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マンションや一軒家における騒音トラブルは弁護士に相談できる?

更新日:2020年07月21日
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案外と知られていませんが、マンションの造りが鉄筋コンクリートの場合は、電子ピアノでない普通のピアノを弾けば、階下や真上、隣の部屋以外にも、何軒も離れた部屋にまでマンションの構造体を伝わって響くということがあります。
ピアノの音がマンションの構造体を伝わって響く場合は、音が空気の振動で伝わる場合と違って、ピアノの音は窓を閉めていた場合でも遮断できません。
そのため、耳にしたくないピアノの音を、基本的に、リラックスするための自宅でいつまでも聞かされるようになります。
ピアノは、基本的に、その音を広いスペースに響かせるようになっているため、マンションのような生活スペースというところでは、弾く場合に十分に気配りしておかなければ、容易に近隣の騒音トラブルが起きてしまいます。
このような近隣の代表者な騒音トラブルとしては、「騒音おばさん」の有名な事件があります。
この事件は、ある女性が数年間にわたって、音楽を大音量で流し続けたものです。
集合住宅において、古い昭和の時代には、殺人事件がピアノの音のために起きたことがありました。

また、尼崎市にある木造賃貸アパートにおいても、2016年5月、殺人事件が騒音トラブルによってありました。
被害者の人は、孫を頻繁に家に入れており、犯人はこの孫の足音を嫌がっていたようです。
このような事件からは、耳にしたくないピアノの音を聞かせるのは、一種の暴力を相手にとっては受けているようなものであることが分かってきます。

では、法律としてこのような騒音を禁止するためのものはあるのでしょうか?
頻繫に騒音トラブルが発生するのは、やはり集合住宅のマンションやアパートというような場合です。
床一枚、壁一枚でやはり繋がっているため、気配りが住人同士でなければ騒音トラブルにすぐになります。
騒音トラブルとして集合住宅でよくあるものとしては、足音や子供が跳ねたりした際の音、早朝や深夜の洗濯機を使う音、掃除機を使う音、楽器のピアノやステレオ、バイオリンというような音が挙げられます。

 

騒音を規制する!「騒音規制法」って?

騒音を規制する法律としては、騒音規制法があります。
しかし、この騒音規制法は、1960年代の建設工事が高度経済成長期で急激に増加した時期に施行されたため、車の通行による騒音や工場から出る騒音などを規制するものになっています。
一方、日本においては、日常生活において一般市民から発生する洗濯機を使う音、エアコンの室外機から出る音などの生活騒音を規制する法律はありません。
狭い日本のような国土において、しかも住環境が木造住宅というような場合は、騒音が多少あるのはお互い様であるため辛抱しようという慣習からか、国も生活騒音を規制する法律を今まで整えなかったこともあるでしょう。
また、生活騒音の場合は、工場騒音などと比べるとその発生源が小さく、発生するのも短時間であり、いろいろな発生する要因もあり、さらにいろいろな生活パターンがある日常生活自体に起因する騒音であるため、法律で規制を一律に行うのが難しいということもあります。
そのため、立法サイドの考え方としても、騒音が多少ある場合でも解決は当事者間に任せるべきであるということもあります。

また、生活スペースの場合は、工業エリアなどと違って、そこに暮らしている人の肉体的と精神的な健康を保護するためにも、間違いなく静かな環境を守ることが大切でしょう。
そのため、深夜や早朝の生活騒音についての規制を、条例によって設けているケースも地方自治体の中にはあります。
どのような生活騒音の規制があるか、どのような生活騒音の規制内容か、について把握したい場合は、都道府県や市町村の窓口に問い合わせてみましょう。

 

騒音問題が出たらまず、管理会社に相談

騒音トラブルが賃貸マンションで起きた場合は、管理をオーナーから任された管理会社があるため、相談をそこにまずするといいでしょう。
というのは、オーナーや管理会社の場合は、良好な住居を入居している人に提供する義務が、賃貸借契約に基づいてあるためです。
そのため、静かな住環境をその騒音が乱す要因になっているのであれば、その騒音の発生を中止させる義務があります。

また、マンションでの生活騒音は、思ってもみなかったようなところから発生していることもよくあります。
マンションの管理会社であれば、このような騒音についても、いくつもの部屋からの騒音をベースにして発生源を見つけることができます。
そして、管理会社としても、騒音の苦情がいくつもの部屋から出ているようになると、騒音と思っている人が神経質ということでなく、誰が耳にしたとしても騒音であると思うレベルという証にもなり、騒音を発生させている住人に注意がしやすくなります。

しかも、オーナーや管理会社が注意しても騒音を発生させるのを継続した場合は、貸主のオーナーは、賃貸借契約を住人が違反したということによって、契約を止めて立ち退きさせることもできます。
そのため、マンションの騒音トラブルの場合は、管理会社にまずは相談してみましょう。
一方、分譲マンションにおいては、入居しているそれぞれの人がオーナーになります。
しかし、一般的に、入居している人で組織した管理組合があるため、管理会社に管理組合が任せている場合が多くあるでしょう。
マンションの管理運営は管理規約に従って行われているため、マンションの管理組合あるいは管理会社に相談するといいでしょう。

 

次に相談するのは?警察?弁護士?

日本においては、戸建てでも、木造住宅の造りになっているため音がよく通り、住宅街のほとんどの場合は、住宅が多く密集しているため、騒音トラブルがうっかりすると発生します。
騒音トラブルの要因としては、楽器のステレオやピアノというような音、犬の吠え声、ガレージのシャッターの開閉音などが挙げられます。
このような騒音の過度なものが騒音トラブルの要因でなく、基本的に、住宅の構造的な欠陥であったというような場合もよくあります。
このような構造的な欠陥が立証できると、売買契約の解除や損害賠償請求を戸建ての建築業者やマンションの売主などに要求しましょう。
戸建ての場合は、特に仲介してくれる管理会社などが騒音トラブルが発生してもないため、直接相手と交渉したり、自治会長などに場合によっては仲介してもらったりするようになるでしょう。

また、マンションの場合でも、管理会社などが対応しても騒音トラブルが解決しないようなレベルが良くない場合は、弁護士に相談したり、警察に相談したりしましょう。
警察に騒音トラブルの相談をした場合は、警察の制止をきかないで、騒音を発生し続けて迷惑を近隣の人にかければ、軽犯罪法に違反するようになります。
そのため、この軽犯罪法をベースにして、注意を警察官から相手にしてもらえます。
警察官から注意をその場でされて一旦騒音トラブルは無くなったが、再度騒音を発生させた場合は、自治体が決めている迷惑防止条例に場合によっては違反することがあります。
このような迷惑行為を訴えると、警察は対応する必要があります。

 

騒音トラブルが裁判になるのか

騒音トラブルが裁判になる場合もあります。
騒音に悩んでいる人に、健康被害として不眠症などが発生すれば、損害賠償請求ができます。
騒音トラブル裁判として実際に発生した事例についてご紹介しましょう。

騒音トラブル裁判の事例は、東京地方裁判所の平成19年10月3日のもので、マンションの上階に住んでいた人による損害賠償請求です。
マンションに住んでいた夫婦は、上階に住んでいた家庭の騒音で悩んでいました。
上階に住んでいた家庭には、夫婦と1人の幼児がいました。
家の中をこの幼児が走り回る音が、下階の夫婦の部屋にも響いていました。
下階の夫婦は、上階の家庭に直接交渉したり、管理会社に相談したりしていましたが、騒音は良くなりませんでした。
下階の夫婦は、不眠症にこの騒音によってなりました。
そのため、下階の夫婦は、上階の家庭に対して解決を民事調停によって図ろうとしました。

しかし、上階の家庭が調停を拒否したので、損害賠償として200万円の慰謝料と40万円の弁護士費用を請求しました。
東京地方裁判所の判決によって、上階の家庭の騒音に対して損害賠償請求が認められました。
上階の家庭に対しては、慰謝料を36万円払うように命じられました。
このマンションの床材は、一般的なレベルよりも遮音性能が劣っており、さらに、マンションそのものがファミリー向けであり、子供がいることも想定できるので、一部の請求額が認められるようになりました。

また、慰謝料が、上階の家庭から騒音として50db〜65dbというものが毎日発生していたなどによって認められるようになりました。
なお、この騒音トラブルの裁判の詳しい内容については、ネットなどで紹介されているため、参考までに確認してみましょう。

 

騒音トラブルで弁護士に相談する前に

騒音トラブルは、刑事事件の傷害罪というようなものには該当しない場合が多いため、解決を民事的に実際には図るようになります。

そのため、騒音トラブルの場合は、弁護士に相談する前に、自治体などが行っている法律相談の無料のものをまずは利用するといいでしょう。
民事事件で訴訟する際の根拠は、民法709条の不法行為になります。
民法709条においては、「故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之に因りて生じたる損害を賠償する責に任ず」と決められています。
騒音トラブルにこれを当てはめれば、受忍限度をオーバーする騒音は不法行為が成り立ちます。
受忍限度をオーバーするというのは、普通の人々をベースにして、我慢できる限界をオーバーしたことを意味します。
不法行為が成り立つと、被害者は、損害賠償や行為の差し止めを相手に対して請求できます。

では、受任限度をオーバーするのはどの程度になるのでしょうか?
この程度に関しては、弁護士にまず相談してみるといいでしょう。
弁護士であれば、被害を証明する方法と一緒に、判例の過去のものをベースに考えてくれるでしょう。

なお、被害を証明する場合は、客観的で具体的な証拠が要求されます。
そのため、騒音を録音したり、騒音が発生した日時をメモしたり、第三者のオーナーなどの証言を用意したり、騒音計を使用して測定した記録を用意したりするといいでしょう。
役所によっては、騒音計を無料で貸してくれるところもあるようです。
また、不眠症や体調不良などの肉体的、精神的な症状が騒音によって出ている場合は、診断書を医師に作ってもらいましょう。

 

騒音トラブルに関してのまとめ

身近な騒音トラブルの要因として集合住宅でよくあるものとしては、足音や子供が跳ねたりした際の音、早朝や深夜の洗濯機を使う音、掃除機を使う音、楽器のピアノやステレオ、バイオリンというような音が挙げられます。
騒音を規制する法律としては、騒音規制法がありますが、この騒音規制法は、1960年代の建設工事が高度経済成長期で急激に増加した時期に施行されたため、車の通行による騒音や工場から出る騒音などを規制するものになっています。

そのため、騒音規制法では、マンションや一軒家における騒音トラブルは規制できません。
騒音トラブルが賃貸マンションで起きた場合は、管理をオーナーから任された管理会社があるため、相談をそこにまずするといいでしょう。
というのは、オーナーや管理会社の場合は、良好な住まいを入居している人に提供する義務が、賃貸借契約に基づいてあるためです。

マンションの場合に管理会社などが対応しても騒音トラブルが解決しないようなレベルが良くない場合は、弁護士に相談したり、警察に相談したりしましょう。
騒音トラブルが裁判になる場合もあり、騒音に悩んでいる人に健康被害として不眠症などが発生すれば、損害賠償請求ができます。
騒音トラブルの場合は、弁護士に相談する前に、自治体などが行っている法律相談の無料のものをまずは利用するといいでしょう。
自治体などが行っている法律相談の無料のものでも解決できない場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すれば、被害を証明する方法と一緒に、判例の過去のものをベースに考えてくれるでしょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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