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ベランダは共用部分、知っておきたい物件設備について

2018年01月18日 公開
ベランダは共用部分、知っておきたい物件設備についてのアイキャッチ

マンションの場合は、多くの所有権が敷地の一つの中にあります。
基本的に、区分所有者が買った住戸のそれぞれが専有部分で、専有部分を除いた全ての建物、敷地、附属施設などが共用部分になります。
マンションの管理規約に、共用部分の範囲は決められています。
具体的な共用部分としては、建物の基礎、屋上、外壁、階段、廊下、エントランス、エレベーター、給排水設備、ガス配管設備、電気設備、テレビのアンテナ、集会室、管理事務室、駐車場、植栽、敷地の中の公園、街灯などがあります。

専有部分とよく間違うのは、住戸のそれぞれに附属しているベランダや1階の専用庭です。
共用部分にベランダや1階の専用庭はなっています。
このようなものは、区分所有者の特定の人のみが使えるものですが、専用使用権がその区分所有者にのみ与えられています。
なお、一般的にルーフバルコニーや1階の専用庭を使う場合は料金がかかります。

バルコニーやベランダに物を置くのは原則禁止が多い

共用部分にバルコニーやベランダがなっているのは、災害で火災などが発生した際に脱出するためや救出・消火するための場所として使われるためです。
非常時にバルコニーやベランダから脱出するようになるので、ハッチの梯子が付いたものが装備されていたり、バルコニーやベランダの隣の住戸との仕切りには、簡単に手で壊せる材料が使われています。

そのため、バルコニーやベランダの専用使用権がマンションの住人があるということでも、マンションの管理規約などによって、そこに物置などを設置したりすることは禁じられています。
これ以外にも、例えば、玄関扉については内部塗装箇所と鍵以外は共用部分であり、窓ガラスと窓枠も共用部分であり、交換することは勝手にできません。
というのは、このようなものを変えれば影響をマンションの外観に与えるため、統一性をマンションの外観に持たせるために共用部分であると考えられます。

ベランダでの喫煙で訴訟問題に?

分譲マンションの場合は、権利・利用スタイルがいくつもあり、多様な住人の価値観を統一するのは簡単ではありません。
このような分譲マンションにおいて、訴訟がベランダの使用制限について起こされました。
喫煙をベランダですることが、不法行為になるかが争点になりました。

では、どのような判断を裁判所は下したのでしょうか?
ここでは、名古屋地方裁判所の判決についてご紹介しましょう。

分譲マンションが日本で生まれてから半世紀以上になります。
分譲マンションは、昔は手が届かないと言われていました。

しかし、現在では主な居住スタイルとして分譲マンションは定着しており、全国において2013年末時点において約601万戸のストック戸数にまで普及しています。
また、優れた難燃性や防犯性、共用施設が充実していることによる娯楽性などがある一方、分譲マンションには現在問題が多くあります。
基本的に、分譲マンションの場合は、共用部分、専有部分、敷地利用権、専用使用権というような権利・利用スタイルがいくつもあるので、トラブルが起きやすいという根本的な要因があります。
さらに、分譲マンションは、多くの住人によって建物の一つが区分所有されているので、合意形成が全体としてどうしても困難であり、住人同士のあつれきが起きやすくなります。
マンショントラブルの3つの代表的なものとしては、上階と下階の騒音トラブル、駐車場のトラブル、ペットの飼育トラブルが挙げられます。

しかし、高齢化が進むことによる独居老人の孤独死が、近年は深刻なマンションのトラブルとして挙げられます。
また、マンションの住人同士のトラブルも多くあり、訴訟になる場合も多くあります。

以前、マンションのベランダで喫煙したタバコの煙によって体調が悪くなったということで、マンションに住んでいる女性が、女性の部屋のすぐ下の住人の男性を訴えました。
この被告の男性に対して、名古屋地方裁判所から損害賠償命令が出されました。
現在は、自治体によっては条例で歩きたばこを公道で行うことを禁止するところもあります。
そのため、喫煙する人に対する風当たりが厳しいのが実際です。
「受動喫煙」ということが、健康志向によって広く認められるようになってきています。
このようなことから、喫煙家にとっては、ひけめを感じるでしょう。

マンションのベランダでの喫煙で、訴訟問題になった判例

同じようなトラブルが自分のマンションでも起きないようにするために、マンション管理の参考にしましょう。
2011年に、このマンションのベランダでの喫煙の訴訟が提起されました。
このトラブルが起きたのは、名古屋市内にあるマンションでした。
70歳代の女性が提訴しました。

もともと、この女性は持病として喘息がありましたが、たばこの煙がマンションの下階のベランダから上がるのがストレスになって、帯状疱疹が2010年の春に発症しました。
そのため、女性は何回も電話や手紙で、下階のベランダで喫煙するのを中止するように要求しました。

しかし、60歳代の真下に住んでいた男性は、この要求に対して応じませんでした。
この男性は、ベランダでの喫煙を禁止することは、マンションの使用細則に記載されていないと逆に主張しました。
景色を喫煙しながら眺めることや自由な私生活を送ることを挙げて、違法ではないと主張しました。
実際に、マンションの共用部分にベランダはなっていましたが、専用使用権が同時にあり、独占的にその住戸の住人が使うことができました。
マンションの暮らしの規則を決めている使用細則や管理規約に違反しなければ、普通の使用の枠内でベランダを自由に使うことが許容されています。

また、別の住人の健康を害するような行いまでは許容されていなく、顕著な生活妨害であれば「共同の利益」に違反する行いになります。
同じマンションで暮らす以上、お互いにある程度は我慢する必要があります。
もし、受忍限度をオーバーすれば、「共同の利益」に違反するようになります。

この裁判では、女性の主張が最終的に認められました。
男性に対しては、5万円を精神的な女性の損害に対する慰謝料として支払うように命令しました。

ベランダで喫煙すると必ず提訴される?

ここでは、名古屋地方裁判所の判例についてご紹介しましょう。
なお、この判例をご紹介する前に、分譲マンションのベランダ使用についての他の判例についてご紹介しましょう。

この判例は、損害賠償と専有部分の明け渡しを、野鳩の餌付けをベランダで継続した住人に対して命令した1995年11月の東京地方裁判所のものです。
マンションの専有部分を、区分所有者の親から借りて使っていた子供が提訴されました。
何回も別の区分所有者から注意されましたが、この子供は野鳥にベランダや室内で餌付けすることを数年にわたって続けました。
そのため、この野鳥がフンをマンションや近くにまき散らして、周りの住民はベランダに洗濯物が干せなくなりました。

また、野鳥のフンが屋根などに詰まって悪臭が出るなど、清潔で平穏な暮らしが損なわれるようになったので、訴訟になりました。
数年間にわたってベランダなどで野鳩に何度も餌付けを続ける行いは、著しい障害をマンションでの共同生活上生じさせる要因であると、東京地方裁判所は認定しました。
共同の利益に違反する行いであり、不法行為になるとして、損害賠償と専有部分の明け渡しを被告の子供に対して命令しました。
つまり、マンションから立ち退くようにという命令です。
義務違反者に対する判決としては、相当重いものでした。
反抗的な警告や抗議を聞かない態度であるとして、判決内容としては周りの住民に対する甚大な損害を考慮したものになりました。

次に、先にご紹介したベランダでの喫煙で訴訟問題になった判例についてご紹介しましょう。
不法行為の該当性が、ベランダでのたばこの煙が要因で体調不良になったとして、女性が訴えた裁判においても問われました。

不法行為というのは?

他の人の権利を過失あるいは故意に侵す行いです。
不法行為が成り立つためには、次にご紹介するような成立要件が必要です。
不法行為が成り立つと、侵した人は損害賠償をする必要があります。

不法行為の成立要件は、以下が挙げられます。

・過失あるいは故意が存在する
・損害が起きている
・違法性がある
・因果関係が損害と行いの間にある
・責任能力が加害者にある

判決文において、名古屋地方裁判所の裁判長は、男性の被告に対して、マンションに居住するということから、女性の原告もある程度室内にたばこの煙が入ることを受忍する義務があると擁護しました。
一方、男性の被告に対して、自分が所有しているマンションということでも、どのような行いでも許容されるのではなく、その行いが不利益を著しく第三者に与える場合は、使用制限がされることは仕方がないと糾弾しました。
別の住人に不利益を著しく与えることが分かりながら喫煙を継続して、迷惑な行いを防ぐ措置をしなければ、不法行為に喫煙がなる場合があり得る、ということで不法行為であることを認めました。
ベランダでの喫煙が、精神的な損害を女性に対して与えたと認めました。

マンションのベランダは、共用部分ですが、一方、排他的権利として専用使用権というものが認められています。
今回の裁判は、マンションのベランダの使用制限について問題を投げかけました。

マンション・ベランダに関して注意点とポイント

廊下などの共用部分に物を置くのは危険です

マンションの廊下などの共用部分に物を置いている住人もいるのではないでしょうか。
マンションの廊下などの共用部分は、避難する際に通路になっていることを十分に住人に伝えましょう

共用部分はマンションの住人の全員のものである

子育て世代の場合は、物を置くスペースがとにかく足りないでしょうし、初めて分譲マンションで暮らすような人もいるでしょう。
しかし、自分の部屋の玄関を出れば、共用部分にそこから先はなっていることを、再度意識する必要があります。

共用部分は、廊下だけでなく、ベランダ、階段も該当するため、補修する際には、一斉に管理組合のお金で行うなど、維持管理を共同で行っています。
なお、過失によって専用使用者がベランダを壊した場合は、修理を個人の責任で行う必要があります。

廊下、ベランダ、階段は避難する際に通路になる

廊下、ベランダ、階段などは、火災が発生した際などに避難する通路になります。
避難する際に、廊下などに物を置いていて衝突して怪我をしたりすれば大変であり、通路を物が塞いでいると非常にリスクがあります。

廊下、ベランダ、階段などは、共用部分ですが避難する際に通路になっていることも、広報紙などで住人に伝えておきましょう。

まとめ

住戸のそれぞれに附属しているベランダは、専有部分とよく間違いますが、実際には共用部分になっています。

バルコニーやベランダの専用使用権がマンションの住人があるということでも、マンションの管理規約などによって、そこに物置などを設置したりすることは禁じられています。

ここでご紹介したように、ベランダでの喫煙で訴訟問題になった判例がありました。
ベランダでの喫煙が、精神的な損害を女性に対して与えたと認めました。
廊下などの共用部分に物を置くのは危険で、共用部分はマンションの住人の全員のものであり、廊下、ベランダ、階段は避難する際に通路になるため、早期に住人に注意する必要があります。

整然とした廊下やエントランスになっていれば、安全である以外に、非常にマンションのイメージも良くなります。
しかし、ちょっとくらいであれば他の人の邪魔にならないだろう、というような気持ちの住人が多くなると、すぐに乱雑になります。
そのため、マンションの管理組合としては、貼り紙でお願いしたり、注意したりするなどして、できるだけ早い段階で対策することが大切です。

もし、マンションのベランダの共用部分などのトラブルについての法律相談をしたい場合は、弁護士がおすすめです。

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