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不動産売却のトラブル事例、確認すべき点とその内容とは?

更新日:2020年05月26日
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不動産売却ってどんなトラブルがあるのか

 不動産売却において起きるトラブルにはどのようなものがあるでしょうか。国土交通省発行の平成27年度宅地建物取引業法施工状況調査をもとにトラブルについて見ていきましょう。
 まずは宅地建物取引業法関連での苦情件数についての推移から見ていきます。
 

相談件数
平成18年度 4191
平成19年度 3790
平成20年度 3595
平成21年度 2946
平成22年度 2886
平成23年度 2339
平成24年度 2088
平成25年度 1906
平成26年度 2145
平成27年度 2164

この表を見る限り、年々宅地建物関連の苦情問い合わせ件数は減少傾向にあります。そのうち取引形態別の苦情・紛争相談件数はどうなっているのでしょうか。
 

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度
売買関係の紛争 1263 907 1231 629 625 605 421 467 399 470
代理売買の紛争 1149 1065 868 760 804 715 672 571 620 621
代理賃貸の紛争 754 692 546 576 619 503 505 406 430 436

物件別苦情・紛争<br />
相談件数
 出典:国土交通省ホームページ (http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000137.html)
この表を見る限りでは中古マンションに関する相談が492件と最も多くなりました。ついで土地付き建物の中古物件が多くなっています。
 では、具体的に不動産売却ではどのようなトラブルが苦情・紛争が多いのでしょうか。
物件別苦情・紛争<br />
相談件数
 出典:国土交通省ホームページ (http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000137.html)
重要事項の説明不足が最も多いトラブルの原因でした。例えば不動産会社にて書類にサインをして契約を締結したとします。その後、契約内容について説明されていない新しい文章が送られてくるなどしてトラブルになることが多いです。
 その他にはローン不成立とありますがこれは住宅ローンの滞納や信用情報から見てローンが組めなかった場合を指します。多くの人は滞納すれば信用情報に傷がつくことを理解しているので滞納せずコンスタントに支払おうとしますよね。

契約の解除でのトラブル

 不動産売却において契約解除が起きうるタイミングは2回あります。契約と引き渡しです。この契約解除については契約解除ができるトラブルと簡単にできない場合があります。
 これは契約をしてから引き渡しをするまで約1か月ほど時間が空いてしまいます。その結果引き渡しを待っている間にやっぱり別の物件が良いと思う人が少なからずいるのです。
 主にトラブルになる流れとしては買手がやはり買うのをやめると言い、売り手は不履行だということで損害賠償請求をすることや買うのをやめることを拒否できるのです。
 ただし、こうした当事者間のトラブルや言い分がきっかけで契約解除になった場合は不動産会社へ支払った仲介手数料を返金することができません。
 またこうしたトラブルが起きる背景には買い手と売り手の両者が安易に契約して安易に解除できると思っていることが大きいです。契約を締結する際にはどのラインまでなら契約解除をすることができるか、契約内容に双方の勘違いがないかをしっかりと確認しておきましょう。
 売り手は一度売りに出してしまった場合には安易に取り消せないこと。買い手も安易に契約解除できないことを十分に理解した上で売買をするようにしましょう。

瑕疵問題のトラブル

 瑕疵(かし)と読みます。瑕疵問題は不動産売買で売り手に重い負担をかけている問題です。売り手側の責任もあるので瑕疵担保責任と言われることも多いです。瑕疵が隠されていて後々発見された場合には売り手側が責任を取るので瑕疵担保責任と呼ばれています。
 瑕疵担保責任は売り手が法人の場合は必ず担保責任として瑕疵があった場合のサポートをしなければいけませんが個人の場合は瑕疵担保責任を回避することができます。しかし、この瑕疵担保責任の回避は瑕疵を売り手が知っていながら告げなかった場合は無効です。要は知っていながら瑕疵の存在を買い手に知らせないのは契約違反になり契約の締結が正常にはいかないということです。
 では、売り手が売買契約締結後に物件の検査をして引き渡しまでに瑕疵がないか見ていたところ瑕疵を発見し引き渡しまで時間がないからと黙って買い手に引き渡した場合はどうなるのでしょうか。これは大きなトラブルの始まりになってしまう可能性があるので注意が必要です。
 契約後でも引き渡しまでは売り手側の責任が存在します。つまり瑕疵担保責任が売り手側にはあるのです。売り手と買い手の公平性を保つためにも瑕疵担保責任の存在は非常に大きなものになっています。

不動産トラブルになる前に行う行動と対策

 不動産売却でトラブルにならないためにできることはどのようなことがあるでしょうか。不動産は金額が金額です。一生に1度しか購入できない人もいるでしょう。そのためこだわりやお金に対する意識などが他の購入するものとは比べ物になりません。

<契約解除について>

 契約をしてもいつまでなら解除できるか、どのような条件下だったら解除しても問題にならないかを当事者同士で共有しておく必要があります。そして当事者同士の共有も大切ですが不動産会社にもその情報を共有しておくとさらに安心して契約を進めることができます。

<瑕疵問題の捉え方>

 瑕疵問題は不動産物件を取扱う上でとても大切です。皆さんも購入したての物件ですぐに雨漏りが発生したらどうでしょうか。売り手がなぜこれを早く言わなかったのか怒りたくなる気持ちもわかりますよね。
 売り手側の心理からすると瑕疵が発覚してしまうと物件の価値が下がってしまうので隠したいという気持ちもわからなくはないですが信用問題につながってくるので絶対にしてはいけないことです。また売り手しか理解できていない瑕疵は不動産会社も気づくことが難しいです。念のため不動産会社は告知書という瑕疵を売り手に告知してもらう紙を渡しています。売り手は正直に書くようにして後からのトラブルを回避するためにも告知するようにしましょう。

その不動産会社安心ですか?確認すべき事項!

 不動産会社はどこも同じサービスをしているわけではないです。では、どこでサービスに差ができてくるのでしょうか。それは不動産業者と売り手・買い手のコミュニケーション不足が原因です。
 その中でも誰でもわかる危険な不動産業者の見分け方がありますよね。煽るように強引な契約を迫る業者、決め付けて話を進めていく業者、高圧的な態度をする業者、レスポンスが遅い業者などは危険な業者と思っても仕方がないですね。
 最終的な不動産会社の判断は自分の目で見て確認するしかないですが、信頼出来る不動産会社であれば何かとトラブルや相談したいことがあったときに真摯に対応してくれることでしょう。
 よって確認すべき点は不動産会社の人の対応の仕方やレスポンスの速さではないでしょうか。

不動産売却のトラブルは弁護士に相談

 不動産売却におけるトラブルは法人と個人が関わってくるので複雑な関係になりやすいです。さらに自然に経年劣化する不動産は瑕疵判断をするのも難しいです。よって、不動産関係でトラブルに巻き込まれてしまったら弁護士へ相談するのが先決です。
 不動産は金額も高額で一生に一度の買い物となることが多いです。買い手にしてはもちろんですが一回あたりの売値が高いので不動産会社や売り手にとっても死活問題になりかねません。
 個人では訴訟を起こすまで時間も労力もかかってしまうので弁護士など専門家の力を借りるようにしましょう。

何かある前にまず相談を

 弁護士への相談は何かあったときしか利用できないわけではないです。何かある前にも弁護士へ相談することはできます。もし不動産会社に不信感を持ってしまったり、売却に関して不審な点がある場合は弁護士を連れて交渉の場へ向かうことも一つの手です。
 信頼出来る不動産会社の人がいる場合はその人へ相談することもできますね。不動産に関しては素人な人が多いのでどうしても不安になるのは仕方がないことです。

まとめ

 不動産売却に関するトラブルは年々減少傾向にあります。しかし、なくならない理由は不動産会社と売り手・買い手のコミュニケーション不足によって起きていることがほとんどです。
 コミュニケーション不足の背景には瑕疵を隠蔽することや契約を安易に解除するなど売り手・買い手の認識が共有できていないことが挙げられます。
 そして何より不動産は費用が高額です。一生に一度の買い物になる人が多いので買い手としては慎重になり、普段は気にならないことも気になってしまうことがあるのです。不動産取引で不信感を持ってしまったり気になることが多い場合は弁護士や不動産会社の知り合いなど信頼できる人に相談し不動産業界の一般論と比べてどうなのかを判断してもらう必要があります。不動産に対しての知識が無い人が多く悪質な不動産会社は強引に売りつけてこようとする場合もあります。そんな時は弁護士と一緒に抗議をしてトラブルを早めに解決すると良いです。
 不動産関係の紛争・苦情がなくならない根底にはコミュニケーション不足と自分勝手な考えがあることを十分に理解しておくようにしましょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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