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空き家問題と、空き家問題対策措置法について

2018年07月20日 公開
空き家問題と、空き家問題対策措置法についてのアイキャッチ

 このところニュースなどでも「空き家問題」についてよく取り上げられていますね。
 空き家の何が問題で、何が原因なのでしょうか?
 また、政府もこの問題について取り組んでいます。色々と詳しくみていきましょう。

空き家の種類と現状

 2013年7月に発表された総務省統計局のデータによると、日本国内の空き家の数は過去最高の約820万戸に上り、日本全体の住宅の約13.5%になったそうです。

空き家がこれほどにまで増えてしまったのはなぜなのでしょうか?
その背景は、親が高齢になったことによって、子供との同居を始めたことや死去によりこれまでの家が空き家になってしまう、また家を相続をしたものの、高齢の為住むことや管理ができない、など、高齢化社会であることだと言われています。
今後さらに高齢化社会が進んでいくにつれ、空き家問題も深刻化していくことが懸念されています。

空き家は、四種類に分類されています。
 ・二次的住宅…別荘など、普段は住んではいないが使われている住宅。空き家全体の約5%。
・賃貸用住宅…賃貸のための住宅で、借り手がいなくて現状空き家になっている住宅。空き家全体の約53%。
・売却用住宅…売却用のための住宅で、売却活動を進めているが、売れ残っている住宅。空き家全体の約4%。
・その他の住宅…上記以外の住宅で、転勤や入院などで、長期不在になっている住宅。空き家全体の約39%。

 この中でも問題となるのは、「その他の住宅」です。
 他の三種類の住宅は、まだこの先人が住む可能性がありますが、その他の住宅にはそのまま人が住まないまま放置されてしまう可能性があるからです。
 人が住まないまま放置されると、
・倒壊等著しく保安上危険となる恐れ
・著しく衛生上有害となる恐れ
・著しく景観を損なっている状態
などに該当し、「特定空家等」に分類されてしまいます。特定空家等に分類されると、固定資産税や都市計画税の課税軽減措置の対象から除外されたり、行政から指導などを行われることがあります。(この特定空家等については、「空き家対策特別措置法」によって定められたものです。空き家対策特別措置法については後ほど詳細にご説明いたします。)

 そのほかにも、犯罪に利用されてしまう、不動産の需要と供給のバランスが崩れるなども問題点となっています。次で問題点を詳しくみていきましょう。

空き家の問題点

 空き家の問題点は
  ・放置されることによる周囲の住宅への悪影響
  ・犯罪に利用されてしまう
  ・不動産の重要と供給のバランスが崩れる
 の3つが大きな問題となっています。

 ①周囲の住宅への悪影響
  ・自然に朽ちて無くならないので、倒壊の危険が増す、屋根瓦が崩れる。
  ・害虫や害獣の温床となり、周辺に拡散される。
  ・集中豪雨などの浸水被害を受けても修復されないため、不衛生で危険な状態になってしまう。
  ・古い住宅は耐震性が低い為、巨大地震などが起こった際に倒壊し、道路をふさいでしまう。
  ・植木が放置され、景観が損なわれる。
などの可能性があります。空き家を放置することにより、周囲の住宅へかなりの迷惑をかけてしまうことがわかります。
 
 ②犯罪に利用されてしまう
  ・不法侵入や不法占拠をされてしまう(治安が悪くなる)。
  ・空き家に放火されてしまう。
  古い空き家は木造の建物が多く、また空き家の多い地域は連続放火魔のターゲットにもなりやすいそうです。空き家が増えれば増えるほど、危険という事になります。

 ③不動産の重要と供給のバランスが崩れる
  望んだ地域に住むためには、ある程度の住宅のストックは必要となりますが、現状の住宅の数は、過剰に供給されている状態です。
  さらに人口や世帯数がこれから減少していくにも関わらず、住宅の数が減らない場合、空き家がさらに過剰に供給されることになり、不動産の価格が下がっていきます。
 

空き家問題への対策「空き家対策特別措置法」とは

 空き家対策には、政府も動き出し、平成27年5月26日から「空き家対策特別措置法」が完全施行されました。
 この空き家対策特別措置法が制定されたのは、今まで見てきた問題点への対策の為です。この法律は基本方針を示したもので、これにより市町村の空き家対策に法的根拠を与えたことになります。

 空き家対策特別措置法には、次のような内容が定められています。
・空き家の実態調査
・空き家の所有者へ適切な管理の指導
・空き家の跡地についての活用促進
・適切に管理されていない空き家を「特定空家等」に指定することができる
・特定空家等に対して、助言・指導・勧告・命令ができる
・特定空家等に対して罰金や行政代執行を行うことができる
 具体的にはどのようなことが行われるのでしょうか?

 ①空き家の実態調査
  少し前に起きた脱獄犯の潜伏先の調査ができないという事件でもよく話題になっていましたが、たとえ空き家であっても、所有者の許可が無いと敷地内に入ることはできません。
  しかし、空き家対策特別措置法により、管理不完全な空き家だった場合、自治体による敷地内の立ち入り調査や、所有者の確認のための個人情報の利用(住民票や固定資産税台帳など)が可能になりました。

  この調査により次のような状態になると「特定空家等」に指定されてしまいます。
  ・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。
   →建物の破損、門や看板の倒壊の危険性がある、など。
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態。
 →汚物による異臭、ゴミの放置、ゴミの放置による害虫・害獣の繁殖、など。
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
 →建物への落書き、立木の繁殖、など。
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
   →不審者の侵入、雪落の危険性、など。

  特定空家等に指定された後に自治体から改善の勧告を受けた場合、土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されなくなってしまうため、土地の固定資産税は6倍に増額されてしまいます。
  特定空家等の解除をするには、特定空家等に指定される要因となった不適切な箇所を改善する必要があります。

 ②市町村から所有者に助言等が行われる
  空き家の適正な管理ができていない場合、市町村から所有者に対して助言、指導、そして勧告などの行政指導、さらに勧告をしても改善がなされない場合は命令(行政指導よりも重い行政処分)が出せるようになりました。

  ●助言
   まずは助言が行われます。例えば「庭の除草作業を行ってください」などです。
   助言には法的な効力はありませんので所有者の対応次第ですが、助言が行われた背景には、近隣住民からのクレームがあった事が考えられます。助言を受けた時点で速やかに対処したほうが良いでしょう。

  ●指導
   助言に従わなかった場合や、直ちに改善が必要だと判断された場合は、市町村から所有者に対して指導が行われることがあります。
   もし、助言が無くいきなり指導をされた場合は、近隣住民からの複数のクレームだった可能性があります。その場合は早急に改善する必要がありますし、市町村にも具体的にどのように改善するかを連絡する必要があります。

  ●勧告
   指導をしてもなお改善がみられない場合は、勧告がなされます。
   勧告される状況ということは、近隣住民に深刻な被害をもたらしてしまう事が懸念されているということですので、一刻も早く改善をする必要があります。
   先述したとおり、特定空家等に指定された後で勧告をされると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。

   勧告を受けた空き家は、かなり危険な状態であると言えます。
   速やかに市町村の担当者へ連絡をし、現状を把握しましょう。

  ●命令
   勧告を受けてもなお改善がみられない場合は、市町村から所有者に対して命令がなされます。
   空き家対策特別措置法により、命令に背くと50万円以下の罰金が科されます。
   また、命令を受けた空き家に改善が見られなかった場合は、市町村が所有者に代わり対処し、その費用を後に所有者に請求する事により(行政代執行)、樹木の伐採や建物の解体などが行われる可能性もあります。

   命令は、市町村からの最も重い通告で、これ以上空き家を放置すると非常に危険な状態であるという事です。近隣住民を巻き込まないためにも、早急に市町村の担当者に連絡をし、迅速に改善をしましょう。

特定空家等に指定されないためには

 では、空き家になってしまった家が特定空家等に指定されないようにするには、どのように対策をすれば良いのでしょうか?
 
 ●管理代行サービスを利用する
  手放すかどうか悩んでいるけど、遠方に住んでおりなかなか管理ができないなどという場合は、管理代行サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
  業者によりますが、月1回の巡回、1万円程度の費用で、室内の換気や通水、簡単な清掃、ポスティングチラシ等の処分、庭木の処理や除草などを行ってくれる業者もあるそうです。また、費用によってはもう少し安価で簡易なサービスを行っている業者や、見回りだけをしている業者もあります。

 ●賃貸や売却を検討する
  管理代行サービスを利用したとしても、いずれ空き家はどうにかしなければなりません。賃貸や売却、もしくは更地にして空き家状態を解消するなどを検討してみてはいかがでしょうか。
  更地にするためには家を解体することになるので費用がかかりますが、建物の老朽具合や税金をきちんと納めている等の条件を満たせば自治体から補助金が出る可能性があります。ただし、補助金が出るとしても後から支払われること、また、予算が決まっているため予算オーバーしたら補助金は出ないなど、様々な注意が必要です。

空き家問題で困ったら弁護士へ相談

 空き家の処分や有効活用・管理について、また近隣にある空き家に困っている場合などで、誰に相談すれば良いかわからない場合は、弁護士などのプロに相談してみましょう。
 特に所有者が意思表示できない場合や不法占拠などの場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

 崩壊の危険だけではなく、犯罪の温床にもなりえる空き家。
 法が制定されたことによって、問題が少しでも少なくなるといいですね。

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編集部

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