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損をしない!不動産賃貸の手付金・申込金は返還される

更新日:2024年02月14日
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そもそも手付金とは何か?

手付金というのは、賃貸借契約を結ぶ場合に支払う一部の代金のことを言います。
仲介手数料という仲介業者に支払うものとは、手付金は違ったものです。
一時的に手付金は支払うものであるため、手付金は代金を後日支払った場合に戻ってきます。

しかし、手間が手続きにかかるため、初期の費用や一部の家賃の費用のために、手付金は引き当てされる場合が多くあります。
手付金の相場としては、決まった金額のようなものはありません。
一般的な取引の場合は、契約が手付金を支払った時に結ばれたとみなされます。

また、賃貸借契約の場合は、契約を結ぶ前に「重要事項説明」を行うことが仲介業者には義務化されています。
手付金を重要事項説明を行わない前に支払っても、契約を結んだとはみなされなく、預り金として名目に関係なく取り扱われます。
例えば、大阪府のホームページの「お金を払った後にキャンセルしたいが、お金は返金される?」においては、次にご紹介するようなことが紹介されています。

トラブルの典型的な事例

ある人は気に入った賃貸物件を不動産業者の店頭で見つけたため、入居の申し込みをその不動産業者に仲介してもらって行い、預り金として家賃の1ヶ月分を支払いました。
次の日、よりいい条件の賃貸物件が他の広告で見つかったため、キャンセルしたいと言った結果、不動産業者から、キャンセルはできるが契約が成り立っているため預り金は返せないと言われました。

重要事項説明は行われているか?

借主に対して、仲介業者は契約が成り立つまでに重要事項説明書を渡して、重要事項説明を宅地建物取引士によって行う義務があります。
重要事項説明を行っていなくて、「契約は成立したため手付金は返せない」と仲介業者が言う場合は、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明義務違反であると仲介業者に言いましょう。
なお、重要事項説明というのは、今から賃貸物件を借りる人に対して、取引条件や負担する費用など、契約を結ぶかどうかを見極める上において、契約が成立するまでに一定の大切な事項の説明を宅地建物取引士が行うことです。
重要事項説明は、宅地建物取引業法において契約が成立するまでに行うことがで義務化されています。

 

申込金や預り金とは?

申込金というのは、申込証拠金と正確には言います。
申込金は、契約を結ぶ前に支払うお金で、賃貸物件に入居を希望する人に先に契約されないように意思確認や順位確保のために支払うものです。

つまり、支払いして仮押さえするためのものです。
申込金と預り金は意味合いが同じようなものです。
申込金額は、ルールがなく、1万円くらいのケースもある一方、5万円〜10万円くらいになるケースもあります。

まだ、契約を正式に結んでいるということではないため、基本的に、キャンセルしたい場合は返してくれます。
正式に契約する場合は、一部の契約金などに引き当てされます。

 

【重要】東京都での賃貸契約の手付金・預り金は原則禁止

東京住宅局が、平成4年(1992年)6月に、次にご紹介するように、賃貸住宅の手付金を特別なケース以外は禁止する指導を行っています。

不動産を買う際の預り金を返還しない事例

マンション買うことを希望していた人は、不動産業者を通してマンションを買う申し込みをしました。
この時、不動産業者から、「正式に契約する前に、値段を売主と交渉するために預り金が必要である」と言われたので、不動産業者にお金を後日渡しました。

この後、正式に契約する前に申し込みをキャンセルして、預り金の返還を不動産業者に要求しましたが、なかなか対応してくれなく、お金が現在でも返ってきません。
なお、正式に契約する前に、預り金として申込金・予約金・申込証拠金・交渉預り金などの名目で要求される場合があります。

ここでご紹介したようなトラブルが、この預り金の返還に対して見られます。
預り金というのは、もし正式に契約しなかった場合には、返還されるものです。
また、宅地建物取引業法で、預り金の返還を拒否するような行いは禁止されています。

対応策

東京都としては、契約する際に、不動産業者に対して、基本的に、預り金の高額なものを受取してはならないと指導しています。

そのため、不動産業者に請求された場合でも、契約する前に高額なお金を安易に預けないようにしましょう。なお、賃貸住宅に対してこの指導は行われているため、不動産取引については対象になっていません。

また、手付金については、名目を変えて申込金、予約金、預り金などとして要求する場合も同様に禁止になっています。
賃貸借契約して引っ越しする前にキャンセルが発生した場合に、申込金や手付金を返さないと言っているような業者は東京都の指導を明らかに無視しています。

このような不動産業者の場合は、他のところに相談し直す方がいいでしょう。

 

原則宅地建物取引業者は預り金の返還を拒否できません

現在の国土交通省の旧・建設省が、平成8年(1996年)4月1日付で、省令として、預り金の返還は宅地建物取引業者は拒否してはいけない、という趣旨のものを施行しています。
預り金として正式に契約する前に支払ったものは、基本的に、キャンセルを支払った人がすると返還されるようになっています。

宅地建物取引業法施行規則の第十六条の十二–二において、「宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと」と決められています。
東京都の条例では手付金を禁止していますが、国土交通省がこの省令は決めているため、全国共通のものです。
キャンセルを正式に契約を結ぶ前にしても、預り金として支払ったものを返さない場合は、法令に違反するようになります。

賃貸契約における大阪府の手付金の見解

大阪府では、公式ホームページの「契約の際には、こんな注意を」において、注意を手付金の支払いについて喚起しています。

契約することと手付金を支払うのは同じである

賃貸借契約は、ほとんどの場合、取引が仲介業者を通して行われ、貸主が同席して結ぶ場合が非常に少なくなっています。
そのため、入居審査を貸主にしてもらうことと借主の入居する意思を確認することを理由に、お金の支払いを仲介業者から要求される場合がよくあります。
預り金とこのお金は言われて、ほとんどの場合、金額としては1万円程度~1ヵ月分の家賃以内のようです。
預り金は、保証金や家賃と比較して割合容易に準備できる金額の場合が多く、申し込みする人からすれば、「契約はまだ結んでいない」という安堵感があるため、支払いを気軽に済ませる場合が考えられます。

しかし、この預り金は、貸主が入居審査して受かった後、手付金に契約した証拠として引き当てされて、キャンセルを入居していない状況で申し出しても、契約がすでに成り立っているということで返してくれないことがあります。
預り金を申し込みする際に支払う場合は、重要事項説明書の交付と説明を事前に受けて、予定している契約書案の写しをもらって、十分に確認して納得してから支払いましょう。
また、預り金の性質や支払った後の預り金の処理などについて十分に確認して、この旨を預り証に書いてもらいましょう、正式に契約した証拠として、手付金は支払われるものです。
契約というのは、契約書のきちんとしたものがあり、これに押印・署名をしなければ正式に契約したようにならないと、一般的にはよく考えるでしょう。

また、契約する際には、契約書は必ずしも必要ではありません。
そのため、手付金の意味から考慮すれば、「契約することと手付金を支払うのは同じである」ということを把握しておきましょう。
手付金に預り金として支払ったお金が引き当てされる場合もあるので、預り金を支払いする際にも注意する必要があります。
賃貸借契約の成立と手付金の支払は、実際には同じではありません。
しかし、申込金や手付金を支払う際は、賃貸借契約の成立と手付金の支払は同じ程度であると考えておく方がトラブルになりにくいでしょう。

 

預り金・手付金はキャンセルすると全て返還されるか?

キャンセルは、一度申し込みすればできないと考えている人もいるのではないでしょうか。
不動産売買の場合は、法律として宅地建物取引業法というものがあります。
賃貸借契約が成立する前には、不動産業者の宅建取引主任者から借主は賃貸物件の重要事項説明書を交付してもらって説明してもらう義務があります。

この後に、契約書に捺印・署名を借主がすれば賃貸借契約が成立したようになります。
そのため、契約書に捺印・署名する前は、手付金・申込金を支払っている場合でもキャンセルはできます。
そして、支払ったお金も基本的に返ってきます。

キャンセルは申込金を支払っているのでできない、というような不動産業者がいれば、それは全く法律的な根拠がないため強くアピールしましょう。
申込金というのは、強い意志を持って賃貸物件を借りたいことを言いたい場合、確実にその賃貸物件を確保してもらうために契約する前に不動産業者に支払うものです。
その賃貸物件を借主が十分に検討したいので、別のお客さんにその間に契約されないように確保して欲しいというような場合に、申込金は支払います。
さらにいい賃貸物件が見つかったというような場合で、キャンセルを契約する前に行った際は、返金されます。

 

申込金を支払いしたということでも、契約が必ずできるということではない?

例えば、入居審査に受からなかったり、契約が貸主と合意できなかったりすれば、契約することは申込金を支払っていてもできません。
なお、この場合は申込金は返金されます。

また、スムーズにその賃貸物件で契約できると、申込金は一部の契約金として引き当てされます。
賃貸借契約において、手付金は代金の一部あるいは全部として支払うお金で、契約を結んだ後、賃貸物件に入居するまでに支払います。
賃貸物件の場合は、不動産業者によっては手付金を行っていないこともあります。
手付金を支払った場合でも、キャンセルは契約の手続きを正式に行っていないとできます。

この場合は、手付金がキャンセルすると返還されないこともまれにあります。
手付金については、取り決め方法が不動産業者によって違っているため、手続きの申し込みをする際に十分にチェックしておきましょう。
契約する前に申込金を仮押さえして欲しいので支払ったが、キャンセルしますと断ると、返金されないような場合は実際には多くあります。
預り金は、基本的に、契約が成立するかどうかに関係なく返還されるべきものです。
申込金をトラブルに先々なるのを回避するために支払う場合は、預り証を必ずもらっておきましょう。
不動産業者の中には、領収書を発行する場合もあるかもしれません。

このような場合は、「預かり金として」と但し書きに書いてもらうのがおすすめです。
気に入った賃貸物件を確保するために支払うものであるため、確保してもらう有効期限も書いてもらいましょう。
不動産業者の名前と担当者名まで書いてもらって、社判を押してもらいましょう。
「預り金は契約の成立に関係なく返還します」という一文を、さらに書いてもらうとベストです。

また、先にご紹介したように、キャンセルすると手付金が戻ってこないこともあります。
売買物件と違って、実際には手付けという習慣が賃貸物件はなく、手付金の受け取りを不動産業者によっては行っていないこともあります。
手付金を申し込みする際に要求された場合は、どのように取り扱いがなっているか十分にチェックしておくことが大事です。

 

不動産賃貸の手付金・申込金は返還される?

手付金というのは、賃貸借契約を結ぶ場合に支払う一部の代金のことを言います。
申込金は、契約を結ぶ前に支払うお金で、別の賃貸物件に入居を希望する人に先に契約されないように意思確認や順位確保のために支払うもので、申込金と預り金は意味合いが同じようなものです。
東京住宅局が、平成4年(1992年)6月に、賃貸住宅の手付金を特別なケース以外は禁止する指導を行っています。

現在の国土交通省の旧・建設省が、平成8年(1996年)4月1日付で、省令として、預り金の返還は宅地建物取引業者は拒否してはいけない、という旨のものを施行しています。
契約書に捺印・署名する前は、手付金・申込金を支払っている場合でもキャンセルはでき、支払ったお金も基本的に返ってきます。

不動産に関する困りごとは弁護士へ相談を

不動産契約は非常に複雑で、法的要素を伴うものもあります。

不動産に関する困りごとがあれば、弁護士に相談してみましょう。

弁護士であれば、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、不動産関連で起きやすいトラブルを未然に防いでくれるでしょう。

弁護士を選ぶ際は、トラブルの内容に精通しているかどうかや相談のしやすさ、説明の分かりやすさを意識しておくのが重要です。

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