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不法投棄された大きな粗大ごみ、誰が処分する? 

更新日:2019年01月28日
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敷地内の粗大ごみは誰が処分すべきか

 マンションをはじめとする集合住宅では、ゴミの問題が少なくありません。なかでもとくにトラブルになりやすいのが粗大ゴミです。例えば、敷地内の共用部分に粗大ゴミが放置されているのを見かけたことがあるのではないでしょうか。誰が捨てたものかがわからないため、何ヶ月もそのままになっていることさえあります。粗大ゴミが放置されたままになっていると、美観が損なわれるだけでなく、通行の邪魔になるなど入居者の日常生活にも支障をきたしてしまうことがあるので注意が必要です。

 ところが、仮に大家さんや管理者側で処理しようと思っても、ことは簡単には進みません。というのも、周囲からはゴミにしか見えないものでも、実は入居者の所有物であり、一次的に仮置きされているだけという可能性も否定できないからです。ゴミであったとしても、物である以上、所有権も伴います。所有者以外の人間が勝手に処分するわけにはいかないのです。

 また、粗大ゴミは、一般的なゴミと違って処分するのに費用がかかってしまいます。引越しなどにともない、粗大ゴミが大量に捨てられている場合も少なくありませんが、そんなときは処理費がかなりの額になってしまいます。マットレスなどの大きなものだと、例えば、高層階の階段の踊り場に捨てられていようものなら、運搬するのさえ一苦労です。

 実際のところ、当然のことながらゴミに関する責任を負うのは捨てた人です。粗大ゴミも同じで、ゴミを捨てた張本人が処分しなくてはなりません。つまり、敷地内に放置されてしまっている粗大ゴミを物件のオーナーや管理会社が処分する義務はないのです。

 とはいえ、集合住宅では、誰が粗大ゴミを捨てたのかを判断するのはきわめて困難です。粗大ゴミは退去にともなって捨てられることが多いため、既に当事者が退去してしまっている場合も少なくありません。もちろん、粗大ゴミを捨てたのは入居者だとも限りません。外部の人間が入居者のものに見せかけてマンションの敷地内に侵入し、投棄していった可能性も十分に考えられるのです。実際、粗大ゴミが放置されているのは、誰でも入ることができる場所であることが少なくありませんし、オートロックがついていない物件の場合は、わざわざエレベーターで粗大ゴミを持って上がり、放置することもできてしまいます。そのため、当事者を特定し、粗大ゴミの処分を改めてお願いすることができるケースは稀といえるでしょう。

 だからといって、そのままにしておくこともできません。粗大ゴミを放置しておくことで、他の入居者にとっての利便性が損なわれるようなことがあれば、物件や管理会社の評判も悪くなってしまいます。そのため、やむなく貸主や不動産会社が費用を負担して処分をするというケースがほとんどです。粗大ゴミが放置される問題を防ぐためには、しっかりした予防策が求められるといえるでしょう。

一般的な粗大ごみとは?

 そもそもどんなものを粗大ゴミというのでしょうか。例えば、東京23区では1辺が30cm以上あるものを粗大ゴミと定めています(居住する地域によって定義は異なりますので、自治体のホームページを閲覧してご確認ください)。該当するものを一般的なゴミ置き場に捨てておいても持って行ってもらえない場合が少なくありません。具体的には、布団、マットレスといった寝具、テーブルや椅子、カラーボックス、テレビ台などの家具、ストーブや自転車など。扇風機や掃除機、電子レンジといった家電製品も粗大ゴミのなかに含まれます。

粗大ゴミの例

布団、マットレスなどの寝具、テーブル、椅子、カラーボックス、テレビ台、ストーブ、自転車、扇風機、掃除機、電子レンジ

粗大ゴミとして処理できないものもあります。以下のものは、粗大ゴミとしても捨てることができません。例えば、物干しざおやサーフボードなど、極端に長いもの(具体的には2メートル20センチを超えるもの)やテレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコンといった家電リサイクル法の対象となるもの。また、オートバイ本体や自動車の部品、ピアノなど大型の楽器、消化器、ガスボンベ、耐火タイプの金庫、そしてリサイクルシールが貼られていないパソコンも粗大ゴミとしては捨てられません。

粗大ゴミとして処理できないものの例

物干しざお、サーフボード、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、オートバイ本体、自動車の部品、

ピアノ、消化器、ガスボンベ、耐火タイプの金庫、リサイクルシールが貼られていないパソコン

粗大ゴミは、外部の人間によって不法投棄されたのか、それとも入居者によって放置されたのかによって処理方法が異なってきます。それぞれのケースについてみていきましょう。

ゴミの対処方法も2つのタイプがある

1. 粗大ゴミが外部の人間によって法投棄されたケース

 外部の人間によって粗大ゴミが捨てられた場合、不法投棄に当たり、犯罪行為に該当します。すみやかに行政もしくは警察に相談することになります。
 責任は明らかに捨てた人にあり、マンションの管理者には非はありませんが、外部の人間によって不法投棄されたということは、投棄する隙があったという見方もできます。同じような事態を招かないためにも、以下のような対策が有効と考えられます。

  • ゴミ捨て場の周辺に防犯カメラを設置する
  • ゴミ捨て場の周辺に夜間点灯する照明を設置する
  • ゴミ捨て場の周辺に鍵がかかるようにし、入居者だけが利用できるようにする
  • 不法投棄に対して強気の姿勢をとるという内容の警告文を貼って注意喚起する

 以上のような設備があるだけで、不法投棄の抑止力となります。とくに防犯カメラによる撮影データがあれば、警察に相談する場合でも証拠となるため効果的です。ゴミ捨て場の周辺に鍵をかけるとなると、ある程度入居者に不便を強いることになりますが、不法投棄が続くことを考えると、止むを得ない措置ともいえます。また、いずれも導入するにはかなりのコストが必要になりますが、粗大ゴミの放置が継続的になるようなことがあれば、物件の価値は著しく減少してしまいます。ゴミを処分するのにかかるコストも考えれば、価値ある投資となるはずです。

2. 入居者によって放置されたケース

 粗大ゴミは入居者によって捨てられる場合がほとんどです。とくにありがちなのが退去時にいらないものをまとめて捨てるという行為。入居者による粗大ゴミの放置を防ぐ方法としては、退去したい旨の連絡を受けたときに、粗大ゴミがあるかどうか、ある場合はどのようなものがどの程度出るかを確認するのが有効です。入居者に対して、粗大ゴミに関して注意喚起を促すことができるため、傍若無人な振る舞いがしづらくなる傾向があります。
 また、粗大ゴミと知って捨てる場合もありますが、ルールを知らないだけという場合も少なからずあります。粗大ゴミのチケットの購入方法や回収依頼の方法など、手順を入居者に教えることも大切です。退去時に立ち会うよう心がけるなど、粗大ゴミを放置しづらい環境を作るのもよいでしょう。また、退去時のゴミ処分のあり方について契約書に特約事項として盛り込んでおき、事前にきちんと説明しておくという方法もあります。
 粗大ゴミの処分を原状回復を担当する業者に依頼している管理会社もあるようです。そうすることで、精算時に敷金から差し引くことが可能になり、貸主や不動産会社が費用を負担しなくてすむようになります。

弁護士に相談されている事例

 粗大ゴミに関しては、お金だけでなく犯罪に関わることもあるだけに、弁護士に相談されているケースも少なくありません。いくつかの事例をご紹介します。
 例えば、集合住宅の管理をしている方からの相談です。

<相談例>
分別されていないだけでなく、粗大ごみが大量に捨てられ、一般ゴミが置けないほどの状況になっている。防犯カメラがあるため、投棄した入居者が特定できているが、入居者だけが見られる掲示板で投棄している画像を顔にモザイクをかけた状態で公開して問題ないか。

これに対しては、顔に加工を施してあれば掲示しても問題ないという回答が弁護士から得られています。

 以下のように、不法投棄した当人からの相談もあるようです。

自分が住んでいない集合住宅に無断で侵入し、ゴミ置き場に粗大ごみを不法投棄した。管理会社に身分を特定され罰金10万円を請求されているが、誰でも見られるところに顔写真が貼られている。不法投棄したことは反省しており、投棄したのも一度だけで薄い木の板を一枚捨てただけで、自分では軽微なものだと認識している。管理会社に謝罪に行き、柔軟な対応をお願いしたが、一歩も引く様子がない。もちろん投棄したゴミはすでに自分で回収している。顔写真を貼られたり、罰金を要求したりするのは妥当な対応といえるのか。

これに対しては、名誉毀損を理由に損害賠償請求できるという回答が、ある弁護士から寄せられています。10万円の罰金も高すぎるため、裁判で争えば勝つことができるとも。

まとめ

 不動産トラブルのなかでもゴミの問題は少なくありません。なかでもとりわけ厄介なのが粗大ゴミです。粗大ゴミを捨てたのが入居者だとしても、外部の人間だとしても、後味が悪いもの。管理側としては、事前の対策を徹底して未然に防ぐよう心がけたいものですね。

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