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借主が破産⁉賃貸契約はどうすれば…のアイキャッチ

借主が破産⁉賃貸契約はどうすれば…

借主が破産⁉賃貸契約はどうすれば…のアイキャッチ

自己破産というのは、借金を返す義務を裁判所を介して免除してもらうものです。
自己破産の場合は、実際には申立する際に、自己破産と帳消しに借金をしてもらうための免責の手続きを一緒に行う必要があります。
免責が認められると借金が初めて免除されます。

また、免責の手続きとしては、管財と同時廃止があります。
管財の手続きは、家や車、預貯金などの資産がある程度ある人、あるいは借金をギャンブルなどで抱えているような免責不許可事由に当たる人のためのものです。
同時廃止の手続きは、資産がない人のためのものです。
資産が没収されると債権者へ配分されますが、この手続きは配分をどのように行うかということで、面倒で手間がかかります。
同時廃止の場合は、基本的に、配分する財産がないので、管財の場合よりも免責が確定するまでスムーズな流れになります。

自己破産のデメリット

自己破産は、借金が免責されると返す義務が無くなるというメリットがあります。
しかし、自己破産は、次のようにデメリットも多くあるので、デメリットについても考慮する必要があります。

・迷惑が家族にかかる

自己破産をすれば、家族が借金を返す必要はありませんが、連帯保証人に家族がなっていると話は違ってきます。
債権者としては、取り立てを連帯保証人に行う権利があるため、迷惑が家族にかかるようになります。
また、資産には車などもなるため、車の名義が自己破産した人の場合は、共有して家族で使っていた場合でも自己破産の際に強制的に取り上げられます。
そのため、最終的に迷惑が家族にかかるでしょう。

・クレジットカードが使えない

自己破産すれば、名前が信用情報機関に登録されます。
約5年~7年は名前が信用情報機関から無くなるまでにかかるので、クレジットカードをこの間は使うことができません。
クレジットカードだけでなく、この間は新しくローンを組んだり借金をしたりすることができなくなります。

・職業が制限される

自己破産の手続きがスタートすると、免責が決まるまでの間は、弁護士、行政書士、司法書士、税理士、公認会計士などの士業、古物商、質屋、生命保険の外交員、警備員、宅地建物取引主任者の職業には就けません。
しかし、免責が決まるとこのような職業に就くことができます。

・資産が強制的に取り上げられる

自己破産するほとんどの人は、一般的に、同時廃止の場合に免責をしてもらいます。
しかし、資産であると預貯金や持ち物が判断された場合は、処理が管財として行われるので強制的に取り上げられます。

資産と判断されるケースとしては次のような場合があります。

・現金に換算して99万円をオーバーする
 ・20万円をオーバーする預貯金の残高がある
 ・評価額が2倍未満のローン残高の不動産
 ・160万円をオーバーする見込み額の退職金
 ・20万円をオーバーする保険の解約返戻金

預貯金が20万円をオーバーする場合は、現金に換算して99万円未満であれば、現金に換える方が資産として判断されないため得になります。
なお、裁判所によって、資産として判断される基準は違ってきます。

 

賃貸借契約を解除できる?できない?

自己破産の申し立てなどを借主が行うと賃貸借契約を解除するという特約を、賃貸借契約書において記載している場合があります。
民法において、従来は、借主が自己破産をすると、賃貸借契約の解約の申し入れが大家からもできると決めていた場合もありました。

しかし、借主の賃借権を守ることや、家賃を未払いしていない借主が自己破産の申し立てをしただけで賃貸借契約を解除することについて判例では肯定的でなかったことなどから、このような決まりは現在では無くなっています。
このようなことから、自己破産の申し立てなどを借主が行ったために賃貸借契約を解除する特約は、難しいとする判断が多くあります。

なお、破産管財人は、賃貸借契約を解除するかどうかを選ぶ権利があります。
一方、一般的な家賃滞納などの事由に基づいて、賃貸借契約を大家から解除することはできます。

 

滞納賃料・賃料相当損害金について

自己破産の手続きが始まる前(決定日を除く)の滞納家賃・家賃相当損害金は、破産債権になるため、自己破産の手続きにおいて自己破産した人の財産から清算します。
自己破産の手続きが始まった後(決定日を含む)の滞納家賃は、財団債権になるので、自己破産した人の財産から弁済を随時受けます。

なお、先にご紹介した破産債権になる債権よりも弁済を優先して受けます。
自己破産の手続きが始まった後(決定日を含む)の家賃相当損害金は、賃貸物件を自己破産した人の財産の動産などで占有しているなど、破産管財人の行いで生じた家賃相当損害金は財団債権になりますが、この他は配当の順位が破産手続きにおいて後になる破産債権になります。

 

借主が破産手続きした時の敷金は?

では、自己破産の手続を借主がすれば、敷金として預かっているものはどうすればいいのでしょうか?
賃貸借契約が解除になったということではないため、そのままで問題ありません。
なお、賃貸借契約が自己破産を手続きしている際に解除されて、立ち退きが終わった時は、借主の債務を敷金から差し引きした残額に関しては、大家に対する借主の債務の敷金返還請求権というものになり、自己破産した人の財産になるため、破産管財人がいれば破産管財人に返すようになります。

 

借主の法人が倒産?

賃貸経営の場合は、「賃貸してもらうのは法人の方が個人よりも安心である」と思っている人は多くいるでしょう。
個人に賃貸した場合は、急に解雇されたり、入院したり、行方が分からなくなったりするなど、家賃が支払いが停滞する場合が結構あるでしょう。

しかし、法人に賃貸した場合は、入院したり、行方が分からなくなったりする場合もありません。
法人の経理が正常に機能していれば家賃はきちんと支払われるため、信用されるのも非常によく分かります。
しかし、法人ということでも、必ずしも心配ないということではないため注意しましょう。
過去にも、大きなメーカーが倒産したことは何度もありました。
いかに法人の経営が安定しているということでも、ビジネスをしている以上必ず景気が悪くなることもあり得ます。

では、このようになった場合に家主や管理会社はどのように行動すればいいのでしょうか?
賃貸契約していた法人が倒産したということでも、賃貸借契約をこの倒産したことのみでは解除できません。
賃貸借契約書にもし「借主が倒産した際は、賃貸借契約を家主は解除できる」ということを記載していたとしても、この内容は判例上無効になります。
そのため、家主としては、解約の申し出が賃貸借契約している法人からなければ、様子をそのまま注視しながら賃貸借契約を続けるしか方法はないでしょう。

基本的に、法人が倒産した場合は、連絡することもできないようです。
さらに、倒産すると、ほとんどの法人は家賃を払うことができなくて滞納するようになるでしょう。
滞納が長期間になれば債務不履行になるため、信頼関係が壊れたようになり、賃貸借契約をこのことのために解除することができます。
法人が倒産したということでも、家賃の滞納がなければ賃貸借契約を解除することはできません。
一般的に、目安としては3ヶ月分の家賃の滞納が生じた時点において、賃貸借契約をすぐに解除して、賃料物件の立ち退きを要求するのがいいでしょう。

 

連絡が取れない?そんな時は”公示送達”を使ってみよう

なお、先にご紹介した法人が倒産したケースでは、「連絡が法人の担当者にできない」ということに注意する必要があります。
賃貸借契約を解除するには、賃貸している法人に解約したいということを伝える必要があります。

しかし、法人が倒産して破産管財人さえも分からないというようなケースでは、普通の内容証明郵便を送付するようなものでは、賃貸借契約を解除したいということを家主から借主に伝えることもできません。
賃貸している法人に家主の賃貸借契約を解除したいということが伝わらないと、賃貸借契約を解除することはできません。

このようなケースは、賃貸借契約を解除したいということを「公示送達」という方法で賃貸している法人に伝える必要があります。
では、公示送達とはどのようなものでしょうか?

公示送達というのは、送ったことを法的に明確にする手続きで、送る相手の居所・住所が分からない場合、その文書を交付したことが外国に相手が住んでいて証明が取れない場合などに使うものです。
公示送達は、一定の期間裁判所に掲示されて、しかも、官報にこの掲示をしたことを1回少なくとも載せることによって送ったとみなされます。

つまり、公示送達は、簡単に言えば、「どこに相手がいるか分からない状態では話が相手に伝わらないため、裁判所にとにかく掲示して、相手が見たことにする」というものです。
法人が倒産して連絡できないような場合に、意思表示を法的に行なう方法としては最も適しています。
賃貸借契約が賃貸している倒産した法人と解除できると、部屋の立ち退きを法人の従業員に対して要求することもできます。

もし、任意の立ち退きに法人の従業員が応じなければ、建物を立ち退きするための訴訟を従業員に対して起こすことが必要です。
では、第三者が入居している場合はどのようになるのでしょうか?
入居している人が法人と全く関係ない第三者であっても、従業員の場合とほとんど同じような対応になります。
賃貸借契約を法人とまず解除して、任意の立ち退きを第三者の入居している人に要求します。
任意の立ち退きにもし応じない場合は、訴訟を起こして部屋の立ち退きを要求するようになります。

 

わからないことは専門家へ

家主としては、会社や法人に倉庫やオフィスとして使うために建物や設備を賃借したりするなど、賃貸借契約を多く結んでいる場合があります。
このような賃貸借契約は、借主の会社や法人が倒産した際に破産手続を始めても終わりません。
そのため、借主の会社や法人が倒産した際の破産手続の場合は、どのように賃貸借契約を処理するかがポイントになります。

特に、不動産の賃貸借契約を処理することは、借主の会社や法人が倒産した場合の大切な一つの問題です。
破産手続の場合は、賃貸借契約については当事者同士の債務は履行が終わっていないので、取り扱いが双方未履行双務契約になります。

そのため、破産管財人が、破産法53条1項によって、賃貸借契約を解除したり、あるいは倒産した会社や法人の債務を履行して、履行を相手に対して請求したりするようになります。

基本的に、賃貸借契約の対応はこのようになります。
なお、借主の会社や法人が倒産した場合の対応が分からなければ、賃貸借契約に詳しい専門家の弁護士へ相談するようにしましょう。

 

借主が破産!?賃貸契約はどうすれば?まとめ

自己破産というのは、借金を返す義務を裁判所を介して免除してもらうものです。
自己破産は、借金が免責されると返す義務が無くなるというメリットがあります。

しかし、自己破産は、迷惑が家族にかかる、クレジットカードが使えない、職業が制限される、資産が強制的に取り上げられる、というようなデメリットも多くあるので、デメリットについても考慮する必要があります。
民法において、従来は、借主が自己破産をすると、賃貸借契約の解約の申し入れが大家からもできると決めていた場合もありましたが、このような決まりは現在では無くなっています。
自己破産の手続きが始まる前(決定日を除く)の滞納家賃・家賃相当損害金は、破産債権になるため、自己破産の手続きにおいて自己破産した人の財産から清算します。
自己破産の手続を借主がすれば、敷金として預かっているものは、賃貸借契約が解除になったということではないため、そのままで問題ありません。

賃貸契約していた法人が倒産したということでも、賃貸借契約をこの倒産したことのみでは解除できません。
法人が倒産して破産管財人さえも分からないというようなケースでは、賃貸借契約を解除したいということを「公示送達」という方法で賃貸している法人に伝える必要があります。
なお、借主の会社や法人が倒産した場合の対応が分からなければ、賃貸借契約に詳しい専門家の弁護士へ相談するようにしましょう。

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編集部 (弁護士)編集部

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