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任意売却はまず相談しよう。詳しい任意売却について

更新日:2020年12月08日
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任意売却は弁護士に相談

 任意売却で物件が競売にかけられている場合は弁護士へ相談し、競売から下げてもらうように交渉・手続きすることで任意売却物件を円滑に売買できます。しかし、任意売却物件だけであれば弁護士や司法書士と呼ばれる法律の専門家を介入させる必要がありません。今回は任意売却に必要な資格だけでなく、弁護士へ相談すべきなのか紹介していきます。

任意売却に必要な資格

 任意売却をするときに必要な資格はどのような仕事なのでしょうか。任意売却の知識とともにそれに該当する資格を紹介していきます。まず、任意売却には不動産取引に関する知識だけでなく、民法に関する知識も必要になります。さらに、必要があれば債権者との交渉や裁判所への申請も仕事の一つです。そこで、今回は任意売却に必要な資格として弁護士・司法書士・不動産関係者・銀行を掲げて、それぞれの専門家に相談するときの注意点やメリット・デメリットなども紹介していきます。皆さんが実際に相談するときの参考にしてください。 
その前に、任意売却に必要な知識について紹介していきましょう。任意売却とは住宅ローンの返済が困難になったときに自己破産せずに、住宅を売却することで返済に充てるシステムです。いわゆる、任意整理に似たものがあります。
 任意売却には不動産の知識が必要になります。これは、任意売却と言えども通常の不動産売却とおこなっていることで差がないからです。また、不動産の取引においては宅地建物取引業法の免許が必須になるため、不動産会社の介入が必須になります。
 任意売却をする背景には住宅ローン返済困難という債務者の生活がかかっています。そこで、住宅ローンという残債(残り)がどれほど存在するのかというのがポイントになります。残債に関して、ローンを貸し付けている金融機関と交渉する必要があります。これは個人でできないことはないですが、話を進めていく上で個人では限界が出てきます。債務に関する知識や経験がある専門家や専門機関の介入は必須と言えます。
 また、任意売却は民法に則っておこなうため、民法に関する知識も必要になります。そこで、過去に任意売却経験がある専門家や任意売却物件を取り扱ったことがある専門機関への相談も大切になります。そこで法律に詳しい関係者の存在も必要不可欠です。
では、任意売却をおこなう上で必要な資格について紹介していきましょう。主にここでは不動産管理会社・弁護士・司法書士・銀行などについて紹介していきます。

不動産管理会社

任意売却といえども、不動産取引なことには変わりないです。そこで、宅地建物取引業の免許が必要になります。不動産取引会社は社員5人あたり1人に宅地建物取引業主任者の設置を義務つけています。
 宅地建物取引業の免許があるからといって、任意売却がスムーズにいくとは限りません。その理由として、任意売却の中に民事執行法で定められた裁判手続きの途中の不動産があるからです。民事執行法とはいわゆる差し押さえ物件のことを指します。そこで、不動産管理会社の中でも裁判所への手続きに詳しく、債権者との交渉もできる不動産管理会社の方が良いですね。このほかにも任意売却物件の取引経験が豊富な不動産管理会社を選定した方が任意売却まで円滑に進むことが多いです。

弁護士・司法書士

 任意売却の背景には住宅ローンの返済困難という債務者の生活がかかっています。ローン返済等は民法で取り決められているものなので、法律関係に詳しい弁護士や司法書士も任意売却に必要な資格です。一般的な不動産取引では弁護士や司法書士が出てくることはありません。しかし、任意売却は民法や債務などが関わってくるため、法律の専門家が控えている方が良いです。

銀行

 銀行など金融機関は、住宅ローンの返済が困難になったときに相談できます。また、住宅ローンを貸し付けているところも銀行などの金融機関ですね。住宅ローンを借りている金融機関でも、返済不能になった理由や返済スケジュールの見直しを事前に相談しておくことで、リスケジュールにも対応してくれることが多いです。
任意売却をする前にリスケジュールの提案をすることで、任意売却を逃れることができることがありますが、リスケジュールの返済スケジュールでも守れなくなると、任意売却を選ばざるをえなくなります。
 ここで注意なのが金融機関がお勧めする任意売却の業者は紹介元の金融機関側につくことが多いです。そのため、債務者よりも債権者の利益を第一に考える傾向が強いです。つまり、任意売却の話をしても債務者の都合をあまり考慮してくれないということになります。

任意売却に必要な費用

 任意売却をおこなうにあたりかかる諸費用はどのくらいなのでしょうか。ここで大きく取り上げる費用というのは任意売却を依頼する業者に支払う手数料のことを言います。結論から言えば、仲介手数料は「成功報酬」で決まります。成功報酬というのは住宅をいくらで売却したかが関係してきます。
 成功報酬の計算方法はあくまで例ですが、1000万円で物件を売却できたとします。そうすると

仲介手数料=売却価格の3%+6万円+消費税

という計算式で計算します。
この計算式に1000万円で売却された物件を当てはめると、378000円が手数料として不動産会社へ支払われることになります。
 成功報酬とは物件の売買が成立したときに発生するもので、任意売却をおこなうからすぐにお金が必要になるというわけではないです。任意売却をしたいけれどお金がないから…と躊躇せず一度不動産管理会社へ相談してみると良いです。
 また、任意売却をすると現在住んでいる物件から出ていかなければいけません。しかし、引越しをしようものにも物件を手放すほどお金に困窮しているため、引越し費用が捻出できません。そこで、任意売却の売却代金の中から、引越し代を捻出してもらえる可能性があります。
 ただし、これは交渉が成立したときの先方の善意であり、確実にもらえるというわけではないです。不動産管理会社の中には引越し費用が欲しい債務者の弱みに付け込んで「引越し費用がもらえる」といううたい文句で近寄ってくる悪徳業者がいます。悪質業者に注意しましょう。

弁護士に相談するメリットは?

 任意売却をおこなうときに弁護士に相談するメリットは返済額を下げることにつながるからです。これは任意整理という方法で、自己破産せず債務者が債権者に返済することを言います。
 任意整理は弁護士だけでなく、司法書士もおこなうことができます。債権者へ連絡をしなければいけないけれど、債務者自らするのは少し気が引けてしまうことはありませんか?そんな方が弁護士へ相談すると良いです。
 任意売却は弁護士を通さなくても、債務者自身の交渉でどうにかすることができます。しかし、債権者へ任意売却や返済スケジュールの変更をお願いするのはいいにくいという方は弁護士や司法書士に代理人として交渉してもらうことも一つの手です。ただし、弁護士や司法書士へ依頼すると依頼料が発生するため、費用の捻出についても考えるようにしましょう。
メリットと資格のまとめ表

メリット できる資格
金融機関との交渉 弁護士・司法書士
任意整理 弁護士・司法書士

任意売却を弁護士に相談すべき時って?

 任意売却をするときは弁護士に相談するのがベストなのでしょうか?住宅ローンに関する督促状や催促の電話などで精神的に追い詰められるのであれば弁護士に一任してしまった方が楽になれると思いますよね。しかし、すべてがすべて弁護士に依頼すれば良いかと言われればノーです。
 それは、弁護士はあくまで法律の専門家であり、不動産の取引において優位なことがない点と弁護士に依頼するとそれ相応の費用が発生することが主な理由です。また、競売にかけられている物件を任意売却しようとしても、任意売却に否定的な弁護士は競売を下げない場合があります。
 では、弁護士にはどのように相談すればよいのでしょうか。任意売却だけをするのであれば弁護士を立てる必要はありません。仲介会社だけで十分に対応できます。また、不動産会社だけの方が相談費用も安価になります。
 実際に弁護士へ相談しなければいけない任意売却とは、債権者との交渉が難航しているときや仲介会社との間にトラブルがあった場合、買主との間にトラブルがあった場合などです。弁護士が入ることで今まで難航していたトラブルも円滑に解決へ向くことがあります。皆さんも何かトラブルを抱えており、折れないでいようと思っていても先方から弁護士を介入されると相手の話を聞いてみようと思いませんか?このように要所要所で弁護士を使うのも交渉の一つの手です。

まとめ

 任意売却をするときは不動産会社と銀行との交渉をしっかりできれば弁護士や司法書士は必要ないです。しかし、交渉が難航した場合や、債権者と話をするのが嫌だという方は依頼しても良いでしょう。

この記事の著者

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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