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店舗・テナントの立ち退き料、少しでも多く貰えるテクニック

更新日:2019年12月24日
店舗・テナントの立ち退き料、少しでも多く貰えるテクニックのアイキャッチ

店舗の立ち退きを要求された。

貸主から、建物を建て替えたり、区画整理をしたりするために、店舗・テナントの立ち退きを急にある日要求されると誰でも困ってしまうでしょう。
さらに、立ち退き料として支払われるのは引越しする費用程度であると言われると、納得することは到底できないでしょう。

店舗・テナントを移転することは、店舗・テナントを経営している場合は非常に収入に影響します。
そのため、立ち退きする場合でも、以下のように、把握したいことは多くあるでしょう。

・立ち退き料を少しでも多く請求できないか?
・立ち退き料の相場はどの程度か?
・立ち退き料として提示されたものは妥当であるか?

ここでは、店舗・テナントの立ち退き料について、少しでも多くもらえますか? についてご紹介しましょう。
店舗・テナントの立ち退きで困っている場合は、ぜひ参考にしましょう。

 

その理由って正当な立ち退き事由?

立ち退きを要求する場合は、まず正当事由を把握する必要があります。
というのは、基本的に、立ち退きを要求する場合は、正当事由が貸主側にないと認められないためです。

では、正当事由と認められるためにはどのような理由があるといいのでしょうか?
ここでは、立ち退きが要求できるケースについてご紹介しましょう。

建て替えを高度に建物を再度利用するために行うケース

この場合は、一方的な貸主の事情であるため相当正当事由が弱いので、立ち退き料として高額のものが要求できます。

建物が老朽化しているため高度に再度利用するため建て替えをするケース

高度に建物を再度利用する場合でも、耐震性に老朽化した建物が問題があれば、正当事由は補われるため立ち退き料は少なくなる場合もあります。

再度利用する契約が建て替えした後にあるケース

新しいビルに建て替えするために老朽化があまり進んでいない建物を壊す場合は、借主がこの新しいビルに再度入って店舗で営業する契約があると、立ち退き料としては建て替えする間の損失を補うくらいのものが要求できます。

立ち退き料を増やしたい場合どうすれば?

立ち退きする際に立ち退き料を要求する場合は、できる限り立ち退き料を増やしたいでしょう。
では、どうすれば立ち退き料を増やすことができるのでしょうか?
ここでは、立ち退き料をできる限り多くもらう方法についてご紹介しましょう。
立ち退き料を要求する場合には、金額について話し合いを貸主と行って合意することが必要です。

しかし、人は話し合いを自分に関係することについて行う場合は、感情的にとにかくなりがちです。
そのため、話し合いを当事者同士で行うとこじれる場合があります。
また、借主としては、立ち退きを要求されることなどはそう何回も一生のうちにないでしょう。

一方、多くの不動産を持っている貸主は、豊富に立ち退きの要求の経験もあったり、豊富に経験がある不動産業者と繋がっていたりすることが多くあります。
そのため、借主は、貸主よりも経験と知識において立場が不利になります。
そして、立ち退き料を貸主が提示してくれた場合でも、自分でその金額が妥当かどうかを見極めるのは困難でしょう。

立ち退き料として参考にするためには、今までの判例を集めたものがあります。
今までの判例と比べると、立ち退き料をどの程度要求できるかが予想できます。
また、借家権割合については、鑑定を土地家屋調査士に行ってもらう必要があります。
そのため、立ち退き料については、専門家に相談して自分で判断しないことが必要です。

立退きは専門家に相談した場合のメリットとデメリット

立退きの依頼するメリット

・話し合いを貸主と行う場合に任せられる
・話し合いを感情的にならなく、理論的に行ってくれる
・自分の場合の適切な立ち退き料が分かる
・立ち退きの合意書を作ったり、訴訟に対応したりすることなどが任せられる

立退きの依頼するデメリット

・報酬を支払う必要があるため、貸主から支払われた全額の立ち退き料が自分のものにならない

しかし、専門家に相談する場合は、報酬を支払っても大きなメリットがあります。
報酬の実際の金額は、交渉の難易度やは建物の状態によって違ってくるため、いくらとは一律に言えませんが、報酬を支払っても多くの額が戻ってくるため、新しい店舗での営業をスタートしやすくなります。

専門家に相談した場合は、解決が和解になることが多くなります。
貸主は、立ち退きを何らかの理由があるため要求しています。
そのため、次の段階に早く移って欲しいと思っています。
しかし、話し合いがまとまらなくて、裁判になって判決が下りて、強制執行にまでなれば費用と時間が相当かかります。

そのため、貸主は、和解にある程度のところで応じる場合が多くあります。
なお、和解としては、交渉でのものと訴訟でのものがあります。

店舗・テナント立ち退き料に関わる3つの事柄

では、立ち退き料はどのようにして決まるのでしょうか?
ここでは、立ち退き料を計算する方法についてご紹介しましょう。
立ち退き料の計算は、経済的に借主に生じる損失、つまり立ち退きする際にかかる費用と、立ち退きをもししなかった場合に獲得したであろう儲けをベースに行います。

なお、店舗・テナントの立ち退き料としては、3つの移転経費、借家権価格、営業補償の事柄などが関わってきます。

店舗・テナントの移転経費 借家権価格

店舗・テナントの移転経費

店舗・テナントの移転経費というのは、引越しする費用、新しい店舗で内装工事を新しくする費用、店舗が移転したことを得意先などに連絡する移転通知の費用など、実際に立ち退きする際にかかるものです。

借家権価格

借家権価格というのは、建物の資産価値が増えた分の中で借主に配分すべきものです。
借家権価格は、資産の建物というものの価値が増えた場合、この増えたのは貸主側の努力以外に借主の貢献もあるため、適正に両者に配分するのが妥当であるということで認められています。

借家権価格を計算するためには、鑑定を土地家屋調査士に行ってもらう必要があります。
なお、借家権価格を認めていない判例も中にはあるため、主張が必ずしもできるということではないことに注意しましょう。

営業補償

営業補償というのは、賃貸物件から移転することによって営業を一時的に停止したり、営業を止めたりすることによって営業の儲けが無くなるのを補うものです。
営業補償としては、営業を移転している期間に行っていると獲得できるはずであった儲けや、仕事を従業員ができなかった期間の給与を補う従業員給与補償、軌道に新しい店舗が乗るまでの期間の補償、得意先喪失補償などが含まれます。

しかし、どの程度どの補償が認められるかは事案ごとに違ってきます。
また、慰謝料が、愛着がある長年営業をしてきた店舗を離れる必要があることに対して認められる場合もあります。

店舗・テナント移転

正当事由の強弱によって、店舗・テナント移転の場合の立ち退き料は違ってきます。
このような移転費用、借家権価格、営業補償を、具体的にそれぞれの事案ごとに計算しますが、このような費用について満額が必ずしももらえるということではありません。
この費用は、貸主側の正当事由が強くないと多くなりますが、借主側の正当事由が強いと相当少なくなります。

実際の立退きの事例

ここでは、店舗・テナントの実際の立ち退き料の事例についてご紹介しましょう。

不動産業者の事例

借主は、相当賃貸借契約が長く、不動産管理会社を建物の5階で経営していました。
賃料は、直近で24万1500円でした。
建物の4階では、不動産仲介業を別の借主が行っていました。
賃貸期間は約20年で、21万4500円が直近の家賃でした。

なお、借主は別の借主の完全な子会社になっていました。
貸主の理由としては、建物の結婚式場を4階、5階以外で経営していましたが、結婚式場のサロンなどで使うために4階、5階も返して欲しいということでした。
裁判所の判断としては、借主人の事業は、移転が代わりの物件へできるということです。
借主の使用の必要性を、貸主の使用の必要性が上回ると言えます。

しかし、緊迫性が貸主の使用の必要性もないため、これのみでは正当事由として十分でないため立ち退き料を払うことで補完できます。

立ち退き料としては、借主が1100万円、別の借主が1250万円でした。
移転する実費、営業損失の補償、借家権価格の計算を、それぞれ別に行っているようです。

事務所として使っている事例

借主は、事務所として7階建の1つの階を使っていました。
約30年の賃借期間であり、19万円が直近の家賃でした。
貸主の理由としては、競売で1棟の古くなった住居ビルを入手しましたが、相当ビルは腐朽しているので、借りる人はこの借主の他にいなく、大きな修理を行うと費用が相当かかるので、有効に土地を利用したいので建て替えしたいということでした。
裁判所の判断としては、借主は、容易に別に移転することができるため、貸主は正当事由を立ち退き料を払うと補完できるということです。
立ち退き料としては、借家権価格に対して約3倍相当の1280万円が認められました。
実際には、営業損失や移転する費用が考えられていると考えられます。

高級下着の販売店の事例

借主は、外国の大使館や高級マンションなどがあるエリアのメインストリートに接するビルの1階で、40年以上高級下着の販売店を経営しており、倉庫として2階を使って、約26万円の家賃を毎月支払っていました。
貸主の理由としては、建物が古くなっているため建て替えしたいということで、有効に敷地を利用するために建物を高層化して、自分で建て替えした後は使用する必要性があるということでした。

裁判所の判断としては、固定客が店舗を移転した場合は失う可能性があり、借主の店舗を続けることの必要性は認められるということです。
一方、建物は古くなっており、建物を高層化するために建て替えて、有効に敷地を利用したいという貸主の理由も認めるべきであるため、貸主は立ち退き料を払うと、正当事由を補完して認められるということです。

立ち退き料としては、4000万円で、借家権価格、特に固定客を失うことで営業が悪くなったり、営業が停止になったりする可能性がある、移転によって営業上の損失があることが考えられています。

歯科クリニックの事例

借主は、徒歩で最寄り駅から15分くらいの大型マンションがいくつかある住宅地のエリアで、歯科クリニックを経営していました。
借主は、この建物の1つの部屋を約30年間借りており、25万2000円の家賃を直近では払っていました。

貸主の理由としては、建物は築40年近くの鉄筋コンクリート造で、現在この歯科クリニックだけが入居しており、302万4000円くらい年間の家賃収入があるが、年間の建物と土地の税金が約840万円の負担になるので赤字に毎年なっているということでした。
耐震診断の結果では、地震の衝撃および振動があると倒れたり、崩壊したりするリスクがあると判断されたので、建て替えする必要があり、分譲マンションを建てるために建物を壊したいということでした。

裁判所の判断としては、借主は、歯科クリニックをこの建物で経営することで家計を支えているので、高い建物の使用の必要性があるが、歯科クリニックを別のところで経営することもできるということです。

一方、税金の金額と年間の家賃を見れば、分譲マンションに貸主が建て替えしたいと思うのは妥当性があり、問題が建物の耐震性にあるのも認められるため、正当事由を立ち退き料を払うと補完できるということです。
立ち退き料としては、6000万円で、移転補償、借家権価格、6ヶ月分の営業補償が認められました。

店舗・テナントの立ち退き料のまとめ

ここでは、店舗の立ち退きを要求された、その理由って正当な立ち退き事由? 立ち退き料を増やしたい、店舗・テナント立ち退き料に関わる3つの事柄、店舗・テナントの移転経費 借家権価格、 営業補償、店舗・テナント移転、実際の事例についてご紹介しました。

貸主から、建物を建て替えたり、区画整理をしたりするために、店舗の立ち退きを急にある日要求された場合は、店舗・テナントの立ち退き料を少しでも多くもらうために、ここでご紹介したようなことを十分に把握して貸主と交渉をしましょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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