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賃貸マンションでのカビの発生。健康被害や賠償請求はできる?

更新日:2024年02月08日
賃貸マンションでのカビの発生。健康被害や賠償請求はできる?のアイキャッチ

雨が多い梅雨などで、湿度も気温も高いシーズンになれば、賃貸の室内でカビが発生するようなことがあるのではないでしょうか。
高温多湿な日本においては、梅雨のシーズンなどは特に多量の結露が賃貸の室内で発生する場合も多くあります。

また、賃貸管理をしている場合などは、多く雨があり、湿度も気温も高いシーズンになれば、賃貸の室内でカビが発生したというような連絡を受けた経験もあるでしょう。
小さい子供さんがいる家庭などでは、特にカビは呼吸器系の喘息などの病気の要因になる場合もあり、過敏に反応する人も多くいます。
そのため、賃貸の室内でカビが発生すると、このような小さい子供さんがいる場合は、賃貸契約が解除になるケースもありえます。

しかし、賃貸契約が解除されなくても、カビが発生している部屋の中で生活することによって、慰謝料を精神的な苦しみがあったということで請求されるような場合もあるようです。
ここでは、賃貸マンションでのカビの発生。健康被害や賠償請求はできる? についてご紹介しましょう。
賃貸マンションでもしカビが発生した場合は、ぜひ参考にしましょう。

必要な対応策

カビが賃貸の室内で発生するということは、賃貸物件の立地のエリア・湿度・気温、築年数などにも影響されますが、少なからず賃貸管理の場合は発生するでしょう。
賃貸の室内で普段生活する中において、当然ですが、カビがわずかに発生することはあります。

しかし、賃貸の室内でカビが発生して借主からクレームになると、家主側とすれば、借主に対して賃貸の部屋が使えるような状態にする義務があります。
そのため、家主としては、カビの発生に対して対応をなんらか行う必要があります。
ここでは、カビが賃貸の室内で発生した際の対応方法についてご紹介しましょう。

 

発生しているカビはどの程度?現状把握しよう。

賃貸の室内でカビが発生していると一言で言っても、カビの程度はいろいろでしょう。
ほとんどの場合は、湿気がよく溜まるような水回りの浴室などにだけカビが発生していることがよくあります。
当然ですが、普通はカビが発生しにくいエントランスなどの風通しがいいところにまで、大量にカビが発生することも場合によってはあります。
賃貸の室内でカビが発生した場合は、現地をまずは十分に調べて、カビの状況を掴みましょう。
カビの被害が特に酷い場合は、排水管の破損や雨漏りなどによる設備のトラブルがカビの要因になっていないかについて、十分に確認することが必要です。

なお、カビの被害について確認する際は、先入観を持たないことが大切です。
豊富に経験がある賃貸管理担当者の場合は、「カビが発生するのは入居者が換気もほとんどしないためではないのか?」と思うかもしれません。

しかし、先入観をこのように持っていれば、天井裏で配管の不具合によって漏水しているものなどを見逃す恐れがあります。
そのため、先入観を持たないで、まず賃貸の部屋の状況を十分に調べてみましょう。

 

賃貸の室内の利用状況を確認しよう

賃貸マンションでカビが発生するほとんどの場合は、基本的に、結露が要因になっています。
戸建てと違って、集合住宅の賃貸マンションなどの場合は、気密性がどうしても高いので結露のトラブルは回避しくくなります。

特に、梅雨や夏の台風の時期などのように雨が長く降るシーズンなどは、カビが発生することが多くなってきます。
この際に注意する必要があるポイントは、賃貸の室内での入居者の生活環境です。
例えば、次にご紹介するような入居者の生活環境の場合は、当然ですが、カビが発生する可能性が大きくなります。

・常にお風呂の浴槽に水を溜めている
 ・濡れた雑巾で掃除をしてそのままにしている
 ・部屋の換気をしていない
 ・結露が発生していることが分かっているにも関わらずそのままにしていた

入居者が賃貸の部屋をどのように使っているかについて注意する必要があり、このような生活環境の場合は入居者に改善をお願いすることが必要です。

 

自己対応や、業者への相談

賃貸の室内でカビが発生している場合は、入居者に自己対応してもらったり、クリーニング業者へ相談したりすることが必要です。

・一次対応を入居者に行ってもらう

賃貸の室内でカビが発生している状況を調べて、入居者に生活環境の改善をまず行ってもらいましょう。
同時に、カビの一次対応として、カビ取り用の洗剤のカビキラーやハイターなどで対応してもらいましょう。
特に、カビが発生している付近に、洗剤を可能な限り広く噴霧して、30分~1時間経った後からきれいなぞうきんで拭いて、再度噴霧して拭きます。
カビは、このようなことをすることによって除去することができます。
このような入居者の一次対応と生活環境の改善によって、その後カビが発生しなくなるか確認していきます。

・一次対応でカビの発生が止まらなければ、クリーニング業者に頼む

先にご紹介したような入居者の一次対応と生活環境の改善でも、カビの発生が止まらない場合は、専門家のクリーニング業者などに頼むのがおすすめです。
また、1部屋だけでカビが発生しているか、あるいは他の部屋でもカビが発生しているかは必ず調べておきましょう。
入居者が自己対応をしているために管理会社には報告していないのみで、実際には別の部屋でも発生している場合もあります。
そのため、最低でも、カビが発生していないか、ヒアリングを左右、上下階の入居者へは行うようにしましょう。
なお、ヒアリングする際は、別の入居者がカビが発生していることを心配しないように、アンケートを住環境について行うというような方法を採用するのがいいこともあります。

修繕費用や、ホテル代、病院代などの請求はできるのか?

賃貸の室内のカビの被害が、より大きなものになることもあるのではないでしょうか。
カビの被害がより大きなものとして時々あるのは、次にご紹介するような場合です。

・賃貸の室内にカビが発生している間は住めなくてホテルに泊まったため、ホテル代を払って欲しい
 ・室内がカビ臭い状況で寝ていたので、精神的な苦しみや不便さが工事などであったことについて賠償して欲しい

排水管の漏れなど、明確な落ち度が建物の設備そのものにあった場合は、費用補填の請求をクレームによって受ける可能性が大きくなります。
しかし、家主としては、このような場合にこそ対応を落ち着いて行うことが大切です。
建物の設備そのものの欠陥など、明確な落ち度が家主にあった場合は、修繕費だけでなく、その期間中に生じた医療費やホテル代などは家主が負担する必要があります。

家主が費用を負担する場合は、医師の診断書やホテルの領収書などのように証明が客観的にできるものを示してもらいましょう。
また、口頭でこのようなやりとりを行うと、借主に反故に後からされる恐れがあるので、書面に必ず残すような方法で対応することが必要です。

 

カビによって慰謝料請求などもできる?

物理的なカビの発生の瑕疵については、法律上は、一般的に、「物理的なカビの発生の瑕疵が無くなった時点で、心理的なそれに伴う瑕疵も無くなる」と解釈されます。
つまり、カビが漏水などで発生した際に、カビの被害やこの要因になる漏水が物理的に無くなった時点で、心理的な瑕疵も無くなったと解釈されます。
そのため、借主としては、慰謝料として精神的なものは請求できません。

しかし、家主としては、実際の健康被害などに関しては賠償する責任があります。
なお、このようになった場合は、これ以外の要因も関係する個別のケースになるため、専門家の弁護士などに相談するのがいいでしょう。
先にご紹介したように、家主には、借主に対して賃貸の部屋が使える状態でサービスする義務が、家賃の対価としてあります。

一方、借主自身も、賃貸の部屋を適切に使う義務である「善管注意義務」があります。
建物の構造上の問題や設備のトラブルの場合は、家主の責任になりますが、結露が発生しているのをそのままにしておいた、水を風呂に溜めたままにしておいた、などというような借主の生活環境の要因によって発生した場合は、対応を借主自身で行う責任があります。
実際に、原状回復のガイドラインという国土交通省が発行しているものにおいても、借主は結露によるシミやカビは家主や管理会社に連絡する必要があり、シミやカビが手入れを怠って発生した場合は、自然損耗ではないため、原状回復費用を払う必要があるとされています。

家主としては、善管注意義務であるため借主の責任であるというような対応は避けるべきですが、「責任は誰にあるか」というのは、家主と借主の両方が理解して、トラブルを一緒に解決するために協力するように対応することが必要です。

 

慰謝料の請求を精神的な苦しみによって受けた際の対応

内容証明郵便などによって、慰謝料の請求の書面を受け取りした際の対応についてご紹介しましょう。
慰謝料の請求が書面で届いた場合は、書面に書かれている事実に関して正しいかどうかを確認しましょう。

もしトラブルの賠償責任が問われている場合は、トラブルの内容や関係する程度などが書かれているでしょう。
書かれている事実について、正しいかどうかを判断しておくと、専門家に相談する際にもよく分かります。
また、回答期限が書面の中に書かれている場合もあります。
法的な制裁が回答期限を守らない場合にあるかどうかは、書面の要求内容などによって違ってきます。

しかし、回答期限そのものが、拘束力として法的にあるかどうかはあまり多くありません。
言いがかりではないかと思った場合は、無視して回答を一切しないというような選択肢もあります。
対処として責任が無いことを明確にしておく場合が多くあるようです。

一方、責任がある程度あると思っているなど、支払い義務そのものは必要であると思っている場合は、交渉を将来スムーズに行うためにも、誠意を示す方がいいでしょう。
そのため、回答期限内に回答をまずしておくのがおすすめです。
さらに、示談などによって早急に解決し、裁判を避けたいのであれば、回答期限も意識しておきましょう。
時間が検討するためにかかるのであれば、例えば、「回答はでき次第行います」などと伝えておきましょう。
書面で要求されている事実を拒絶する場合は、反論する内容について考えて、回答を反論書で行うようになります。
慰謝料の請求について反論するよりも、一般的に、精神的な苦しみが起きた事実自体について行うようになります。
反論する場合は、反論するための証拠を集めることも大切になります。

一方、いくらかの慰謝料を支払うように回答する際は、一括で支払う場合はいつ支払うか、分割で支払う場合はどの程度毎月支払うことができるか、などについても検討しておく必要があります。
また、慰謝料の請求を精神的な苦しみによって受けた際には、弁護士に相談するのもおすすめです。

賃貸マンションでのカビの発生、健康被害や賠償請求は?

雨が多い梅雨などで、湿度も気温も高いシーズンになれば、賃貸の室内でカビが発生するようなことがあるのではないでしょうか。
賃貸の室内でカビが発生して借主からクレームになると、家主側とすれば、借主に対して賃貸の部屋が使えるような状態にする義務があります。

そのため、家主としては、カビの発生に対して対応をなんらか行う必要があります。
賃貸の室内でカビが発生した場合は、現地をまずは十分に調べて、カビの状況を掴みましょう。
入居者が賃貸の部屋をどのように使っているかについて注意する必要があり、このような生活環境の場合は入居者に改善をお願いすることが必要です。
賃貸の室内でカビが発生している場合は、入居者に自己対応してもらったり、クリーニング業者へ相談したりすることが必要です。
建物の設備そのものの欠陥など、明確な落ち度が家主にあった場合は、修繕費だけでなく、その期間中に生じた医療費やホテル代などは家主が負担する必要があります。

建物の構造上の問題や設備のトラブルの場合は、家主の責任になりますが、結露が発生しているのをそのままにしておいた、水を風呂に溜めたままにしておいた、などというような借主の生活環境の要因によって発生した場合は、対応を借主自身で行う責任があります。
慰謝料の請求を精神的な苦しみによって受けた際には、ここでご紹介したような対応方法について十分に把握しておきましょう。

賃貸に関する困りごとは弁護士へ相談を

賃貸契約に関しては、家主と借主の間でトラブルが生じる可能性は少なくありません。

不満から法的トラブルの発生を避けるためにも、少しでも納得できないということがあれば、弁護士に相談しましょう。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、不動産関係で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

不動産トラブルに詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

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