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マンションの建て替えで立ち退き交渉。建て替えられない老朽化マンションの現状のアイキャッチ

マンションの建て替えで立ち退き交渉。建て替えられない老朽化マンションの現状

マンションの建て替えで立ち退き交渉。建て替えられない老朽化マンションの現状のアイキャッチ

建て替えに重要な法律「区分所有法」って?
国土交通省のデータによれば、平成 29 年4月1日現在のマンション建替えの実施状況は、実施準備中(建替決議など)が12物件、実施中(マンション建替法の建替え)が20物件、実施中(マンション建替法によらない建替え)が4物件、工事完了済(マンション建替法の建替え)が75物件、工事完了済(マンション建替法によらない建替え)が157物件、となっています。

しかし、築50年をオーバーするマンションが、全国では2018年に5万戸になるそうです。
また、大規模地震の震度7にも耐えると想定されている現在の耐震基準になる前の基準によるマンションは、106万戸も全国にあるそうです。
このようなマンションの建て替えが、スムーズに進むとは到底考えられないでしょう。
というのは、法制面と経済面における問題があるためです。

まず、法制面においては、建て替えとして区分所有法で決められているものの基準が高過ぎることが挙げられます。
次のような決まりが区分所有法62条1にはあります。
「区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる」

簡単に言うと、マンションの戸数が100戸ある場合は、建て替えが決議できるのは80戸の賛成が必要になります。
逆に言えば、建て替えは21戸が賛成しないあるいは反対するとできないということになるため、実際には相当困難でしょう。

 

建て替えられない多くの理由2つ

建て替えられない理由1「住民との建て替え決議」

総会をマンションの管理組合が開催すると、有効に決議がなる最低限の戸数は半分になります。
マンションの戸数が100戸の場合は、50戸が出席したり、委任状を出したりしないと、総会そのものが成立しません。
管理組合のほとんどが、この最低限の戸数をクリヤーするために非常に苦労しているのが現実である中において、賛成を8割以上の人から得るのは非常に困難でしょう。
建て替えを決議する議案の総会において、なんとか開催できたものの否決されるようなケースはよくあるそうです。

古いマンションの場合は、多くの高齢者が住んでおり、引越しするのを高齢者は嫌がります。
また、現在の環境を変えたくないと思っています。
「現在の状態でも十分に住めるのではないか」ということで、建て替えに賛成しません。
そのため、この8割以上というのは、ハードルが相当高いでしょう。

しかし、今までにも建て替えを多くの管理組合が行っていることも真実でり、全く建て替えができないということではありません。
一方、8割以上の賛成によって建て替えしたとしても、反対する人がそのマンションにいつまでも居座ることもあります。
このような場合は、強制的に立ち退きさせる判決を裁判のいくつかによって取る必要があります。
日本人の場合は、強力に私有財産権が保護されているため、煩雑な手続きがこの権利を奪うためには求められます。

建て替えられない理由2「負担金額」

負担金額の問題は、もっと深刻です。
建て替えが今まで行われたケースを見てみれば、区分所有者が負担するお金が無い場合がほとんどです。
逆に言うと、区分所有者のそれぞれが負担するお金が無いため、8割以上というように賛成が多くなります。
仮住まいの家賃や転居する費用まで全くかからない場合が、この中にはあるそうです。
新しくマンションを建てる場合、1戸あたりが負担する建築費は2000万円が目安ということです。

もし、この2000万円を全て自分で負担するとすればどうでしょうか?
マンションの100戸を全て自分が負担して建て替える場合は、80戸が建築費の2000万円と仮住まい・転居費用を自分で負担できるお金があり、しかも賛成する必要があります。
古くなったマンションの場合は、ほとんどの区分所有者が高齢者です。
この2000万円の建築費が捻出できる区分所有者も中にはいるでしょうが、実際には8割も難しいでしょう。
マンションの建て替えを行うためには、条件として負担金を無しにする必要があるでしょう。

 

建て替えが正当な事由にならない理由とは?

自分が持っているマンションでも、住んでいる借主がいれば、立ち退きを請求する際には理由がそれなりに必要になります。
立ち退きを請求する際は、借主の不都合とオーナーの正当な事由を比べることによって、立ち退きの請求が認可されるかが決まります。
建て替えしたいというのは、経ち退きの正当な事由にはなりません。
ここでは、経ち退きの正当な事由についてご紹介しましょう。

このマンションに住みたい

割合よくある正当な事由としては、オーナー自身がそのマンションに住みたいと希望し、しかも住まいを別に持っていない場合です。
やっと長い単身赴任から賃貸していたマンションがあるところに帰ることができた、などという場合が、割合よくある正当な事由です。

また、現在住んでいるところの立ち退きをオーナー自身が請求したり、現在住んでいるところが災害などによって無くなってしまって、別の人に賃貸していたところに戻る必要があったりするようなことも考えられます。
オーナー自身のみでなく、例えば、オーナーの親戚の人が住みたいと希望する場合もあります。
子供が結婚したので住むところが必要になったような場合などが、正当な事由に該当します。
いずれの場合でも、正当な事由としては「先々必要になると考えられる」くらいのことでは弱くなります。
差し迫った具体的な予定がある場合は、正当な事由としてはより強いものになるでしょう。
一方、正当な事由としては、住める家が別にある場合も弱くなるため注意しましょう。

商売をこの物件でしたい

立ち退きが店舗に対して請求される場合は、初期にオーナーが必要でなかった商売をするための店舗が業績がアップすると同時に必要になった、というような場合が代表的なものです。

しかし、事業を拡げるためという事由は、必要性が「営業する店舗が別に無い」という事由よりは低くなるでしょう。
また、立ち退きを請求している物件が営業を現在している場合は、借主も営業をそこでしているため、立ち退きを請求すると借主にとっては大きな不都合があり、立ち退き料で補うべき正当な事由の程度としては大きいでしょう。
しかし、事業を拡げるためではなく、対象の店舗が立ち退きを請求するオーナーにとって代わりが別に無い店舗で、差し迫った事由があると、強い正当な事由と認められるでしょう。

 

立ち退き交渉の一般的な流れ

立ち退きの交渉の一般的な流れとしては、賃貸借契約を解約するためにまず申し入れをします。
解約を希望する日の6ヶ月前までに、申し入れする必要があります。
あるいは、更新する時期を考慮して、更新拒絶を入居している人に契約期間が終わる6ヶ月前~1年以内に通知してもいいでしょう。
入荷している人に通知する際には、書類でいずれの場合も行うことが大事です。
将来的なことを考慮して、通知した証拠を書類で残しておくことが基本です。

しかし、解約の申し入れを内容証明郵便でいきなり行うと、相手が気分を害する恐れもあり、十分に検討する必要があります。
立ち退き交渉をする際は労力を非常に使います。
入居している人のためにも、余裕を時間的にも持って交渉を行う方がスムーズに進むことも多いため、余裕がある時にオーナー自身が計画を早めに立案することが大切です。

また、管理会社や専門家の弁護士などに相談するのもいいでしょう。
具体的な立ち退きの流れとしては、6ヶ月前に解約の申し入れをする、4ヶ月前に和解するための話し合いをする、3ヶ月前に転居先を斡旋する、期限までに明け渡し、というようになります。

代表的な立ち退き料となる補償項目

立ち退き料というのは、経ち退きを貸し主の都合で請求する際に、借り主に明け渡しと一緒に払うお金のことです。
立ち退き料を払う場合はいろいろですが、正当な事由に貸し主の都合のみでは認可されない時に、立ち退き料を立ち退きしてもらう代わりに払うような場合が最も代表的なものです。
つまり、立ち退きを請求する事由は、正当な事由と認可されない時に、プラスして立ち退き料を払うことによって、立ち退き料を立ち退きを請求する事由にプラスすると正当な事由として認可されることがあります。
立ち退き料として含まれるものについてご紹介しましょう。

移転する費用の補償

移転する費用としては、引越しする費用、引越先への礼金・敷金、保証金など、家賃が増える時は引越しする前の家賃との差額などが挙げられます。

立ち退きで無くなるメリットの補償

立ち退きで無くなるメリットの補償としては、物件の広さや間取り、アクセスの便など、生活環境が悪くなることに対する補償、商売を店舗でしていた場合は移転によって顧客が少なくなるなどして売上が少なくなった分に対する補償、営業を再開するまでの休業補償などが挙げられます。

解決を早くすることに対する補償

明確な正当な事由の場合でも、立ち退きを強制的に行うためには裁判が必要になります。
裁判になると長い時間と多額の費用がかかるため、トラブルを避けるには立ち退き料をある程度払うことがあります。

 

立ち退き交渉にはパートナーが必要

立ち退きのトラブルとしては、過去の同じような判例や事例もありますが、解決までの過程や事情はいろいろです。
考慮する必要がある要素は非常に多くあり、数値化できないような対人関係や感情、家族関係というようなものも含まれています。
そのため、立ち退き料の事例でも参考くらいにしかなりません。
貸主としても、別の人に交渉を任せないで、法律の借地借家法などの知識をマスターした上で立ち退きのトラブルに対処する必要があるでしょう。

しかし、立ち退きの交渉に労力や時間をかけることができるような人は、実際には限定されています。
入居している人の立ち退きでもし困っている場合は、豊富な経験があるパートナーの営業マンに相談してみましょう。
多くの案件を実際の現場において解決した経験があるプロの目線で、立ち退き交渉のアドバイス、妥当な立ち退き料の調査、引越し先の紹介など、貸主の立ち退きのトラブルに関して提案してくれます。

 

立退きにおいて弁護士へ相談するのに必要なものは?

立ち退きについては、弁護士に相談するのがおすすめです。
ここでは、立ち退きについて弁護士に相談するのに必要なものについてご紹介しましょう。

立ち退きの悩みをはっきりさせる

立ち退きの悩みがはっきりしない状態であれば、弁護士に相談した時に解決策として明確なものを提案することが困難になります。
そのため、弁護士に相談する前に、「どのようなことが問題で」「どのように自分は解決したいか」をはっきりさせておくようにしましょう。
立ち退きの悩みは非常に辛いでしょうが、いい解決策を提案してもらうためには必要な大切な要素です。
立ち退きの悩みについて、まずははっきりさせることからスタートしましょう。

自分の考えや出来事をまとめてみる

簡単に立ち退きに至るまでに起きた出来事をまとめておけば、これからの方向性の目印になることがあります。
出来事を年表のように作って、自分の考えを一緒にメモをしておけば、客観的に立ち退きについて確認することができます。
そのため、弁護士が立ち退きについて冷静に判断することができます。
また、弁護士に相談したいことも一緒にメモしておいて、相談を実際にする際に見直すことによって、相談を混乱することなく進めることができます。

資料として参考になるものを準備しておく

資料が、相談する内容によっては武器として有効なものになる場合があります。
例えば、立ち退きの相談をする場合は、家賃の支払い状況、入居している人の属性についての年収や勤め先の資料など、貸主自身の力で準備できるものは多くあります。
「必要性がないため」ということで準備しないような人も中にはいるかもしれませんが、持っている資料の中には弁護士として武器になるようなものがあるかもしれません。
立ち退きのトラブルについての証拠や書類は、相談する段階において提示できるように準備しておきましょう。
一見すると必要ないと思えるようなものでも、必ず準備しておきましょう。
なお、自分でどのような資料を準備すればいいかは、事前に相談する弁護士に確認してみましょう。

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編集部 (弁護士)編集部

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