近いものです。

この考え方によれば、例えば、借主が商売をしている場合、営業状態として従来と同じものを続けられた場合と比較して、営業を新しい移転先で行った場合の休業補償や設備補償、減収補償などが、立ち退き料を考慮する場合の基本になります。
なお、相場より近くの賃貸物件の賃料が安いために、低額に立ち退き料がなった判例もあります。

しかし、更新する際に賃料を何十年にも渡ってそのままにしていた場合などは、新居を同じ家賃で見つけることができないので、この差額分は補ってくださいというような判例もあります。
そのため、不動産トラブルに強い弁護士の弁護士などに相談する方がいいでしょう。
貸主の都合によって、早期の契約解除を入居してからすぐの時期に行う場合には、これに伴う損失をある程度補うため高額になる場合があります。

また、入居した後の店舗でさまざま改装を室内に行った場合は、立ち退き料としてこの改装を買取する費用に相当する金額が上乗せになる場合が多くあります。
別のところでは借主が営業を続けることができない場合には、立ち退きすると営業を止める必要があるので、高額にこの補償額がなることを把握しておきましょう。

立ち退き料の相場としては、明確に法律で決められたものや、一律どの程度であるというようなものはありません。
営業の損失額や引越しする費用など、借主の状況に応じた立ち退き料を提出して交渉するようになります。
適切な立ち退き料を算出するためには、きちんと借主の状況を掴むことが必要です。

立退きはアパートと一戸建ての違いがあるのか?

アパートと一戸建てでは立ち退き料はどのように違うのでしょうか?
立ち退き料は、特に相場というものはなく、ケースによって違ってきます。
そのため、アパートと一戸建ての場合でも、立ち退き料はそれぞれの物件によって違います。

しかし、非常に老朽化が進んで危ないような建物の場合には、正当理由が退去請求に関して認可されることもあるため、立ち退き料がこのような場合には払われないことも考えられます。
十分にまだ使用できるような建物の場合には、一般的に正当理由が認可されないでしょうから、立ち退き料を借主が要求するのは問題ないでしょう。
一般的な立ち退き料としては、引越しする費用、新しい賃貸借契約に必要な費用、プラスアルファ程度でしょう。

立ち退き交渉のポイント

立ち退き交渉をする際のポイントについてご紹介しましょう。
立ち退き交渉をする際のポイントは、貸主と借主の両方が言うことを権利調整ができるような不動産トラブルに強い弁護士に相談するのが最も大切です。

賃料の滞納もなく賃貸契約が円満に継続している途中で、賃貸借契約を貸主と借主の両方で解消することがあります。
貸主の場合には、物件を返してもらった後に息子夫婦の新居にしたい、借主の場合には、高齢になったので広い古くなった一戸建てから中古の近くのマンションに移りたい、などというようなケースがよくあります。
この場合には、賃貸借契約を解消して物件を返してもらう場合には、立ち退き料が貸主から借主に払われます。
立ち退き料をどの程度にするかについては、自由に貸主と借主が決定しても問題ありません。

しかし、一般的に、立ち退き料の一つの目安としては、借地権価格がなる場合が多くあるようです。
借地権価格は、借地権割合を更地の実勢価格に掛けたものになります。
更地の実勢価格としては、一応の目安が相続税路線価なります。

しかし、実勢価格とは必ずしも言えなく、面積や地形などによって非常に価格は影響されます。
また、建物を取り壊す費用を貸主と借主のいずれが負担するかは、話し合いをお互いにして決定するようになります。
基本的に、建物を取り壊す費用に相当する金額を、借地権価格である立ち退き料から差し引いたものを借主に渡す場合が多くあるようです。

例えば、1500万円が立ち退き料、250万円が建物を取り壊しする費用とすれば、1250万円が実際の支払いになります。

押さえておきたいポイント

・事前に立ち退き料の妥当なものについて調査する
・立ち退きする意思を借主に確認する
・立ち退き料を提示する
・建物を取り壊しする費用や立ち退き期限などを決定する

上手くスムーズに貸主と借主の両方の言い分が伝わること、お金のやり取りの決済なども多いため手続きや交渉の窓口に不動産トラブルに強い弁護士になってもらうことも一つの選択肢でしょう。
また、貸主の中には、どのような方法で立ち退き交渉を進めるといいか分からない、立ち退き交渉をする時間がない、不動産トラブルに強い弁護士に任せたい、などの声も実際にはあります。

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立ち退きで困った場合には、不動産トラブルに強い弁護士に一度相談してみましょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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