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急増中!高齢者の立ち退きとは…助成金制度ものアイキャッチ

急増中!高齢者の立ち退きとは…助成金制度も

急増中!高齢者の立ち退きとは…助成金制度ものアイキャッチ

若い働き盛りの人の場合は、急な立ち退き請求でも、いい物件に引越しするチャンスと思うでしょう。

しかし、高齢者ですでに仕事を辞めているような人の場合は、急な立ち退き請求されると非常に困るでしょう。
高齢者の場合は、引越しそのものが大変ということだけでなく、高齢者に賃貸してくれる借家を見つけることそのものが困難です。
高齢者に賃貸してくれて、しかも従来と条件が同じような賃貸物件は簡単に探せないでしょう。

また、一人で子育てと仕事をしているひとり親世帯の場合は、急な明渡はさらに大変です。
子育てと仕事を両立しながら、賃貸物件を探すのは時間が無い場合があり、いい賃貸物件を短時間で探すのは困難でしょう。
このように、引越しを急な立ち退き請求で要求されても、対応はなかなかできなくて多くの人が困るでしょう。

しかも、引越しする際には、礼金や敷金、引越し費用、仲介手数料など、費用がいろいろかかります。
できるだけいい条件の安い賃貸物件を検討したいでしょうが、立ち退き請求をされていれば、あまり余裕が時間的にもありません。
そのため、家賃が多少高くても仕方がありません。
しかし、立ち退き請求されたひとり親世帯や高齢者、障害者のために、制度として家賃や引越し費用を助成してくれるものが自治体によってはあります。

 

高齢者の住まいの現状って?

最近、高齢者が住まいを失うことが多くなっています。
例を取って説明したいと思います。

例)東京都墨田区に住んでいる76歳の高齢者の近藤さんの住まいの現状についてご紹介しましょう。

2015年に、急に、建替えために、2年のうちに明渡して欲しいという立ち退きを、生活していた賃貸アパートの大家から要求されました。
近藤さんは、急であったためまさかと思ったそうです。
立ち退きが要求されたのは、賃貸アパートの老朽化のによる、賃貸契約を、築40年以上で建て替えるので解除すると伝えられました。
近藤さんは、生活していた2階は環境も良く、静かであったので、一生住みたいと思っていたそうです。

現在、立ち退きを長年アパートなどで生活してきた住人が要求される場合が多くなっています。
東京都墨田区は、町工場が戦後集まって、復興を引っ張ってきました。
人口が、高度成長期にピークの33万人になり、住宅が多く建てられました。
現在、築40年にこのような住宅がなり、一斉に改修や建替えの時期になっています。
2011年に墨田区が実施した調査によると、区内全域に昭和55年よりの前の建物が拡大し、この数は28000棟余り、全建物の61%になることがはっきりしました。
墨田区の住宅課によると、高齢者が立ち退きを要求された相談が、3倍以上にこの5年間で増えたそうで、住宅に困るお年寄りは高齢化が進むため多くなり、問題は深刻なものになっているそうです。

新しい住まいを近藤さんは探しましたが、なかなかありません。

その中でも、家賃の問題が一つの理由としてあります。

大学を卒業してから、近藤さんは営業の仕事を20年以上しましたが、事業にその後失敗して、家族と別れて1人で生活するようになりました。
心筋梗塞を60代の半ばに患って、医療費が増えたため、生活保護を受け、毎月家賃には5万円ほどが充てられるそうです。
しかも、高齢者の一人暮らしが大きなハードルになりました。

近藤さんが言うには、大家さんも心臓を患っていたりすれば心配で、大家さんは年寄りにはなかなか貸してくれないそうです。
最後に期待できるのは、公営住宅が住まいに困る人たちが利用できるはずでした。
5回ほど近藤さんは公営住宅に応募しましたが、全て落ちてしまったようで、公営住宅数は、実際には人口が少なくなって、年々減少しています。
入居が新しくできる人は、非常にわずかです。

さらに、ほとんどの部屋はファミリー向けです。
近藤さんは、一人暮らしであり、平均的に倍率が50倍をオーバーする抽選に当選する必要があります。
近藤さんは、宝くじより当選するのは難しく、5回も落ちると、絶対当選しないと思っているそうです。
現在、公営住宅の代わりになるものとして、空き家が期待されています。
東京都の区の一部では、現在、空き家を高齢者などが利用できるような取り組みを行っています。

また、区の職員が利用できそうな物件を詳しく調べていけば、耐震性の課題があることが分かりました。
古い建物が多く、不十分な耐震性の空き家が多く、今まで利用できたのは非常に少ないそうです。
豊島区によると、非常に難しいイメージで、改修費用が耐震補強などでかかる場合もあり、なかなか大家は賃貸物件としての利用に積極的にならないそうです。
近藤さんは、立ち退き期限が間近になって、あるNPO法人を墨田区の紹介で訪問しました。
このNPO法人は、支援員などが相談を高齢者から受けて、家賃が適正な価格かどうかを算定するなどして、直接大家と交渉したりします。
家賃を入居者が払えなければ、代わりを一時的に支払いするだけでなく、定期的に入居した後も訪問するなどによって孤立することを防止し、大家の心配を無くし、入居することを促進しています。

このような支援によって、やっと近藤さんは5万円台の家賃の築17年の部屋が見つかりました。
近藤さんは、私のような人には本当にありがたい、最期までできるだけここで生活したいと言っています。
近藤さんの場合は、住める部屋を何とか見つかりましたが、近年、相当の割合で近藤さんのような人が多くなっているのは非常に深刻な問題でしょう。
さらに、このようなことは墨田区だけの問題ではありません。

築年月が昭和55年より前の民間の賃貸住宅は、全国に219万戸もあり、割合としては結構多く、全体の17.1%になります。
今後数年のうちに、このような賃貸住宅は建て替え、取り壊し、改修工事が実施される可能性が大きくなります。
そのため、立ち退きを要求される人が、これからもっと多くなっていくことが想定されるので、高齢者で1人で暮らす人も多くなっていくでしょう。
心配なく高齢者が住める住まいをどのようにして確保するかということは、可能な限り早く考える必要があるでしょう。

 

助成金がある?高齢者・障害者・ひとり親世帯の引越し費用の助成金とは?

引越し費用を立ち退きを要求された一部の人のために助成するものが、自治体によっては設けられています。
助成される内容や条件が自治体によって違っているため、地元の自治体のホームページで詳細については確認しましょう。

例えば、千葉県市川市の場合は、助成制度として「市川市民間賃貸住宅家賃等助成制度」というものがあります。
この制度が利用できる条件は、民間の市川市にある賃貸住宅、7万円以下の月額の家賃、引越ししてから2年間の期間です。
この制度の助成金についてご紹介しましょう。

住宅家賃助成金

住宅家賃助成金は、新居の家賃と立ち退きする前の家賃との差額を助成してくれます。
助成される上限額は3万8千円の月額です。

転居費用助成金

転居費用助成金は、立ち退き料などを新居を賃貸する際の仲介手数料、礼金のトータル額から差し引いた額が助成されます。
助成される上限額は19万円です。
市川市と同じような制度がある自治体としては、例えば、「高齢者・障害者・ひとり親世帯移転費用等助成」が東京都文京区に、「子育てファミリー世帯住居支援」が東京都新宿区にそれぞれあります。

いずれも、家賃の差額と引越し費用を助成してくれます。
また、これ以外の自治体でも助成制度がありますが、自治体によって助成の金額や対象、期間などは違っているため、利用したい場合は確認してみましょう。

 

転居時に保証人が居ない方は?

保証人が、賃貸物件を借りる場合は必要になりますが、保証人がいないような場合もあるでしょう。
このような場合の支援制度が、自治体によってはあります。

例えば、東京都杉並区では、「高齢者等入居支援事業」があります。
この制度は、高齢者だけでなく、生活に困っているひとり親世帯などを対象に、民間の保証会社を使う際の一部の補償料を支援してくれるものです。
東京都渋谷区では、住み替えを区内で希望しているひとり親世帯や高齢者などのために、新居を見つけてくれる不動産業者を紹介しています。
また、保証人が賃貸契約の際にいない場合は、渋谷区と協定している民間の保証会社の一部の保証料を支援しています。
このように、立ち退きを要求された高齢者などのための助成制度が、いろいろな自治体であります。
立ち退きをもし要求された場合は、地元の自治体にこのような助成制度があるか問い合わせしてみましょう。

 

高齢者への立ち退き要請が増えています。

ここでは、高齢者への立ち退き要請の事例についてご紹介しましょう。
高齢の入居者は、女性の一人暮らしで、2年前に70歳の時に入居しました。
不動産仲介業者からは、マッサージの仕事を現在もしており、元気な人ですと言われたため、入居してもらいました。

賃貸契約としては家賃は振込するということでしたが、入居してからしばらくして、銀行に行って振込するのが面倒であるため現金で支払いしたいと言われました。
元気な人であると言われており、管理がこちらもあるため、振込に賃貸契約通りにして欲しいと言いましたが、現金を翌月に持って来ました。
仕方がないためその時は受取しましたが、現金でその後は入金するようになりました。

そして、この冬に「お風呂がぬるいため修理をして欲しい」と急に言われました。
詳しく聞いてみると、お湯が設定温度まで沸かないと言うことでした。
業者にすぐに頼んで、お風呂の給湯器を見てもらいましたが、問題はなく、設定温度で蛇口からお湯は出ているということでした。
入居者が数日してやって来て、「お風呂がぬるいのに対応をどうしてしてくれないのか」と言いました。
業者が確認した結果、給湯器もお湯の温度も問題ないはずであると言うと、「お湯をお風呂にためていると、しばらくすると冷めてくる」「お風呂に入る際に寒いのでストーブ付けている」と言いました。

お湯が冷めるのは冬のシーズンは仕方ないため、お風呂に足し湯をして欲しいと言うと、「年金で生活しているので足し湯をすると水道代やガス代がかかる」「追い焚き付きの給湯器に交換してくれ、以前の賃貸アパートでは頼むとすぐに交換してくれた」と言いました。
自分の賃貸アパートは高齢者だけのためのものではなく、追い焚き付きの給湯器ではないことを入居する前に了解しているため、足し湯をして欲しいということを説明しても、最終的に、同じ話を顔を合わせるごとに何度も繰り返しされたので、同じことをこちらも何回も繰り返すだけです。
入居者は高齢者であることもあって、自分の言い分のみを通そうとして、全くこちらが言うことは聞き入れません。
連帯保証人の息子に不動産仲介業者から連絡してもらっても、オーナーとしては入居者の要望や意見を聞いて対応するのが当然ではないかと言っているそうです。
いかに入居者ということでも、どのようなことを言われる通りにしていると賃貸アパートは経営できません。
できれば、高齢者の人が暮らしやすい賃貸アパートに変わって欲しいと考えていますが、事由として高齢者ということなどで立ち退きを要請することはできるのでしょうか。

 

高齢者の立ち退きとは…助成金制度も?のまとめ

急な立ち退き請求を要求されても、高齢者やひとり親世帯の場合は対応がなかなかできなく多くの人が困るでしょう。
ここでご紹介した東京都墨田区に住んでいる76歳のように、高齢者が住まいを失うことが多くなっています。

そのため、心配なく高齢者が住める住まいをどのようにして確保するかということは、可能な限り早く考える必要があるでしょう。
引越し費用を立ち退きを要求された高齢者・障害者・ひとり親世帯のために助成するものが、自治体によっては設けられています。
保証人が、賃貸物件を借りる場合は必要になりますが、保証人がいないような場合の支援制度が自治体によってはあります。
ここでご紹介した事例のように、高齢者への立ち退き要請が増えています。
急増している高齢者の立ち退きのトラブルの際には、ここでご紹介したようなことを参考にしましょう。

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編集部 (弁護士)編集部

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