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耐震強度は大丈夫?旧耐震と新耐震

更新日:2018年12月29日
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1981年から耐震基準が変わりました

耐震基準とは建築基準法で決まっている地震に対して耐えることができる強度のことです。もともと耐震基準について考えられるようになったのは1891年に起きた濃尾地震がきっかけでした。この濃尾地震をきっかけに耐震基準について調査や研究をするようになります。
この耐震基準についての研究や調査が形になったのは1923年の関東大震災の翌年に改正された建設基準法の前段階である「市街地建築物法」です。関東大震災では全壊した建物は12万8千戸にも及びました。
市街地建築物法では鉄筋コンクリート造の建物や木造住宅に対する地震基準が設けられました。しかし、市街地建築物法施工後にも地震がきっかけで建物が崩れてしまう事案が発生します。それが1948年に起きた福井地震でした。福井地震は福井県の真下で活断層が活動したことで起きた地震で内陸直下の大地震でした。マグニチュードは7.1でこれは新潟県中越地震よりも大きな値を示しています。
福井地震では福井県内の民家やビルがほとんど倒壊し道路は陥没してしまいました。家屋の倒壊や電柱などからの漏電が原因で各地で火災が発生したのもこの福井地震の特徴の一つです。最終的に福井地震での死者は3796人、家屋倒壊は36184戸、半壊が11816戸にも及びました。この地震を機に1950年には建築基準法改定が行われて鉄筋コンクリートや木造住宅の設計にさらに大きな影響を与えたほか、全国の建物に耐震設計をするように義務付けまでされました。
建築基準法ではなく耐震設計方がその後見直されたのは1978年の宮城沖の地震が原因でした。震度5という揺れが仙台市内を襲います。この揺れで住宅の半壊は4200戸、部分壊が74000戸と被害は多大でした。
宮城沖地震を教訓に1981年に新耐震設計基準が施行されました。21世紀になった現在では1981年以前を旧耐震と呼び、1981年以後を新耐震と呼んでいます。
現在では地震に対する様々な研究も進んで来ていて地震に強い住宅・建物の形が研究されてきています。ここでは地震に強い建物について紹介していきます。
<建物の形>
建物の形は上から見た時に正方形や長方形など分かりやすいシンプルな形です。L字や凸凹の多いオリジナリティ溢れる建物も良いですが耐震の観点からすると十分とは言えません。地震には縦揺れと横揺れがあります。その中でも横揺れに強いのがシンプルな形なのです。
また1階と2階がある場合は1階よりも2階の方が床面積を小さく極端に言えば三角形のような床面積になるようにしましょう。2階の方が床面積が広いと頭でっかちと同じ原理で横揺れに十分耐震できないことがあるのです。
<建物の基礎>
建物の基礎は布基礎とベタ基礎に分けることができます。一昔前の基礎は硬い地盤には布基礎・柔らかい地盤にはベタ基礎と使い分けられていました。しかし、最近は布基礎よりもベタ基礎の方が安定するとの理由で地盤の硬さに関係なくベタ基礎で施工することが多いです。
しっかりと耐震された建物であれば布基礎でも問題ないですが、ベタ基礎でも布基礎でも最近は鉄筋を入れることが主流です。一昔前の無鉄筋住宅で布基礎の建物などは補強工事を検討した方が良いですね。

旧耐震と新耐震

簡単に言ってしまえば旧耐震は震度5程度の地震でも倒れないという基準。新耐震は震度6.7程度の地震でも倒壊しないという基準です。
前述では1981年以前を旧耐震・以降を新耐震と呼ぶと解説していますが実際にみなさんが物件を見る際に気にする築年数で見てみましょう。
中古物件などでマンションや一戸建て・アパートなどを見る際に築年数ってありますよね。あそこが何年建築だと新耐震の範囲内の物件になるのでしょうか。1981年に立っていれば新耐震というわけではありません。
建築工事に着工するのは建築確認を受けた後になります。建築確認とは行政の事前チェックのことです。建物を新しく建築する場合には行政へ申請する必要があります。そこで建築基準法や耐震法、地域によっては景観保護の観点で適した建物であるのかを事前に審査する必要があります。最終的にチェックをして建物を立て直すよりも建てる前にチェックを行った法が効率が良いという判断のもと行われています。
 

建築確認が必須な建物
・床面積が100平方メートルを超える特殊建築物(ホテル・映画館・学校・診療所・病院・ショッピングセンター・共同住宅)
・3階建て以上か延べ床面積が500平方メートルを超えるか、高さが13メートルを超えるか、高さが9メートルを超える木造住宅
・2階建て以上か、延べ床面積が200平方メートルを超える木造以外の建築物

 
ここで建築確認が必要な建物をリストアップしておきます。マンションやアパート、平屋以外の建物は基本的に建築確認が必要になりますね。
では、着工するのは建築確認後ということがわかったところで何年建築だと新耐震に対応しているのでしょうか。木造住宅であれば早くても1981年9月〜10月以降にできたものでなければ旧耐震の可能性が高いです。建築確認や工期延長などを考慮しても1982年後半以降にできたものでなければ新耐震基準を満たしていると言い切れません。
ちなみに2005年に税制改正が行われ不動産取得税で中古物件(1982年以降)のものは新耐震基準と同額を収めることになっています。これは木造住宅で旧耐震のものと新耐震の物件での棲み分けをはっきりさせる意味合いが強いです。

建築基準法による耐震基準の概要

建築基準法での耐震基準には許容応力度計算(一次設計)と保有水平耐力計算(二次設計)があります。許容応力度計算とは中規模の地震でほとんど損傷しないことを指し、保有水平耐力計算は大規模な地震で倒壊しないことを指します。
最終的に何が言いたいかというと自信が起きても倒壊しない家を国土交通省が主体となって作っていこうということです。耐震基準の許容応力度計算と保有水平耐力計算には細かな計算式が多くここだけでは紹介しきれません。
中規模の地震というのは震度5程度の物、大規模な地震というのは震度6.7といった大震災クラスのものを指します。これらの自信が来ても耐えることができる住宅を作れれば安心な家として震災が起きても私たちの命を守ることができるというものです。
建築基準法が改正される前の物件で生活をしている人は強度をつけるために耐震工事をすることもできます。お気軽に近くのリフォーム会社へ相談するようにしてみましょう。

旧耐震と新耐震の差って?

では旧耐震と新耐震で実際にどの程度の差があるのでしょうか。実際に2016年4月に起きた熊本地震の建物被害状況をもとに比べていきましょう。
旧耐震基準による建物702棟のうち225棟が倒壊した。
真耐震基準による建物1042棟のうち80棟が倒壊した。これが益城町公表のデータです。実際にパーセンテージにしてみると旧耐震基準の物件は32%、真耐震基準の物件は7%が倒壊したというデータになりました。熊本地震は震度7を2回も計測するなど何度も強い揺れが街を襲ったことでも有名です。新基耐震基準の中でもこの7%という数字は立派なものなのではないでしょうか。新耐震基準を満たした物件の中でも熊本地震では活断層直上にあった建物は被害が大きかったと報告されています。
しかし、2011年に発生した東日本大震災では横揺れが続いていたため旧耐震基準と新耐震基準で大きな差が出なかったとされています。
実際にデータで見てみると以下のようになります。

東日本大震災 被害なし 全壊
新耐震基準 47.7% 0.4%
旧耐震基準 51.1% 0%

東日本大震災で全壊の数は実際の数とは大きく異なることがあります。それは地震が原因で全壊した建物よりも津波が原因となって全壊した建物の方が多いからです。今回は地震に関する記事なので津波で全壊した建物は除外してあります。
では、阪神大震災ではどうだったのでしょうか。
 

阪神大震災 被害なし 全壊
新耐震基準 53.1% 0.3%
旧耐震基準 50% 3%

阪神大震災は新旧耐震基準で多少差ができました。しかし、新耐震基準で建てられた建物の方が旧耐震基準の建物よりも絶対数が少なかったのでこれも正確な数字とは言えません。
よって、新耐震基準も旧耐震基準も基準の内容に差はあるけれどもいざというときに家の中が一番安全ということはないのです。

まとめ

今回は新耐震基準と旧耐震基準の違いについて説明してきました。皆さんの住んでいる物件はどちらでしょうか。地震に強い家の研究や設計は進んできていて実際に昔の建物よりかは地震に強くなっています。
しかし、大震災のような大きな地震が発生する時には自宅の中にいるよりか外へ避難をして安全な高台などへ移動することが先決です。
耐震工事をしたほうがいいのかという質問には「Yes」としか答えるほかありません。新耐震に増したことはないので出きる家庭は耐震工事をするようにしましょう。

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不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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