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【弁護士監修】不動産の媒介契約をする際は注意が必要!

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

更新日:2019年04月16日
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不動産を売却する時には不動産会社に仲介をしてもらう方が多いと思います。
不動産会社に仲介をしてもらうときには「媒介契約」を締結することになります。
媒介契約は売主と不動産会社の間での取り決めのことで、不動産会社からどんなサービスを受けるのか、仲介手数料をいくらにするのかなどを契約によって明確にさせるものです。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類がありますので、その中から自分に合った売却活動を進められる契約を選ぶことになるのですが、一体どの様な違いがあるのでしょうか?

 媒介契約の詳細や、内容について詳しくみていきましょう。

不動産会社との媒介契約とは?

 まずは媒介契約についてです。
 先述したとおり、媒介契約は売主と不動産会社の間での取り決めのことなのですが、売主から仲介を依頼された不動産会社は、宅地建物取引業法によって宅地および建物の取引の公正さの確保・購入者等の保護・流通の円滑化を図ることなどが義務付けられています。
 そのため、売主の物件をどういった方法で売却していくのか、成約した場合にはいくらの仲介手数料を支払うのかなどといった内容を取り決めた「媒介契約書」を作成し、契約を締結します。この媒介契約を行うことで売主と不動産会社の間で起こる仲介業務に関わるトラブルを防ぐというわけです。

媒介契約の3つの種類について

 さて、媒介契約がわかったところで
  ・一般媒介契約
  ・専任媒介契約
  ・専属専任媒介契約
 この3つの媒介契約について一つずつ確認していきましょう。

 ①一般媒介契約
  売主が複数の不動産会社に依頼できる媒介契約のことです。
  また、自分で見つけた買主との売買契約を締結することもできます。
  一覧で、他の媒介契約との違いをみてみましょう。

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
①複数の不動産会社との媒介契約の締結 不可 不可
②自分で見つけた買主との売買契約 不可
③媒介契約期間 決まりはない 3ヶ月以内 3ヶ月以内
④レインズ(※)への登録義務 決まりはない 契約締結の日から

7日以内

契約締結の日から

5日以内

⑤売主への状況報告義務 決まりはない 2週間に1回以上 1週間に1回以上

※レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているネットワークシステムのことです。レインズは国内4ヶ所にあり、売主の依頼に基づいて不動産の情報を登録し、不動産業界全体で連携して売主を探すことができるシステムです。

 一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があります。
 明示型は複数の不動産会社に依頼をしている場合に、他のどの不動産会社に依頼をしているのかを不動産会社に対して通知する義務があります。
 非明示型は通知する必要がありません。
 非明示型にするには特約を結ぶことになるようですが、非明示型にすると不動産会社からすると“ライバルがどの位いるかわからない”ため、競争意識が湧かないというデメリットがあります。必死に買主を探してもらうためには明示型にしたほうが良いのではないでしょうか?

 ②専任媒介契約
  専任媒介契約は、1社だけに依頼をする媒介契約です。
  一般媒介契約と同様に自分で見つけた買主との売買契約を締結することができます。
  一般媒介契約との違いは、媒介契約の期間が3ヶ月以内と決まっている事、レインズへの登録を7日以内にすること、売主への状況報告義務が2週間に1回以上あることです。
  1社に任せることによって積極的に広告活動をしてもらえることや状況報告をしてもらえることが大きなメリットです。
  
 ③専属専任媒介契約
  専任媒介契約と同様、1社だけに依頼をする媒介契約です。
  一般媒介契約や専任媒介契約との違いは、売主が自分で買主を見つけてきた場合も不動産会社を仲介して売買契約を結ばなければならない点です。
  しかし、レインズへの登録は5日以内、売主への状況報告義務は1週間に1回以上となっていますし、広告費も多くかけてもらえる可能性があるなど、一番手厚く売却活動をしてもらえる可能性があります。

 一般<専任<専属専任の順に、不動産会社との関係が深くなっていくというわけですね。これを踏まえて自分に合った契約を結ぶということになります。

媒介契約の解約はできるのか?

不動産_媒介契約_解除
 媒介契約の解約をすることは可能です。
 一般媒介契約の解約はいつでもすることができます。
 書類や手続きは必要なく、電話での解約でも可能です。
 また、通常は解約による違約金などは発生しません。
 しかし、契約した時点で媒介契約書に広告費や宣伝費などの費用について明記されている場合や解約について特約を設けていた場合などは費用を請求される可能性があります。
 契約書にこれらの取り決めがある場合は、媒介契約の期間(決まりはないが多くは3ヶ月で契約をしていることが多いそうです)を過ぎた後に解約するなどしましょう。

 専任媒介契約・専属専任媒介契約の解約も可能です。
 こちらも電話での解約も可能ですが、書面での解約にしたほうが後々トラブルになることを防ぐことができる可能性があります。書面の解約の場合は内容証明郵便(「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局が証明してくれる郵便の方法です)にしておきましょう。
 専任媒介契約・専属専任媒介契約の解約の場合は、解約した理由によって費用が発生する可能性があります。

 ●売主の都合で解約する場合
  解約をするからと言って違約金が当然に発生するわけではありません。
  しかし、専属専任媒介契約をしている場合に、売主が自分で買主を見つけて売買契約を結んだために解約をした場合やこっそり他社に依頼をしている場合などは契約違反になりますので、仲介手数料相当の違約金が発生する可能性があります。
  また、違約金が発生しなかった場合でも、一般媒介契約と同様媒介契約書に費用や特約の取り決めがある場合は費用の請求をされる可能性があります。

 ●不動産会社に落ち度がある場合
  例えば
   ・レインズへの登録義務を果たしていない
   ・売主への報告義務を怠っている
   ・囲い込み(※)をしている
   ・売主の為の営業活動が行われていない
  といったケースなど、不動産会社に明らかな落ち度がある場合にはすぐに媒介契約の解約をすることができます。
  当然、費用や違約金も発生しません。
  ※囲い込みとは、仲介手数料を自社で得るために、他社からの問い合わせがあった場合などに「もう売れてしまいました」などとウソをつき契約をさせないことです。売主への背信行為と言えます。

 ●費用を請求されたら
  まずは一度媒介契約書を確認しましょう。
  そして、まずはどういった費用なのか明細書を出してもらいましょう。
  それでも納得がいかない内容だった場合は、各都道府県に不動産を監督する部署(県土整備部・土木部など)がありますので、そちらに相談することができます。
  納得がいかないまま費用を支払うことを避けることができる可能性があります。

媒介契約のトラブル事例

 媒介契約に関するトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか?
 これから契約を考えている方は参考にしてみてください。
 
 ●契約更新をしなかったら費用を請求された
  媒介契約の多くは3ヶ月以内という契約になっています。
  この期間を過ぎたら更新または解約になるのですが(自動更新は禁止されています)、更新をしなかったからと言って契約中の広告費などの費用を請求されたというケースがあります。
  しかし、仲介手数料というのは成功報酬で、その中に広告費などの費用が含まれているので、いくら不動産会社が広告活動をしたとはいえ売買契約が成立しなかった以上は成功報酬を得ることはできません。
  つまり、費用を請求されても支払う必要は無いのです。

  また、買主側がローンの審査に落ちてしまった場合の契約不成立の際に仲介手数料を請求されるといったケースもあるようですが、この場合も「仲介手数料=成功報酬」ですので支払う必要はありません。

 ●契約が自動更新された
  先ほどのケースでも述べましたが、媒介契約の自動更新は禁止されています。
  契約更新をしたい場合は、売主からの申出が必要になります。
  そのため最大3ヶ月の契約期間を過ぎたからと言って自動更新をされた場合は違反となりますので更新する必要はありません。

 ●報告義務が果たされない
  売主への状況報告義務は法律違反です。
  そのため速やかに契約を解除することができます。

 ●専任媒介契約をしたところ買いたたかれた
  専任媒介契約をいいことに、早く売りたい売主に向けてロクに広告活動をせず物件の金額を安くするように言ってくる不動産会社もあります。
  相場を確認して、あまりにも安い価格を言ってくる場合は要注意です。

トラブルや解除に関しては専門家に相談

 媒介契約について不動産業者任せにしてしまうと、わからないまま専属専任媒介契約を結んでしまっており囲い込みをされてしまった、途中解約をしたら高額の費用を請求されて知らないまま支払った、勝手に契約を自動更新されてしまったといったトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
 一番安心なのは、契約書を結ぶ時点で不動産に強い弁護士などプロに相談しておくことです。また、トラブルに巻き込まれてしまった場合も、弁護士に一度相談してみましょう。法律のプロが付いていれば安心です。

まとめ

 不動産の売買には媒介契約を結ぶことが多いです。
 媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類がありますので、自分に合った契約を結ぶことになります。
 しかし媒介契約の解約をしたい場合はトラブルになる可能性もありますので、まずは信用できる不動産会社を選ぶことが大切です。
 不安な場合、トラブルに巻き込まれた場合は弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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