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立ち退きの通知に必要な正当事由とは判例から学ぼうのアイキャッチ

立ち退きの通知に必要な正当事由とは判例から学ぼう

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まず、「判例」とはどのようなものでしょうか?

判例というのは、「裁判所によって過去に下された判決、命令、決定」のことを広い意味では言いますが、「一定の法律についての裁判の先例をベースにしたものの解釈で、別の事件の判断にこの法解釈が後から適用されることがあるもの」のことを厳密には言います。

この考え方は、同じような事件や訴訟が将来起きた場合、法の公平性を保つために、判決内容が裁判官によって違うことが起きないようにするためのものです。
そのため、判例は、裁判でその後の拘束力が判決においてあり、影響を与えるようになります。

また、裁判において、最高裁判所の過去の判例などに下級審の判決が反する場合には、上告がこれを理由にできるため、事実上判例には拘束力があるとされる理由になっています。

立退きの正当事由とは?

正当事由というのは、建物・土地の賃貸契約の場合に、貸主が立ち退きを申し入れたり、契約の更新を拒んだりする時に必要な理由のことです。
一般の契約の場合は、解約を申し入れたり、期間が満了になったりすることによって特別の理由がなくても終わります。

しかし、建物・土地の賃貸契約の場合は、借主を守るために、正当事由が更新する際の拒絶などの場合は必要であるとされています。
この正当事由は、強行規定で、契約条項としてこれに違反するものは無効になります。

正当事由にどのようなものがなるかは、裁判で判断されており、判例が多くありますが、当然ですが、傾向的に借主に有利になります。

借地借家法では、現在、判例によって、正当事由は借主・貸主が建物・土地の使用を必要な事情、賃借についての従前の経緯、建物・土地の利用状況、立ち退き料などを考えて判断するとなっています。
正当事由がなければ、建物・土地の賃借を終わらせることができないルールは、貸家供給を妨害する恐れがあるという強い意見もあり、特約で契約更新を認めないというものを締結することも、一定の要件を満たす場合はできるように、最近は法律が改正されています。

このような賃借権の特約付きのものが、借家権・定期借地などです。

立ち退きの場合はどのような手続きが必要になるの?

立ち退きの大まかな流れ

正当事由が、借主に立ち退きしてもらうためには必要になります。
また、立ち退きの通知は、賃貸契約を更新する日、あるいは立ち退きしてもらう日の6ヶ月~1年前に行う必要があります。

立ち退きの大まかな流れとしては、以下の流れというようになります。

・借主に書類などで立ち退きの経緯を伝える
・立ち退きを口頭などで説明する
・立ち退き料について交渉する
・退去する手続きをする

正当事由が立ち退きの場合は必要である

立ち退きを借主に要求する場合は、正当事由が必要です。
賃貸契約の場合は、借主に債務不履行として家賃滞納などがないと、基本的に、解約は貸主・借主の両方の合意がないとできないので、立ち退きを要求できません。

しかし、正当事由として立ち退きを要求するものが認められると、立ち退きを裁判によって要求することができます。

正当事由があるかが、立ち退きを交渉する場合も大切になります。

立退きの正当事由としては?

・家賃を借主が滞納しており、勧告などでも応じない
・やむを得ない建物の老朽化などの理由がある

なお、貸主の場合は、立ち退き料で正当事由を補完できます。

立ち退きの通知は6ヶ月~1年前に行う必要がある

賃貸物件の立ち退きを貸主の都合で要求する場合は、基本的に、立ち退きの通知は6ヶ月~1年前に行う必要があります。
借地借家法においては、賃借の更新を拒否する場合は契約期間が満了する6ヶ月~1年前に伝える必要があるとなっています。

・立ち退きを要求する場合の補償

立ち退きを貸主の都合によって要求する場合は、必ず補償が必要ということではありません。
しかし、立ち退き料などを立ち退きの正当事由を補うために支払う場合があります。
立ち退き料の具体的な内容や金額については、借主と交渉する内容によって違ってきます。
基本的に、賃貸の立ち退き料としては、以下のものが挙げられます。

・引越し費用
・引越し先で必要な礼金・敷金・不動産仲介手数料などの費用
・家賃が高くなる場合は家賃差額

立退きにおける合意書の作成方法は?

貸主が、借主に対して立ち退きを交渉した場合は、合意書を作成する必要があります。
では、立ち退きの合意書はどのように作成するといいのでしょうか?
ここでは、立ち退きの合意書を作成する方法についてご紹介しましょう。

立ち退き料の金額、立ち退きの期日、支払い期日、支払い方法などが合意できると、一般的に立ち退き合意書を取り交わすようになります。
借主としては、引越し業者に頼んだり、新しい住まいの契約をしたりするために、立ち退き料をくれないと困るでしょう。

貸主としても、立ち退き料を払ったにも関わらず借主が立ち退いてくれないと困るため、合意書を作成する場合が多くあります。
大切な合意書であるため、せっかく合意した内容が合意書にきちんと入っていなかったり、不利なことが入っていたり、不備があったりすると、先々困るようになるでしょう。

約束を口頭でしたのを信用して引越ししたが、なかなか立ち退き料を払ってくれない、考えていた立ち退き料より非常に少なかった、原状回復にかかる費用を要求された、などというようなトラブルをよく耳にします。

非常に立ち退き合意書は大切で、面倒かもしれませんが、このようなトラブルにならないためです。
多くの場合は、まず合意書を貸主で作成して、締結を借主に要求します。
そのため、借主としては、合意書を作成する必要がないため、それほど心配する必要はありません。

一方、貸主は、合意書を作成するため、貸主自身に都合がいいような内容にすることもできます。
しかし、借主が納得しないような不利な内容の場合は、合意してくれません。
借主が納得してくれるまで訂正を要求されるでしょう。

そうしなければ、せっかく合意したにも関わらず、無駄にそれまでのことがなりかねません。
そのため、貸主が立ち退き合意書を作成する場合は、合意した内容について借主のことも考えて作成する必要があるでしょう。

なお、弁護士事務所の場合は、貸主の事情も配慮しながら合意書を作成してくれるためおすすめです。
また、貸主側に不利な条項が合意書にないか確認してくれます。

 

立退きにおける実際の判例

ここでは、立ち退きの相談の中において、貸主に有益と考えられる相談内容についてご紹介しましょう。

立ち退きの正当事由が建物賃借で認められる条件

では、立ち退きの正当事由が建物賃借で認められるためには、条件としてどのようなものが必要なのでしょうか?
建物立ち退き訴訟の場合に、中途解約を貸主から行うことが正当事由がない場合でも認められるのでしょうか?

立退きの事例

貸主が持っている築40年近くのアパートは、相当老朽化しています。
ほとんどの周りの建物も建て替えられており、ほとんどの建物が鉄筋コンクリート造か鉄骨造の賃貸マンションになっています。

このような状況において、昔からの住人がこのアパートには住んでおり、立ち退きしに難しそうな人が何人かいますが、借主に建て替えの話をこの際にして、商売につなげたいと思っています。
なお、貸主は相当資産があり、すぐに建て替えしないと暮らしに困るわけではありませんが、相当高齢であるため、息子と一緒に今のうちに話を進めたいと考えています。

立退きにおける質問内容

①まだ建物も使用できるし、貸主も資産を持っており、暮らしに困らない状況で、正当事由が借主の立ち退きについて認められるのでしょうか?
なお、土地の容積率の消化状況は50%くらいと想定されます。

②立ち退きが困難であると思われるほとんどの人が、更新時期を6ヵ月後に迎えるため、すぐに今から借主から了解を取った場合でも、更新拒絶の通知を期間が満了する6ヶ月~1年前に行うためには間に合わないような場合は、2年後の次に更新する時まで待つ必要があるのでしょうか?

いい方法は他にないのでしょうか?

①の質問に対する回答

正当事由が認められる可能性は、客観的な貸主が取り巻かれている状況を見る限り、相当低いと思われます。
しかし、相当建物も老朽化しているようであり、周りの建物との関係や、有効に土地を利用するという点において50%くらいの容積率の消化状況であるため、認められる可能性が今から提示する条件によってはあります。

なお、積極的な貸主の建物使用という必要性が少ないため、借主には、立ち退き料として相当高額のものを払わなければ、正当事由を補うということにはならないと考えられます。
また、本件と同じような場合の判例としては、昭和57年7月19日の大阪地裁のものがあります・

しかし、この場合の木造長屋式家屋の建物は、後10年耐用年数があると鑑定されており、この判決では、貸主が立ち退き料として相当高額のものを支払うのであれば、貸主の必要性などを補って、正当事由があると認めるのが妥当であるということで、立ち退き料としては、借家権価格だけでは十分でなく、移転の費用と移転先を確保するための費用以外に、借主のその他の個別的事情を重要視して計算した金額が妥当であるとしています。

➁の質問に対する回答

建物の立ち退きを要求するには、更新拒絶という方法が必要であるということでは必ずしもなく、更新拒絶の通知が法定の期間内にできないと、契約は法定更新され、この場合は、契約として期間の決めがないものになるため、その時点において、中途解約の申し入れを貸主から正当事由があるという前提で行う方法もあります。

判例は、この点に関して、「正当事由が解約を申し入れする時に補完されていない場合でも、解約の申し入れに基づいて建物の立ち退きの訴訟中に正当事由を補完した場合は、その正当事由を補完した日から当該の賃貸契約は6ヵ月が経つと終わる」と解しています。

そのため、借主が話し合いではどうしても立ち退きに応じなければ、訴訟において、正当事由を補完する材料として立ち退き料のの支払いをあらためて提供することによって、判決が出るのを待つということも考えられます。

立退きの正当事由が無い場合は?

正当事由が無い時はどうすればいいのでしょうか?

解約申し入れあるいは更新拒絶の正当事由があるかどうかは、賃借に関係するトラブルの中においても、最も困難なものであると言ってもいいでしょう。
貸主が、よく建物が老朽化したため建て替えしたいためとか、子供が結婚したので入居させたいため、などということから正当事由があると思うような人がいますが、このような単純なことではありません。
総合的に貸主、借主の両方の事情を考慮して判断する必要があります。

しかし、現実の判例として、正当事由が立ち退き料を全く支払わないで認められる場合は非常に稀です。

今回の事例の場合も、建て替えを築40年近いため行いたいということであるため、正当事由がこれのみで認められるのは困難です。
このように正当事由が無い時は、立ち退き料として相応のものを支払うことが必要になると考えられます。

立退きを弁護士に相談するメリット

借主が悪質な行いをした際には、弁護士に相談するのがおすすめです。

・家賃を借主が滞納していると支払うようになる

家賃を借主が滞納するのは、家賃を支払うことの優先順位が下がっているためです。
しかし、一旦弁護士が間に入ると、問題が解決した後も家賃を優先して払うようになります。

揉めないで解決できる

借主と貸主のトラブルでは、当事者同士で話し合いをすると感情的によくなるため、全く話が進まないことが多くあります。
しかし、弁護士が間に入ることで、交渉が冷静かつ揉めないでできます。

早期に解決できる

弁護士の場合は、法的な知識と経験が豊富にあるので、速やかに交渉ができます。
このように、弁護士に立ち退きの相談をすると多くのメリットがありますが、一方、弁護士に立ち退きを相談する場合は、注意することもあります。

立退きにおける注意する点やデメリット

・関係が借主と悪くなる
・家賃を借主が滞納していると破産するリスクがある

しかし、立ち退きを借主に要求する場合は、ぜひ多くのメリットがある弁護士に相談しましょう。

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編集部

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