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立ち退き交渉、上手くいかないときの調停手続とは?

更新日:2024年03月29日
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立ち退き交渉が難航する。

 大家さんが賃貸人・入居者に立ち退きをお願いする場合、大家さん側の責任の場合は賃貸人・入居者が立ち退くにあたり立ち退き交渉を行います。立ち退きを行う上で交渉するべき主な点としては立ち退き料や立ち退き時期、新しい住居選定や引越しに関してなど多岐にわたります。では、実際に賃貸人や入居者に立ち退きをお願いする状況にはどのようなものがあるのでしょうか。
 立ち退きで最も多い理由としては「建物の老朽化」です。建物が老朽化してしまい安全性の確保や日常生活の維持が難しいと判断されれば賃貸人・入居者に立ち退きをしてもらい修理や建て壊しを決断しなければいけません。他にも入居者の生活音などが他の入居者へ迷惑をかけている場合には何度か話し合いを重ねてからになりますが、最終的に入居者へ立ち退きをしてもらうことも少なくはないです。さらに家賃の未払いや遅延行為が複数回見られる賃貸人・入居者にも立ち退きをしてもらうことができます。
 立ち退き交渉で一番問題になるのは立ち退き料です。立ち退きに際しかかる新しい住居契約金や敷金・礼金、引越し代、賃貸人がどのような用途で契約しているかなどで立ち退き料が異なります。同じ大きさ、同じ築年数でも立ち退き料やそれに付帯するものが一緒になるとは限りません。大家さん側は出来るだけ立ち退き料を安価にしたと考えていて、賃貸人・入居者側は出来るだけ立ち退き料を割高でもらいたいと考えるのが一般的です。立ち退き料に関しては基本的に大家さん側の支払う金額は割高に設定することで立ち退き交渉を円滑に進めるのが一般的ですがどうしても入居者・賃貸人が立ち退き交渉に乗らないことがあります。
 立ち退き交渉が難航してしまうと立ち退きまでの期間が延びてしまう、入居者の次の物件が決まらないなど問題が山積みになってしまうので早くトラブルは解決するようにしましょう。

立ち退き交渉の手順って?

 スムーズにいくことの方が少ない立ち退き交渉についてどのような手順で行われるのか紹介していきます。ただし、立ち退きに関しては千差万別で個々人の環境によって異なります。同じ立ち退きは一つもないということを念頭に入れておいてください。

立ち退きのお知らせ

 立ち退きを賃貸人・入居者へ知らせる時は立ち退きのお知らせ・お願いを手紙で知らせるようにしましょう。その際、今まで入居してくれたことへの感謝の気持ちや立ち退きになった理由、立ち退きのお詫び、どういう補償をしようとしているかについて明記しておくと今後の立ち退き交渉で話が円滑に進みやすいです。

立ち退き交渉

 手紙を渡すだけでなく、立ち退きに関してお願いをしに行きます。あくまで立ち退きは「お願い」です。低姿勢でお願いする立場ということも忘れないようにしましょう。立ち退き交渉では立ち退き料について少し多めに用意しておくと良いです。通常、立ち退き料の換算には今までの契約期間や現在の賃料、家庭環境、生活スタイルなどが考慮されます。しかし、概ね家賃の6か月程度を支払うことが多いです。そこで立ち退き料を少し多めに用意しておくのですが、上限を決めずに立ち退き料の計算をすると大変なことになるので上限は家賃の12か月分として交渉すると効果的です。
 また、立ち退き料の他にも立ち退き交渉に必要な諸経費も計算しておき立ち退き交渉に対して十分な予算を確保しておくことも大切です。必要な諸経費というのは立ち退き交渉の書類作成費や郵送費などです。

引越し業者の選定

 立ち退きに了承を得たら次は引越し業者の選定に入ります。大家さんが一括して引越し業者も用意すれば引越し費用が安価で済むこともあります。立ち退きに協力してくれる賃貸人や入居者には引越し代を支払っても良いですね。

立ち退きへの反応

 立ち退きの話をしたときに入居者や賃貸人はどのような反応をするのでしょうか。多くの人は引越し代や敷金・礼金の返却で納得する人が多いですが、中には立ち退き料を法外な金額請求してくる人もいます。さすがに法外な立ち退き料を請求されてしまったら大家さんだけで解決できないですよね。

上手くいかないときは調停手続き⁉

 立ち退き交渉がうまくいかないときは最終的に調停手続きを行い第三者に入ってもらうと良いです。しかし、できれば調停までいかず話を進めたいですよね。そこで調停手続きをせず立ち退き交渉をする交渉術を紹介していきます。

専門家を用意しておく

 入居者や賃貸人が法外な請求をしてこないためにも、法外な取引にならないためにもできるだけ不動産コンサルタントや弁護士など立ち退きに対する専門家を用意しておくことが必要です。

感情的にならず相手のことを考える

 交渉するときには大家さん側が賃貸人・入居者へお願いをする姿勢を崩さないようにしましょう。そこで交渉を進めていく上で感情的な言葉をかけられることがありますが、そこで感情的にならず落ち着いて話を進めていくようにしましょう。

時間をかける

 交渉で必要なのは時間をかけることです。ゆっくりと時間をかけながら交渉相手の条件とこちらの条件で落とし所を見つけていきましょう。
 ここまでの対策を行っても立ち退きに同意してもらえない場合は民事調停を起こすことで立ち退きを求めることができます。民事調停で焦点となるのは賃貸人・入居者の家賃滞納がなかったかどうかです。家賃の滞納があった場合は大家側にとても有利に裁判が行われます。しかし、家賃の滞納がなかった場合は残念ながら立ち退きに対して正当事由がなければ立ち退きさせることは難しいです。
 立ち退きをさせる正当事由の中には立ち退き料の支払いも含まれています。立ち退き料とはいわば賃貸人・入居者に対する財産の給付なのです。今までも立ち退き料で交渉してきたが折り合いがつかない場合でも民事調停を行えば裁判で立ち退き料について提示してくれます。住居として利用していた場合、引っ越し費用・現在の賃料と新しい賃料の差・見舞金などを含めて立ち退き料を計算していきます。もし、店舗や事業所として利用していた場合は営業成績にどれくらいの影響を与えるか計算し立ち退き料として支払うことが多いです。

調停でも解撤しない場合は?

 調停でも解決しない。そんなことがあるのかと思いませんか?実際は解決しないこともあります。その理由としてあくまで調停は「話し合い」でしかないからです。調停は裁判ではないです。双方の担当者を呼び出して話を聞くことで解決策を見つけるのが調停です。
 賃貸人・入居者が調停に応じず話合いの席に着かない場合、どれだけ調停期間を設けても話をする機会がないので解決するわけはありません。また、調停には強制力もないので不成立になることも多いです。
 そこで調停でも解決しない場合は訴訟を起こすのが最終手段です。訴訟を起こすと裁判所が判決として下した立ち退き料と引き換えに立ち退けという判決を裁判所に求めます。しかし、実際に裁判を起こすまでに裁判官が判決になった場合を話し、当事者同士を説得していきます。

弁護士に依頼したら期間は?予算は?

 立ち退きの依頼を弁護士に依頼すると期間や予算はどのようになるのでしょうか。まず、弁護士に依頼すると立ち退きまでの期間を短くできます。その理由として「弁護士」という職業が出てくると危機感を持つ人が多いからです。弁護士から書類がくると皆さん少しは心配してしまいますよね。その心理をつくのも弁護士に依頼をするポイントです。
 弁護士に依頼した場合は弁護士費用がかかります。弁護士費用には着手金と成功報酬があります。着手金というのは弁護士が案件に取り掛かるときに発生する費用で、依頼から契約成立をした段階で支払うことが多いです。成功報酬は立ち退きに成功した場合に支払います。立ち退き料の何パーセントという取り決めを行い事前に弁護士と成功報酬について決めておきましょう。

不動産に関する困りごとは弁護士へ相談を

大家さんが立ち退きを入居者へお願いする場合は「立ち退き料」を求められることが多いです。

立ち退き料について明確な法律は決まっていないので必ず支払う必要はないですが、多くの場合立ち退き料が発生しています。

立ち退き料は大家さんと入居者との話し合いで決まりますが、中には立ち退きに応じない入居者や賃貸人がいます。そんな時は調停を申し立てるようにしましょう。

調停は強制力がない話し合いに過ぎないので、それでも話がまとまらなければ裁判を始めることになります。弁護士に依頼すると着手金や成功報酬など費用はかかりますが立ち退きまでの期間を短縮させることができます。ぜひ弁護士への相談も検討してください。

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