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大家さん向け 不動産・賃貸トラブル「申込・募集」に関しての重要点・注意点

更新日:2021年04月21日
大家さん向け 不動産・賃貸トラブル「申込・募集」に関しての重要点・注意点のアイキャッチ

仲介業者(不動産業者)とのトラブルのポイントは3つ

➀仲介業者とのトラブルは、説明をしっかりと聞いていない場合にトラブルが起こりやすい
➁仲介業者を複数に依頼するのであれば、契約内容に専任媒介の契約が無いことに注意が必要
➂入居者の募集は、入居後の管理業務を含めて仲介業者に依頼する

宅地建物の仲介は不動産業者が対応することが可能

賃貸物件管理は経験した人であれば、あまりしたくない所です。
特に、入居者の募集は経験のない人であれば難しいでしょう。

アパートの前に見かける「入居者募集」などの張り紙をしたとしても、まず引き合いはないと思います。
大家さんが自力で物件広告(インターネット・チラシ・口コミ紹介)なども一人で実施するのは膨大な労力と費用がかかります、ましてや自身の経験が無ければ時間と費用は多く見積もった方が良いでしょう。

そのような際にサポートしてもらえ、不動産取引・管理の専門化である、「不動産業者」に任せるべきです。
土地・建物の取引の仲介は、「宅建業法12条」宅地建物取引業の許可がある「不動産業者」でないといけません。

まず、仲介というのは賃借人(大家)の代わりに賃貸契約に関わる業務を引き受けてくれたり、賃借人の媒介(物件の紹介や入居者募集・賃借の間)の対応をすることを指します。

賃貸物件の管理を不動産業者に任せるメリット

賃借物件の管理(家賃の受け取り・日常の掃除・安全点検など)は残念ながら法律で規制がなく、不動産業者(宅地建物取引業者)でなくても対応可能です。
例えば、友人・家族・自身で管理会社を立て管理業務を委託するなんてケースもあったりします。

しかし、安定したアパート・マンション経営を実現させるのであれば、管理は管理と割り切って不動産業者(宅地建物取引業者)へ任せる方が良いともいます。

不動産業者に任せた時のコストはどれくらい?

賃貸物件の管理費は、賃料の数%から多くても10%程度だと言われております。

このコストを削って自力で管理する方もいらっしゃいますが、賃料滞納トラブル・賃料改定の打診・退去時の明渡時の原状回復など大家自身がやるには限界があります。
あくまで名目としては管理費ということになりますが、ご自身の物件の収益力を維持・プラスαしてくれる為の「人件費」と考えた方が良いと思います。

仲介業者とのトラブルの原因は?

管理・仲介を委託している不動産業者とのトラブルは、そのほとんどは不動産業者の説明が不足しているケースと、大家の認識不足から起こる場合が多いです。
特に、費用の支払いを伴う事項では、後々「話を聞いていない」「話が違う」などトラブルに発展するケースが多いそうです。

そういった時は、不動産業者ではなく、弁護士に依頼した方が良いケースもありますので、相談しましょう。

また、不動産業者は慈善事業ではないので、委託した仕事に対しては、正当な費用を支払わない・渋るなどしていると結果手抜きをされ、後々不動産業者とのトラブルになるケースもあるようです。

管理・仲介業者トラブルの種

管理・仲介をセットでなければ受けられないと言われた

管理業務と仲介業務は別と考えてOKなので、セットで依頼しないといけないということはありませんが、入居者が入居した後のトラブルを仲介業者に持ち込んでくるオーナーが多いようです。
仲介手数料だけで、その後の管理まで引き受けるとなると、業務と費用が見合わなくなり、「管理・仲介」のセットで委託業務を示してくるケースはあります。
管理業務まで委託するのが厳しいようであれば、別の仲介業者を探しましょう。

仲介業者から物件広告の作成費用の支払いを求められた

店頭での掲示やホームページ・物件情報の詩への掲載などの「物件広告」は、入居者募集に欠かせません。
これらの広告費用をサービス(無料)にする業者もありますが、請求する業者もありますので、初めに確認した方が良いでしょう。
通常の範囲を超えて特別な依頼で広告をした場合には、入居者の獲得の有無に関わらず大家が持たないといけません。

通常の広告なのか特別に費用が掛かるものか確認した方が良いでしょう。

仲介手数料の半額の前払いを求められた

仲介業者によっては事務処理手数料などの名目で仲介手数料の一部の前払い・それ以外の報酬を求めてくるケースがあります。
仲介業者に支払う手数料は、成功報酬ですので、入居者が決まってから契約成立をならなければ支払う必要はありません。
仲介手数料以外の報酬を求めるのは明らかに違法です(宅建業法46条1項・2項)明確に拒否するか、弁護士に相談しましょう。

複数の仲介業者に依頼できるものなのか?

仲介には「専任媒介」「一般媒介」の二つの契約形態があります。
専任媒介は名の通り、ひとつの仲介業者が物件の仲介を担当します、要は独占契約です。
一般媒介は複数の仲介業者に並行して依頼できる形となります。

仮に別の仲介業者が入居者を探し出して契約に至ったとしても、専任媒介した仲介業者に「仲介手数料を相当額」を支払うことになり、手数料を二倍支払うことと同じになります。
専任媒介は一見すると仲介業者にのみ有利な形態と思われますが、一般媒介では、仲介業者のモチベーションも上がらないので、良い入居者探しに結びつかないなどもあります。

一般媒介契約と専任媒介契約の違い

専任媒介契約 一般媒介契約
有効期限 三か月/更新可能 なし
自身で探した入居者を探せるか? 可能 可能
自身で探した入居者と契約したか? 仲介業務の為に捻出した必要経費は払わないといけない 成立したことを通知し無かったために、その後に発生した、必要経費は払わないといけない
他の仲介業者にも依頼が可能か? 不可能 可能
他の仲介業者の客付けで制約となったら 仲介手数料相当額の違約金を支払わなければいけません
仲介業者が客付けした入居者と契約したら 契約の成立に仲介業者が寄与した割合に応じて「仲介手数料」を支払わなければいけない
仲介活動をしていることの報告 仲介業者は、二週間に一回以上活動状況の報告 なし
物件情報の公開 仲介業者は指定流通機構のデーターベースに物件情報を登録しなければいけない なし

また、専任媒介契約では物件の情報は指定流通機構(宅建業法によって設けられた不動産ネットワークの運営団体)の物件情報に登録しなければいけません。
登録された物件情報は全国の不動産業者が共有することになり、入居者募集などに効果があります。

入居者を募集その時の物件広告・内覧としてのポイントは3つ

➀広告以外でも、必ず現地の内覧を実施し、物件の現状の把握・確認をしてもらう
➁物件広告の記載が現状と異なると、契約が無効となってしまうケースも・・・
➂物件広告に記載していない項目に関しても説明する必要がある場合があります。

守っておかないといけない物件広告の作成のポイント

入居者の募集の為には、不動産業者(仲介業者)に依頼をし、物件の広告(インターネット・チラシ・のぼり等)を作成し、店頭やネットなどに掲載してもらったりして、認知をしてもらい、閲覧人数を増やし入居希望者の募集を行います。

普通は媒介契約(18項)をしている仲介業者が物件広告を作成しますが、募集している物件の情報とあまりにも事実と異なる物件広告になっている場合は、後日入居者からクレームが入り、解約になってしまうなんてことになりかねません。

物件広告に関しては、入居者希望者を勧誘するもので、広告を見た人が興味を引くようなものでなければいけませんが、「景品表示法」などでも事実とかけ離れているようであれば「誇大広告」となり、規制の対象になります。
しかし、抜け穴ということではありませんが、(景品表示法4条・宅地業法32条)広告の性質上、ある程度のキャッチフレーズやアピールポイントの強調は許されております。

とはいっても、物件の広告と実際の賃借物件との間に大きな違いがある場合は民法で定められている(錯誤・民法95条)ものにより、契約解除で引っ越し費用など請求される事も考えられますので、しっかりとした物件広告の表示をした方が良いでしょう。

記載する物件広告の内容のポイントとは?

物件広告に記載する内容に関しては、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)に詳細が記載されており、決まりがあります。
表示に関しては、不動産業界全体で決まっており、消費者庁が景品表示法に基づいて決めております。
オーナが個人的に広告を出す時でも表示規約を守る必要があります。

宅地建物取引業の免許がある不動産業者はもちろん熟知しており、従うことになっておりますので、不動産業者に依頼することが良いでしょう。

記載する物件広告の14点の内容

➀物件の種目(アパート・マンション・戸建て)
➁交通(交通手段・最寄り駅・その距離)
➂間取り
➃賃料・敷金(保証金)・礼金
➄物件の住所・建物の名称
➅建物の規模・構造
⑦使用できる面積
⑧建築年月日
➈管理費用
➉入居できる日
⑪保険加入の有無
⑫不動産業者の情報(媒介の取引形態)
⑬仲介手数料の配分
⑭定期借家契約の有無
※契約期間に定めがある借家契約
その他
間取り詳細・見取り図・外観の写真・駐車場の有無・特記事項でバリヤフリー、ペット可能、日当たりなども記載するのが通例となっていたりします。

物件広告の説明での注意点

物件広告のすべての情報が提供できるわけではないため、応募の為に広告を打つ性質上、他の広告と比較し、問題がある部分まで記載しないのが実情です。
しかし、宅建業法で定められております(宅建業法47条1号)に義務として契約に関わるような重要な事項については入居希望者に説明するという義務があると考えられており、不利益になることでも伝えないといけないということです。

例えば、心理的嫌悪事項といって、過去に自殺者がでた物件だったり、周辺の環境条件で騒音、悪臭などもありますので、注意が必要です。

必ず物件の広告の現地の確認・現状の把握をしてもらう

物件広告では、入居希望者を募るために魅力的な文言などをキャッチフレーズとします。
例えば【駅から徒歩5分の好立地】などです、その記載方法に関してもしっかりとルール(表示規約)があり、道路距離80メートルを徒歩1分で計算されているもので、実際に5分で行けるという保証はありません。
また、信号待ち・坂道などは考慮しないので現状を把握してもらわないと、所要時間などでトラブルになるケースがあります。

リフォーム予定を記載している場合でリフォームしない場合は「リフォームしてくれなど」「賃料を下げてくれ」などの話が出てくる可能性があります。
賃貸借では、大家と入居者との間の信頼関係がこういったケースで損なわれてしまうので、もし、トラブルになっているようであれば、弁護士に相談する事をお勧めします。

入居者を審査・選別としてのポイントは3つ

➀国籍などの理由に入居拒否をすると、慰謝料などの請求をされることがあります
➁入居者から受け取った個人情報の取り扱いはしっかりとしましょう
➂入居審査の重要性をよく認識し、安心・信頼できる方を選別しましょう

入居者の審査・選別

賃貸借契約は長期継続を前提とし契約をします。
一度、入居した賃借人に対しては、家賃の未払いなどの重大な契約解除理由が無いと退去してもらうのは困難になります。

問題のある入居者は物件を乱暴に扱ったり、近隣住人とのトラブルになるケースも多く、結果的に求めている入居者が周りにも来なくなってしまうという影響があります。
大家にとって、優良な入居者をどう見極めるかが重要で選別に関してはしっかりと行わなければいけません。

入居者のポイントと注意点

入居審査は、入居希望者に審査に必要な「入居申し込み書」を提出してもらい大家自身が仲介業者(不動産業者)と面談するなどして決定します。
入居審査において重要なのは【人】と【お金】になります。

●人に関しては、入居者・同居者・連帯保証人などの職業・人柄などになります。
客観的には把握しにくい部分ではあるものの、以下のような方はそういった傾向があるかもしれません。

➀権利意識が強い方
大家への過剰なクレーム・契約更新・原状回復などでトラブルが出やすい

➁神経質な方・乱暴な方
隣人とのトラブル・物件破壊を引き起こすケースが多い

➂ルーズで適当な方
賃料の遅れ・物件の破損

●お金に関しては、入居者や連帯保証人の経済力になり、所得状況(勤務先・職種・年収・勤続年数)などで自営業であれば営業状況などで、賃料未払いのリスク判断ができると思います。
年齢の割に、勤続年数が短い(転職・退職・失業リスク)・営業状況が社会的に不況業種(資金不足・倒産リスク)など注意が必要です。

空室解消するために、審査規定を無視し、安易に入居させてしまった場合は短期的に賃料収入が上がると思いますが、トラブルになった場合に退去の為に要する時間と費用が掛かる可能性と、精神衛生上よくないので、この場合は早めに弁護士に相談・依頼をしましょう。

入居審査でのトラブルの種

入居を拒否した所、拒否理由の開示を求められた

基準は大家の意向と、不動産業者のノウハウなどで決定します、その内容を入居希望者に開示する強制力はありません。
また、理由を説明する事で二次トラブルを引き起こしてしまうケースもあります。

したがって、入居拒否について結果のみにし、理由については様々な事情から判断したともどすのが良いでしょう。

単身高齢者・外国人・障害者であることによる入居拒否

通常の方とは違うので、断るケースが多いですが、誰と賃貸契約を交わすかは大家が自由に決定することが可能です。

しかし、単身の高齢者の対応を取ってしまうと、契約義務違反となり、損害賠償請求をされてしまうケースがあります、障碍者・高齢者の責任は行政の仕事と割り切ってしまうのも自由ではありますが、高齢者を入居させた場合は、建築資金借り入れで金利の優遇があったり、補助金などが受けれるケースがあったりします。
しかし、補助金を受けている場合に拒否した場合は、借入金の一括返済や補助金の返還なども求められるので、注意が必要です。

審査に必要な書類の提出を求めた際に個人情報に関わると拒否された

賃料を支払える収入を確認するために、勤務先・年収・勤続年数・資産の保有状況を聞きたいところですが、審査に必要な書類の提出を拒否する入居希望者もあります。
必ず、求めるようにしたいところですが、戸籍謄本や取引先金融機関の残高証明書などはプライバシーに引っかかる可能性があるので注意が必要です。

まず、事実確認の為になぜ必要なのか?をきちんと説明を行いましょう。
審査が完了した後に、提出書類の返還を求めてくる場合お有りますが、入居許可が下りた場合には変換できない旨を説明しておく必要があります。
原則として、保有し続けるもので必要なければ返却し、確実に書類は廃棄できるようにして下さい。

入居希望者の情報の管理

個人情報保護法で決まっている、顧客情報件数が5,000件を超えなければ個人情報の記録の取り扱いはなかったのですが、2017年5月30日からは5,000人要件の撤廃(小規模事業者も規制対象になる)となり、記録の作成は義務付けられました。

個人情報の取得において、利用目的を特定し、限度内でのみ使用できるという規制があります。
したがって利用目的の事前の通知・公表・利用の目的など利用を守らなければいけません。

また、勝手に入居者希望の個人情報を勝手に第三者に提供するした場合は慰謝料を請求されるケースがあります。
大家さん自身で入居希望者の個人情報を持つことはせずに、不動産業者に任せるのが良いでしょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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