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不動産売買契約時にインスペクション(住宅診断・建物調査)の告知義務化はどういう意味?

2017年08月16日 公開
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不動産売買契約時にインスペクション(住宅診断・建物調査)の告知義務化が、2018年4月から実施されることになりました。

国としては、中古住宅の流通が活発にならない要因が住宅の状態や性能が不透明であると判断しており、このインスペクションを普及させたいと考えています。
では、告知義務化でインスペクションは進むのでしょうか?

ここでは、不動産取引会社の経営者の話についてご紹介しましょう。

インスペクションは普及するか?

インスペクションは普及するでしょう。
というのは、重要事項説明書のインスペクションを行った結果について予定されている書く欄が非常に大きく、中古住宅の媒介契約締結時や売買契約締結時にインスペクションを行わなければ、質問や説明を買い主から要求される可能性が大きいためです。

告知義務化で考えられるデメリットやトラブルはないか?

重要事項説明時に、宅建業者が買い主からの質問に対して回答をある程度要求されることが最も問題です。
建築士に回答を要求したくても、連絡対応がすぐにできる建築士はほとんどいないと考えられます。

インスペクションは買い主側、売り主側のいずれが普及するか?

インスペクションが普及するのは売り主側です。
というのは、住宅を買う際のインスペクションは対応が時間的に困難であるため、宅建業者が都市部においては特に実施しない方向に導きやすいためです。
一方、売り主側の場合は、不動産仲介会社の大手の保証・検査の取り組みのために、住宅を売る際、だんだんインスペクションは普及するでしょう。
しかし、地方では、すでに既存住宅が取引のメインになっているため、買い主側のインスペクションも特に情報が割合行き届くエリアをメインに普及するでしょう。

活発に中古住宅の流通をするためにインスペクションは本当に必要か?

インスペクションは、活発に中古住宅の流通をするために必要です。
買い主側としては、従来は慣習からそのまま現況を受け入れざるを得ませんでしたが、インスペクションはこれから中古住宅の購入を促すために非常に貢献するでしょう。

インスペクション(住宅診断・建物調査)とは?

では、インスペクション(住宅診断・建物調査)とはどのようなものでしょうか?
インスペクションというのは、住宅を熟知しているインスペクター(専門家)が住宅を調査して、欠陥の有無や劣化の程度、改修する必要がある箇所と時期、改修のための概算費用などを判断し、アドバイスを依頼する人に行うものです。
インスペクションは、客観的な第三者の立場で行われるので、公正に住宅の状態が判断できると言われています。
基本的に、インスペクションは目視検査で、住宅の外観、部屋の中、屋根裏、床下、それぞれの設備機器などを確認します。
希望すると、専門的な機器であるサーモグラフィーやファイバースコープなどで調査することもあります。

インすペクション利用時の注意点

では、インスペクションの利用時はどのような注意点があるのでしょうか?
ここでは、インスペクションの利用時の注意点についてご紹介しましょう。
インスペクションは、住宅を購入したり、補修したりする際の判断をするというような大切なシーンで利用するものであるため、インスペクターによる信頼できるものである必要があります。
そのため、インスペクションは、第三者性・独立性が要求されます。

インスペクションを住宅を買う際に利用したいと思った場合は、インスペクションについて不動産業者と話をするようになりますが、この際には注意点があります。
住宅を買う際に話をする不動産業者にとっては、決してインスペクションは好まれるものではないということを把握しておく必要があります。

インスペクションを利用したいという話が買い主からあった際に、不動産業者の担当者としては、インスペクションの結果が良くない場合は購入してくれないのではないか、別の人がインスペクションの間に購入して仲介手数料などが自分のところに入ってこないのではないか、というような不安を持つ場合が多くあります。

買い主としてはインスペクションによってリスクを少なくしたいでしょうが、不動産業者としてはリスクであると思う場合があります。

このような不動産業者は、さまざま理由をつけて、買い主に対してインスペクションを利用させないようにしようとします。
この際の不動産業者の説明の事例としては、インスペクションを利用している人などいない、インスペクションは必要ない、中古住宅は当然劣化しているものであるためインスペクションする意味がない、売り主がインスペクションを拒んでいる、などがあります。

不動産業者の知り合いの住宅診断会社を紹介してくれることも場合によってはありますが、買い主の立場で判断してくれるか疑わしいでしょう。
インスペクションを長く行っている住宅診断会社に対しても、リフォーム業者や不動産業者などから、インスペクションをリフォームや住宅の販促に利用したいため業務提携をしたい、というような話が毎月のようにありますが、一切断っているそうです。

このような業務提携の場合は、リフォームを受注したい、住宅を販売したいためであるそうです。
お客さんをこのようなリフォーム業者や不動産業者から紹介されるようになれば、大切な取引先にこのような業者がなってしまって、しばらく経つと、インスペクションの結果がこのような業者の考えに沿うようなものになる恐れもあり得ます。

適切にインスペクションを行って購入する際などの見極めに利用するためには、第三者性がいかに大切であるかということになります。
住宅診断会社を探す際に、全て不動産業者に任せるような人もいます。
このような場合は、リスクについても考慮しておく必要があります。
不動産業者などから、買い主の代わりに確認していますと、住宅診断会社に電話がかかる場合も多くありますが、この際には、調査の進め方・内容に関して不動産業者の考えに沿っているかを気にする業者が多くあるそうです。

住宅の状態を具体的に説明して、診断結果としてどのようなものが出るかをチェックするような業者も中にはいます。
診断結果が厳しい場合は、表現がもっと厳しくない住宅診断会社を見つけるようです。
このような場合は、住宅診断会社を自社のために見つけるのであり、買い主のために見つけるのでは無くなっています。
インスペクションを利用することを話した際に、肯定的でない行動・言動があった場合や住宅診断会社を進んで斡旋・紹介すると言われた場合は、十分に注意しましょう。
住宅を買うという大切な判断であるため、自分自身で住宅診断会社を見つける方がよりいいでしょう。
インスペクションというのは、基本的に、意見を第三者の観点から聞くものであるため、診断のみするといいということではないことを十分に把握しておきましょう。

インスペクションのメリットとは?

住宅を買う際に利用するインスペクションが着目されており、雑誌や新聞、テレビなどで話題になることも非常に多くなりました。
では、インスペクションはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ほとんどの場合は、インスペクションは買い主が希望することで利用されています。
そのため、ここでは、買い主の立場でのインスペクションのメリットについてご紹介しましょう。

補修する必要がある箇所が掴める

中古住宅の場合は、具合が悪い箇所などがあると補修したいでしょう。
新築住宅の場合は、補修を建築業者や売り主などに対して要求できますが、中古住宅の場合は、買った後に買い主が補修したり、補修を売り主に要求したりします。
なお、一般的には、中古住宅の場合は買った後に買い主が補修する場合が多いようです。
補修する必要がある重大な箇所があるにも関わらず知らないで買って、買い主が後から補修するようになると大変です。

客観的な専門家のアドバイスや意見が聞ける

当然ですが、インスペクションの場合は、専門家の一級建築士などが診断してくれます。
客観的な専門家のアドバイスや意見が聞けるのは、高額な住宅を買う場合には非常に意義があるものです。
しかし、客観的なアドバイスや意見を聞くには、その取引と利害関係が多少なりともあるような人や会社でなく、第三者の利害関係がないところを買い主自身が見つけることが必要です。

買い主が把握できないことが見つかる場合がある

住宅の買い主は、一般的に、建築についての経験や専門知識がありません。
素人でも物件を見た際に気づく場合はありますが、専門家であるために気づくこともあります。
買い主が把握できないことが見つかるのは非常にメリットです。
また、何かの症状に買い主が住宅を見て気づく場合があっても、どのようにそれを判断するかが非常に大切です。

例えば、亀裂が外壁にあるのに気づいた場合でも、この亀裂が問題ないものか、それとも補修する必要があるものか、さらに重大な劣化であるものか、などを見極めするのは難しい場合が多くあります。
このような症状の場合でも、専門家のアドバイスや意見が聞けるのはメリットです。

住宅を買う際に参考になる

補修する必要がある箇所が分かったり、客観的な専門家のアドバイスや意見が聞けたりできるのは、住宅を買う際に参考になるということであり、非常にメリットになります。

インスペクションのデメリットとは?

では、インスペクションのデメリットはないのでしょうか?
ここでは、買い主の立場でのインスペクションのデメリットについてご紹介しましょう。

取引が遅くなる場合がある

インスペクションを利用する場合は、このスケジュールを売買契約締結時前に設定する必要があります。
そして、インスペクションの結果が出るまで待つようになるので、日数が1日~7日くらいかかります。
急いで取引を行う必要がない場合は問題は全く無いでしょうが、先に別の人が買う可能性がある場合などは、対応を早くする必要があります。
書類でインスペクションの結果が届くのを待つ余裕が無ければ、インスペクションの当日に十分に現地で説明を聞くのがいいでしょう。
また、住宅診断会社に頼んで、早めにインスペクションを行ってもらいましょう。

立会いがインスペクションの際に必要である

インスペクションの調査は、頼んだ住宅診断会社に全て任せて、立会いを買い主がしなくてもできます。
しかし、現地でインスペクションに立会いして調査する項目・内容・結果を確認することは、買い主にとって間違いなく有意義になります。
そのため、インスペクションの際は必ず立会うようにしましょう。

不動産業者の一部が嫌がる

インスペクションを利用することは普及してきたため、現在ではインスペクションを買い主が利用することについて露骨に拒むことは少なくなっています。
しかし、不動産業者の一部には嫌がる場合もあります。
そのため、売り主や不動産業者と関係が悪くなるのを不安視する人もいます。

また、デメリットにこれはなるかもしれませんが、大切な住宅を買う際には意識し過ぎる必要はないでしょう。
基本的には、買い主のことを考慮して、不動産業者がインスペクションを積極的に段取りしてもいいほどでしょう。

不動産業者や売り主の了解をもらうために手間がかかる

住宅を買う際にインスペクションを利用する場合は、了解を売り主にもらうことが必要です。
また、インスペクションのスケジュール調整を、不動産業者にも行ってもらうことが必要です。
不動産業者が協力的な場合は、全く問題ありません。

しかし、非協力的な不動産業者の場合は、インスペクションのスケジュール調整などにストレスを多少感じる場合があるためデリットになります。
大切な住宅を買うため、ストレスを多少感じたとしてもインスペクションのスケジュール調整などを頑張りましょう。

このように、インスペクションの場合は、メリットだけでなくデメリットもあります。
なお、売り主の立場でのインスペクションのメリットやデメリットについては、ネットなどでも紹介されているため確認してみましょう。

まとめ

ここでは、2018年4月から実施される「不動産売買契約時のインスペクション(住宅診断・建物調査)」についてご紹介しました。
インスペクションを利用する場合は、ここでご紹介したようなメリットとデメリットについて十分に把握しておきましょう。

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編集部

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