敷金は、何事もなく普通に暮らしていると戻ってきます。
一般的に、故意に壊した箇所がないと戻ります。
賃貸の基本的なルールとしては、普通に暮らしている際の傷の小さなもの、摩耗する箇所などはペナルティになりません。
この辺りについては、後からご紹介するように国土交通省ではルールをきちんと決めています。
退去費用の相場は、ハウスクリーニング費と故意に壊した箇所の修理費を敷金から差し引いた金額になります。
東京のほとんどの賃貸物件の契約は、「入居する人が退去する際のハウスクリーニング費を負担する」というものです。
賃貸物件の9割程度が、特約として「入居する人がハウスクリーニング費は負担」というものが付いています。
ハウスクリーニング費については負担したくないような人も多くいるでしょうが、賃貸借契約で結んでいるため負担する必要があります。
賃貸の基本的なルールは、日常生活における傷の小さなものや汚れは負担する必要がありません。
しかし、立会人に、ここに傷が付いている、などと言われて、敷金が戻らない場合もあるようです。
全ての傷や汚れなどについては、入居している人が負担するということではありません。
負担費用はどのくらいか、というのは最も難しいことです。
実際には、賃貸物件の場合は、負担費用を決定するルールがあります。
賃貸の基本的なルールは、原状回復という退去する際は入居する前と同じにして戻すということです。
原状回復のルールとしては、箇所や範囲、負担割合を定めたものがあります。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というルールを、国土交通省が定めています。
汚れているので新しくする費用を全額支払え、などというような場合はありません。
国土交通省が、しっかりと経年劣化、自然消耗を考慮して計算するように定めています。
経年劣化については、きちんと数値も定めています。
そのため、退去費用が長く暮らしていると高くなるようなことはありません。
多くトラブルがあったため、国土交通省が平成10年に公表しています。
立会いする際には、費用負担割合を担当者が決定することがあるかもしれませんが、このガイドラインが費用負担割合を決定するようになります。
このガイドラインに従っていると言うことでも、実際に正しいとは必ずしも限っていません。
このガイドラインの基準に従わないで、入居している人に費用負担を要求する良くない業者も多くいるため、注意しましょう。
また、東京都の「賃貸住宅 トラブル防止ガイドライン(改訂版)」の冊子もありますが、イラストもあるため分かりやすくなっています。
無駄な出費を少なくするために、ぜひ一読してみましょう。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の基本的なルールは、生活を普通にしており、自然についた傷や汚れは負担しなくていいということです。
鍵は、紛失、破損がなければ、基本的に貸主が負担します。
しかし、特約として「退去時負担にする」というものが賃貸借契約書にあると、借主が負担します。
エアコン、トイレ、お風呂などの設備は、普通に使用していて故障した際などは貸主が負担します。
エアコンの掃除などの手入れが足りなくて故障した際などは、借主が負担します。
トイレ、お風呂、洗面台の水回りの水垢、カビなどは、手入れが足りないため、借主が負担します。
水垢、カビなどは厄介であるため、手遅れにならないように掃除をこまめに行いましょう。
クロス・壁紙の壁については、自然劣化の日焼けなど、ピン・画鋲の穴、冷蔵庫焼けの汚れは貸主が負担し、程度にもよりますが、タバコの汚れ・ヤニ、ネジ穴、釘穴、台所の油汚れは借主が負担します。
壁紙の場合は、引越しする際に冷蔵庫を移動すると、冷蔵庫焼けがよくあります。
しかし、この冷蔵庫焼けの汚れは、程度によっても違ってきますが、基本的に借主が負担する必要がありません。
例えば、置き方が明らかに良くない場合や、冷蔵庫の壊れかけのものを使用しており、明らかに熱の排出が異常であるという場合には違ってきます。
借主が全て負担するようにはなりませんが、費用の負担割合を壁との距離、置き方などによって計算する場合が多くあるでしょう。
ハウスクリーニングの場合は、クロスの黒ずみに対してスプレータイプの漂白剤で対応し、これで汚れがなくなるのであれば、一般的に、費用は貸主が負担します。
壁紙を換える費用に関して不安な場合は、ネットなどで壁紙・クロスの補修について紹介しているようなサイトがあるため参考にしましょう。
フローリングの床は、大きな傷やヘコミは借主が負担し、傷が深くない場合は、貸主が負担する場合が多くあります。
フローリングの壊れた程度、傷の深さによって、交換するか補修するかを決定します。
交換する際は、計算をきちんとして費用負担割合を決定します。
よくあるのは、冷蔵庫を引越しする際に置く時の傷です。
冷蔵庫は、脚が小さく結構重いため、一点あたりの荷重が大きいので傷が深くなりやすいです。
引越しする際は、大きな傷が以前前についていないか十分にチェックしましょう。
修理費用は、引越し業者が負担したり、あるいは賃貸の保険が使えたりすることもあります。
日焼け、普通の使用でつくような傷の細かいものなどは、貸主が負担します。
畳は、故意に汚した場合は、借主が負担します。
しかし、交換、表替えなどの場合は、基本的に1枚単位になります。
「バランスが周りの畳と合わなく全て交換するので費用を負担して欲しい」という場合は、ルール違反になります。
周りの全ての畳を交換する場合は、貸主が汚した畳以外は負担します。
先に壁紙の場合にご紹介したように、必ず耐用年数は定められています。
ここでは、傷をフローリングにつけたなどというような場合のために、主な設備の耐用年数についてご紹介しましょう。
5年の耐用年数は流し台があります。
6年の耐用年数は、畳床、クッションフロア、カーペット、壁(クロス)、冷暖房機器(ルームクーラー、エアコン、ストーブなど)、冷蔵庫、インターフォン、ガス機器(ガスレンジ)があります。
8年の耐用年数は、主に金属製以外の書棚、戸棚、たんす、茶ダンスの家具があります。
15年の耐用年数は、給排水・衛生設備の洗面台、便器など、主に金属製の備品・器具があります。
これ以外の建物に付いている浴槽、ユニットバス、下駄箱などの耐用年数は、建物のものを使用します。
なお、建物の耐用年数については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令、昭和40年3月31日大蔵省令第15号に記載されているため確認してみましょう。
賃貸物件の場合は、原状回復して退去する必要があります。
入居している人が、傷や汚れを故意に付けた場合は自分で対応することが必要ですが、優良な不動産業者や家主の場合は、一般的に、修繕費を退去する際に請求するのは稀です。
常識的な範囲で生活して、普通の傷や汚れが付いた場合はほとんど見逃してくれます。
しかし、優良な不動産業者や家主のみであればいいでしょうが、実際には、入居している人からお金をできるだけ多くもらおうとする良くない人たちも中にはいます。
賃貸物件の原状回復費用は、ほとんどの場合は敷金から支払われます。
そのため、入居している人が敷金の限度額までは負担しますが、返金する敷金額が無しになる場合が多く、悩んでいる人も非常に多くいます。
原状回復費用として敷金額内で収まるものを示されると、ほとんどの人は「費用が追加されないため仕方がない」となることを、良くない家主は知っています。
このことを知っているため、「修繕費として敷金分のみは払って欲しい」と強気な姿勢で要求してきます。
敷金は、多くの場合、家賃の1ヶ月分~3ヶ月分くらいを払っているため、金額としては無視できるものでは決してありません。
退去する際に悪意が明らかにある要求をされた時は、すぐに仕方がないと諦めないで、直接家主に交渉することも必要です。
賃貸が初めてで、退去が初めての場合は、原状回復費用の相場がほとんど分からないでしょう。
ほとんどの場合は、家主や管理会社が決定した請求額に納得して払ってしまうでしょう。
当然ですが、納得して原状回復費用を払うのであれば、それが最もいいし、退去を円満にする方が、家主にとっても入居している人にとっても良くなります。
しかし、高いので納得できないと少しでも思うのであれば、諦めないで交換するのがおすすめです。
というのは、払って欲しいと言われた原状回復費用を、場合によっては無しにするもできるためです。
交渉しなければ、言われたままの原状回復費用を払うしかありません。
家主や管理会社が立会って、原状回復費用は決定されるようになります。
原状回復費用は、主として退去する日に見積もりされるようになり、納得すれば、銀行振込で後日支払いを済ませます。
そのため、原状回復費用が高すぎると思った時点で、直接家主と交渉するようにしましょう。
請求書に押印すると、原状回復費用の支払いを了解したと見られてしまいます。
もし、不信感があったり、不満なことがあったりした場合は、家主に納得できないことを伝えて、請求書に押印しないようにすることが大切です。
原状回復費用の見積もり額に関しては、支払いを当日に行う必要があるということではありません。
原状回復費用の支払いは、見積もり額に了解してから行うことができます。
そのため、保留に当日はしておいて、相談を後日することもできます。
支払いを流れにまかせて済ませることのみは、とにかく絶対に止めるようにして、話し合いを納得できるまで行うようにしましょう。
納得できる金額までこの時点で交渉することができれば問題ありません。
弁護士に実際に相談しなくても、家主に「相談を弁護士する用意がある」ということを伝えるのみで、状況が全く違う場合があります。
というのは、家主は裁判を原状回復費用のために起こすことを非常に嫌います。
自分が有利にならないことは十分に分かっており、手間や時間をそこまでかけるのであれば、手っ取り早く敷金を返す方がいいためです。
しかし、原状回復費用の高額なものを多くの家主が請求するのは、入居する人が相談を弁護士にまでしないためです。
つまり、甘く入居している人のことを見ているのでしょう。
また、弁護士に実際に依頼する場合は、弁護士に支払う費用だけでなく、裁判するための費用、裁判するための時間などがかかります。
そのため、最終的にマイナスになる場合も考えられるため、対応は時と場合に応じて行うようにしましょう。
話し合いを入居している人と家主のみで行っても、トラブルが解決しないのははっきりしています。
トラブルが第三者が介入することによって解決できる場合は、弁護士に一度相談してみましょう。
敷金は、一般的に、故意に壊した箇所がないと戻ります。
退去費用の相場は、ハウスクリーニング費と故意に壊した箇所の修理費を敷金から差し引いた金額になります。
賃貸の基本的なルールは、原状回復という退去する際は入居する前と同じにして戻すことです。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の基本的なルールは、生活を普通にしており、自然についた傷や汚れは負担しなくていいということです。
設備の負担に関しては、ここでご紹介したように、貸主と借主が負担するものが決まっています。
主な設備については、ここでご紹介したような耐用年数が決まっています。
退去費用に不満を感じたら、弁護士に一度相談しましょう。
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