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空き家の発生を抑制!3,000万円特別控除について

更新日:2020年03月02日
空き家の発生を抑制!3,000万円特別控除についてのアイキャッチ

亡くなった親から家を相続したのはいいけれど、自分も家を持っているし、家は田舎にあるし、住むことは無いだろうからこのまま空き家になってしまうだろう。
このようなケースは年々増えて行っているようです。
空き家を放置していたら、家の老朽化が進み近隣住民の方が危険な状態に陥ってしまう可能性もあります。

この空き家問題を解決するために国土交通省では「空き家の発生を抑制するための特例措置」という制度を創設しました。
この特例措置はどのような内容なのでしょうか。詳しくみていきましょう。

空き家の発生を抑制するための特例措置とは

この制度は、被相続人(亡くなった方)が住んでいた家の売却に関する特例です。
家を相続した相続人が、相続した家(耐震性のない場合、耐震リフォームをしたものに限りその敷地)又は取り壊し後の土地を譲渡した場合に、譲渡所得から3,000万円を特別控除されるというものです。

特別控除を受けるためには様々な条件を満たす必要があります。
期間や空き家の条件、譲渡の条件など様々です。その条件について、説明していきます。

①特例措置の適用期間

この特例措置には適用期間があります。
 まず相続開始の日から3年後の年の12月31日までの相続であること。そして特例措置の適用期間である、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡をする必要があります。

 ちなみに「3年後の年の」とあるように、相続発生後4年目に入る12月31日まではこの特例を受けられます。つまり、平成26年1月1日から12月31日までに譲渡された場合、平成29年12月31日までは申請ができるというわけです。ただし、特例措置の対象となるのは適用期間内に行われた譲渡だけとなりますので、この場合平成26年1月1日から平成28年3月31日までに譲渡された場合は、特例措置の対象外となってしまいます。

②特例措置を受けるための家屋の条件

 特別控除を受けるには空き家であることが大前提です。
 その空き家に当てはまるかどうかは、次の条件を満たしていることが必要となります。

 ・相続開始の直前まで、被相続人「のみ」が住んでいた不動産であること
 ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
 ・(マンションなどの)区分所有建物はないこと
 ・相続から譲渡の時までに事業・貸付・居住などの用に供されていなかったこと(要は誰も使っていなかったということ)

③譲渡に関する適応要件

 譲渡する際には、次の2つの条件を満たしていることが必要となります。

 ・譲渡価格が1億円以下であること
 ・現在の耐震基準に適合すること(耐震性が無い場合は、相続人が耐震リフォームをしてから売却すること。又は、相続人が家屋を取壊して更地にしてから売却すること)

特別控除を受けることによって税金がどう変わるのか

 通常、相続不動産を譲渡する際には、「譲渡所得税」が課税されます。譲渡所得税とは、不動産の売却により生じた所得(利益)に対してかかる税金のことです。
 特別控除と適用した場合と、適用しなかった場合とではどのように譲渡所得税額が変わるのでしょうか。

 特別控除の計算式については次のようになっています。

譲渡所得=

譲渡価額-(取得費 (※)+譲渡費用(除却費用等))-特別控除3,000万円

※取得費が不明の場合、譲渡価額の5%で計算

まずは譲渡所得額を計算し、それから譲渡所得税を計算します。
譲渡所得税の税額は、譲渡所得額に所得税率と住民税率を乗じて計算します。

所得税率と住民税率は、次のようになっています。

   短期譲渡所得の税率 長期譲渡所得の税率
所得税 30% 15%
住民税 9% 5%
復興特別所得税 2.1% 2.1%

短期譲渡と長期譲渡の違いは、譲渡した年の1月1日の時点で、不動産の所有期間が5年を超えるかどうかです。

 また、平成49年までは復興特別所得税が加算されます。復興特別所得税は所得税に税率を乗じて計算します。

 では、実際にはどのように税額が変わるのでしょうか。
 例として次のように前提条件を設定して、具体例を挙げてみます。
 ・昭和50年建築
 ・除却費用…300万円(相続家屋を取り壊した費用)
 ・被相続人が10年間所有し、一人で住んでいた
 ・取得時の価格は不明
 ・取り壊し後の土地を800万円で譲渡

 ●特別控除を適用した場合の譲渡所得税の税額
  800万円-{(800万円×5%)+300万円}-3,000万円=0円
  譲渡所得が0円ですので、所得税・住民税・復興特別所得税も0円となります。

 ●特別控除を適用しない場合の譲渡所得税の税額
  800万円-{(800万円×5%)+300万円}=460万円
  <所得税>460万円×15%=69万円
  <住民税>460万円×5%=23万円
  <復興特別所得税>69万円×2.1%=1.4万円
  69万円+23万円+1.4万円=93万4千円

 以上のようになります。特別控除を受けるのと受けないのでは、大きな差があることがわかりますね。

特例措置を受けるための留意点

 空き家の条件は、先述したおりなのですが、その空き家が本当に対象となるかどうかには、いくつかポイントがあります。ポイントを抑えておきましょう。

●家屋の条件
 ・被相続人が居住していた家屋に該当するかどうかは、相続開始直前の状況に基づいて判断される。
 ・被相続人が居住していた家屋が複数の建物からなる場合、主に住居していたと認められる1つの建物が対象となる(母屋・倉庫・離れなどがあった場合は母屋となるなど)。
 ・被相続人が1人で住んでいたこと(夫婦で住んでいて、被相続人が亡くなった後配偶者が相続した場合などは対象外となる)。
 ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋、つまり旧耐震基準の建物が対象となる(新耐震基準の建物は対象外)。
 ・被相続人の家屋と土地の両方を相続していること。
 
 また、留意点として相続開始時点に病気の治療の為などで病院に入院しており、住民票は自宅に残っている場合などは、被相続人が居住していなくても認められる場合があります。
 しかし、相続開始時点の数年前から介護上の理由などから老人ホームに入所して、住民票をそちらに移している場合などは認められませんので注意が必要です。

●譲渡価格が1億円以下であること
 ・譲渡価格が1億円以下であるかどうかは、すべての相続人の譲渡価格の合計で行われます。また、相続人が相続前、既に所有していた部分の土地を譲渡していた場合も、譲渡価格に含まれます。
 例えば分筆(土地を細かく分ける事)をすれば、一人あたりの譲渡価格は1億円以下に収められることになるかもしれませんが、相続人が相続前にした譲渡の価格が5,000万円で、相続後にした譲渡が6,000万円だった場合は、1億1,000万円となりますので、特例の適用対象外となってしまいます。
 ・家屋しか相続していない場合や、家屋に店舗や賃貸住宅などがある場合は制度の対象外だが、1億円の計算には含まれてしまう。

特例措置を受けるための申請方法

 では、特例措置を受けるにはどのような流れになるのか、またどのような書類が必要なのかをみていきましょう。

①空き家の所在地の市区町村に申請
 確定申告をするために、被相続人居住用家屋等確認書の交付を受ける必要があります。確認書の申請のために市区町村に提出する書類等は次の通りです。

 ●被相続人居住用家屋等確認申請書
 ※当申請書は国土交通省のホームページより入手できます。

 ●被相続人の除票住民票の写し(相続開始の直前まで、被相続人「のみ」が住んでいた不動産であることの証明)

 ●家屋又はその敷地等の売買契約書の写し等(相続から譲渡の時までに事業・貸付・居住などの用に供されていなかったことの証明)

 ●以下の書類のいずれか
 ・電気ガスの閉栓証明書または水道の使用廃止届出書
 ・宅建業者による 「当該家屋が空き家で、かつ、除却又は取壊しの予定があること」 を表示して広告していることを証する書面の写し
  ※当該家屋が相続の時からその全部の取壊し、除却又は滅失の時まで事業・貸付・居住などの用に供されていたことがないことの証明は次の書類も必要。
 ・当該家屋の取壊し・除却・滅失後の敷地等の売買契約書コピー等
 ・当該家屋の除却工事の請負契約書のコピー

 ●取壊し
 ・除却・滅失時から譲渡時までの当該敷地等の使用状況が分かる写真

 ●取壊し
 ・除却・滅失時から譲渡時までの間の当該敷地等における相続人の固定資産課税台帳または固定資産税課税明細書のコピー

②被相続人居住用家屋等確認書が交付される

③譲渡の翌年の、2/16~3/15に確定申告をする
税務署に提出する書類
●家屋または家屋及び敷地等を譲渡する場合
 ・被相続人居住用家屋等確認書
 ・確定申告書
 ・譲渡所得の金額の計算に関する明細書
 ・当該家屋や敷地の登記事項証明書等
 ・売買契約書のコピー等
 ・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書のコピー

●家屋を取壊・除去・滅失後の敷地等を譲渡する場合
 ・被相続人居住用家屋等確認書
 ・確定申告書
 ・譲渡所得の金額の計算に関する明細書
 ・当該家屋や敷地の登記事項証明書等
 ・売買契約書のコピー等

まとめ

 特例措置を受けられるかどうか、またどのように書類を作成すればいいのか、判断がかなり難しいと思われます。また、確定申告も複雑です。
 弁護士、司法書士、税理士等の専門家に相談するなどして、この制度を間違いなく受けられるようにしておきましょう!

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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