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ちょっとまった!家具・家電付き物件のメリット・デメリット

更新日:2020年06月16日
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家具・家電付き物件というのは、賃貸物件で家具・家電がすでに設置されているものです。
賃貸物件に入居する際に、家具・家電を買うためのお金がないというように悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

賃貸物件によって違っていますが、家具・家電付きの賃貸物件のマンションなどに設置されている一般的な家具・家電としては、以下などが挙げられます。

・ベッド
 ・収納するためのインテリア
 ・ライティングするためのデスク
 ・ソファー
 ・椅子
 ・カーテン類
 ・テレビ、テレビ台
 ・冷暖房エアコン
 ・ダイニング用テーブル
 ・冷蔵庫
 ・照明器具

しかし、家具・家電付き賃貸物件は、メリットだけでなくデメリットもあります。
そのため、気がつけば家具・家電付き賃貸物件で損していた、というような場合もあり得ます。

ここでは、家具・家電付き賃貸物件のメリット・デメリットについてご紹介しましょう。
家具・家電付き賃貸物件の場合は、ここでご紹介するようなメリット・デメリットについて十分に確認しておきましょう。

 

家具・家電付き賃貸物件のメリット・デメリット

メリット

・イニシャルコストが節約できる

家具・家電付き賃貸物件は、家具・家電を買う必要がありません。
新しい賃貸物件を探す場合は、礼金・敷金、引越し費用など、多くお金がかかるものがあります。
そのため、イニシャルコストが少なくなるのはメリットがあります。

・入居が手軽にできる

家具・家電付き賃貸物件であれば、快適な生活が入居した日から送れます。
引越しが手ぶらでもできます。

・簡単に引越しができる

家具・家電付き賃貸物件であるため、入居したり、退去したりする際に簡単に引越しができます。
多く転勤や出張などがあり、家具・家電は最低限のものさえあるといい、引越し費用を少なくしたい、地元に就職する予定があるため家具・家電は必要ない、というような場合は、家具家電付き賃貸物件はおすすめです。

 

デメリット

・自分が好きなカラーで揃えられない

家具・家電は事前に設置されているため、ブラウンの椅子がいいなどというように、自分が好きなカラーを要求することは基本的にできません。
そのため、インテリアのカラーなどにこだわる場合は向いていないでしょう。

・製品が選択できない

実は製品が選択できないことがデメリットです。
例えば、テレビのサイズにこだわったり、ベッドの高さにこだわったりする場合は、難しいでしょう。

・他の人が一回以上は使用している

家具・家電付き賃貸物件の場合は、新築でなければ、他の人が一回以上は少なくとも使用しています。
また、新築の場合でも、家具・家電のリサイクル品を使っている場合があったりするため、きれい好きの場合はおすすめではありません。
ドライヤーなども、その部屋でずっと使用されていたりすることもあるかもしれません。
そのため、女性のように衛生面が気掛かりな場合は難しいでしょう。

 

家具・家電が故障した場合はどうすればいいのでしょうか?

家具・家電が故障した場合は、物件の契約スタイルによって違ってくるので、賃貸借契約書を必ず確認しましょう。
家具・家電として賃貸借契約書に書かれている場合は、基本的に、ほとんどの場合は修理したり、交換したりする費用は家主が負担します。
口頭でも契約する際には確認しましょう。

また、賃貸借契約書に、無償貸与、貸与、設備外、などというように書かれている場合は、借主が修理する費用を負担します。
家主は、使えない家具・家電は処分しますが、家具・家電を新しく買うことはしません。
家具・家電を買う際には、実際に費用がかかります。
そのため、家具・家電付き賃貸物件の場合は、一般の賃貸物件と比較して家賃が割高になっています。

しかし、家具・家電を自分で買う方が最終的に安かったというようなことは避けたいが、できるだけ家賃は安い方がいいというのも、共通した借主の意見でしょう。
このようなことは、一般の賃貸物件だけでなく、家具・家電付きの賃貸物件の場合も同じですが、交渉が家賃についてはできることがあります。
家具・家電付き賃貸物件は、割高な場合が多くありますが、粘り強く予算と照合して探すと、掘り出し物のものももしかするとあるかもしれません。

 

前の住人の物?それとも家主の物?

部屋にある設備が、以前の住人が置いていった物か、あるいは家主が設置した物か、外観のみでは見極めができないこともあるでしょう。

では、内覧で部屋を探す場合はどのようなことを確認するといいのでしょうか?
部屋の中の設備として、照明器具やエアコン、ベッド、ガスコンロなどというようなものが設置されている場合があります。

残置物は、そのまま使っても問題はない?

家主が設置した設備もありますが、前の住人の残置物もあります。
しかし、故障した場合に家主に依頼しても対応してくれません。
そのため、故障した場合は、費用を自分が負担して修理したり、交換したりする必要があります。
設備が部屋にもともと設置されていたものかどうかは、賃貸借契約書を確認すると分かります。
賃貸借契約書にある設備一覧で、丸が「有」についている場合は家主が設置したものです。
もし、丸が「無」についているにも関わらず、部屋に設置されている場合は、残置物の可能性があります。

また、内覧する場合は、一つずつ部屋の中にある設備を確認して、残置物かどうかを家主に尋ねておきましょう。
一方、残置物でも使うつもりがないベッドや照明器具などがあると、撤去してくれるか家主に尋ねておきましょう、エアコンが残置物にあると非常に助かります。
自分でエアコンを設置する場合は、製品を買う費用だけでなく、工場費もかかるためです。
しかし、エアコンの寿命は10年くらいの場合も多くあるので、残置物のエアコンの場合は、設置をいつ頃したのかを家主に尋ねておきましょう。
そして、エアコンを交換するタイミングを考えて予算を確保しておきましょう。

 

契約書の書面をチェック

不動産の契約書の書面は、読んでも分かりにくくなっています。
慣れると契約書の内容がすぐに分かってきますが、普通の人は契約書を見るのは人生において何回もないでしょう。
そのため、当然ですが、苦手意識があり、分からないでしょう。
ここでは、初めて不動産の契約をする場合でもよく分かるように、不動産の賃貸契約書についてご紹介しましょう。

・設備

設備として、不動産の契約書の設備一覧で丸が「有」についているものは、家主から借りているものです。
このような設備が故障した場合は、修理する費用は家主が負担するようになります。
しかし、故意に故障させた場合は対象になりません。
不動産の契約書の設備一覧には、浴室やトイレ、台所などに、どのような設備が設置されているかがきちんと書かれています。

・残置物

残置物は、前の住人が置いていったものです。
使用できそうなきれいなものは、家主は前の住人が退去した後もそのまま置いておく傾向があります。
残置物は使用しても問題ありませんが、使用できなくなっても家主は修理してくれません。

もし、使用しなければ、家主に相談すると、入居する前に撤去してくれます。
代表的な残置物としては、照明器具、ガスコンロ、エアコンなどがあります。
この場合に注意する必要があるのは、残置物の設備です。
契約書では丸が「無」についている場合でも、部屋の中に設置されていることがあります。

例えば、照明器具やガスコンロなどがあります。
前の住人が置いていったもので、今後使用しないためそのまま置いていったのでしょう。
そのまま残置物を使用しても問題ありませんが、契約上は無いようになっているため、故障しても家主は修理などはしてくれません。
部屋の中にあるため、設備と間違える場合も多くあります。
ガスコンロは、特に残置物として多くあります。

また、残置物としてエアコンがある場合は注意しましょう。
故障すると最悪の場合は自分で交換する必要がありますが、小さなワンルーム向けのエアコンの場合でも、工事費を含めると5万円程度は掛かります。

 

注意したい「原状回復義務」

原状回復義務には注意しましょう。

・基本的な原状回復の考え方

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」においては、「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損を復旧すること。」というように定義されています。

しかし、建物の損耗、毀損の復旧のための負担をよく分かるようにするために、このガイドラインにおいては、損耗、毀損を次にご紹介するように3つに分けています。
設備・建物などの自然的な損耗・劣化などは、時間が経過するにしたがって自然に損耗、劣化するもので、経年変化と一般的に言われています。
借主の普通の使用によって起きる損耗などは、通常損耗と一般的に言われています。
借主の過失・故意、善管注意義務違反、これ以外の普通の使用をオーバーするような使用による損耗などがあります。

また、善管注意義務というのは、借りている部屋を借主は相当注意して管理、使用する必要があるということです。
そのため、起きることそのものは仕方がない結露などのような現象でも、これをそのままにしておいて手入れを適切に行わなくて、被害のカビなどが拡大したような場合などは、借主が善管注意義務に反したということで責任を問われることがあります。

なお、先にご紹介したガイドラインにおいては、借主の過失・故意、善管注意義務違反、これ以外の普通の使用をオーバーするような使用による損耗などだけが、借主が負担する必要があるとなっています。
例えば、次の住人のための設備交換、内装のリフォームなどの場合は、経年変化、通常損耗による修理であるため、家主が負担するようになります。
また、これ以外に、不可抗力の地震などによる損耗など、あるいは借主とは関係がない第三者による損耗などは、家主の負担になります。

・トラブルを避けるために注意すること

トラブルを避けるために注意することについてご紹介しましょう。
入居する際には物件を徹底的に確認しましょう。
原状回復のトラブルの要因の大きなものとしては、入居する際に物件を十分に確認していなかったことが挙げられます。
長期の賃貸借期間の場合は、特に時間が経つにつれて、入居した際の状態や損耗の具合などが不明確になるので、責任の所在などが退去する際に明確にならない場合が考えられます。
そのため、入居する際には、部屋の中の状態、損耗などを記録しておいて、家主、借主の両方で確認しておくのがおすすめです。

なお、借主が入居する際に確認すべき項目については、ネットなどで紹介されているため参考にしましょう。
また、契約書の内容を徹底的に確認しましょう。
契約する際には、先にご紹介したガイドラインに、契約書で決められている原状回復義務の内容が沿っているか確認する必要があります。

 

家具・家電付き物件のメリット・デメリットのまとめ

ここでは、家具・家電付き物件とは? 家具・家電付きのメリット・デメリット、前の住人の物?それとも家主の物? 契約書の書面をチェック、注意したい「原状回復義務」、についてご紹介しました。
家具・家電付き物件というのは、賃貸物件で家具・家電がすでに設置されているものです。
家具・家電付き賃貸物件のメリットは、イニシャルコストが節約できる、入居が手軽にできる、簡単に引越しができる、ことが挙げられます。
家具・家電付き賃貸物件のデメリットは、自分が好きなカラーで揃えられない、製品が選択できない、他の人が一回以上は使用している、ことが挙げられます。
部屋にある設備が、以前の住人が置いていったものか、あるいは家主が設置したものか、外観のみでは見極めができないこともありますが、賃貸借契約書を確認すると分かります。

初めて不動産の契約をする場合は、不動産の賃貸契約書の書面を徹底的にチェックしましょう。
基本的な原状回復の考え方としては、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしましょう。
契約する際には、このガイドラインに契約書で決められている原状回復義務の内容が沿っているか確認する必要があります。

この記事の著者

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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