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賃貸不動産会社 レオパレス21の集団訴訟!契約内容での注意点を実例から学ぼう。のアイキャッチ

賃貸不動産会社 レオパレス21の集団訴訟!契約内容での注意点を実例から学ぼう。

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 30年一括借上げのサブリースによる家賃保証と家具家電付きの賃貸物件という売りで管理戸数約57万戸、賃貸オーナー数約2万7000人と業界大手の「レオパレス21」。富裕層や土地オーナーなどが不動産投資や相続対策を目的とし、実績を伸ばしてきた。

2017年3月14日、名古屋地方裁判所でのレオパレス21のオーナー129人が起こした集団訴訟に注目が集まっている。何が問題になっているのだろうか?
不動産トラブルに詳しい「木村俊将弁護士(法律事務所アルシエン)」にお話を伺いました。

1. 「家具・家電総合メンテナンスサービス」でお金を払っているが全く交換等がされていない

 報道によれば、賃貸物件のオーナーが、株式会社レオパレス21(以下「レオパレス21」といいます。)に対して、貸室内に設置している家具・家電についてのメンテナンスサービスが、契約どおり実施されていないことを理由に、賃料から差し引かれたメンテナンスサービス費用相当額の支払いを求めて提訴した、とのことです。

 筆者は実際の契約書の内容等を見ていないので、断定的なことは述べられないのですが、想定される争点としては、
①オーナーとレオパレス21との間のメンテナンスサービスに関する合意内容
②レオパレス21による同サービスの履行の有無
の2点です。

 ①については、サブリース契約書や付随する覚書に、メンテナンスサービスの具体的な内容(保守や交換の時期、範囲、交換の条件)が明記されていなければ、両当事者の合意内容(レオパレス21の債務の内容)が争点となります。例えば「7年に1回交換」という明確な条項であれば合意内容は明確ですが、「適切な状態を保つ」「必要となった場合には交換する」という不明確の条項だと、そもそもレオパレス21は何を行なう法的義務があったのかを特定できません。

 ②については、レオパレス21が実際にメンテナンス業務を行なっていたか、何らかのメンテナンス業務を行なっていたとしても不完全だった否か、事実関係が争点となります。
仮に、レオパレス21に家具類の交換等の法的義務があり、同社がそれを履行していないのであれば、賃料からメンテナンスサービス費用を控除する根拠がなく、オーナー側の請求が裁判所に認められる可能性が十分あります。

2. サブリース契約の注意点と適正家賃の課題

(1)収益性が低くなる

 サブリース事業においては、サブリース会社が実際の入居者(サブリース会社の借主)から得られる賃料と、オーナーに対して支払う賃料との差額が利ざやとなります。サブリース会社としては利益を得る必要がありますので、オーナーに対して支払う賃料を低く抑えることになります。

 そこで、一般的には、オーナーの手元に残る賃料が通常よりも少なくなります。サブリース契約を締結するにあたっては、サブリース会社から得られる賃料の金額と、サブリース会社を介在させることなく通常得られる賃料の金額との間にどの程度差があるのか、をよく分析、検討したほうがよいです。中立的な立場の、信用できる賃貸管理会社や不動産コンサルタント等の意見も聞くとよいでしょう。

(2)自由に賃貸借契約を解除できない

 筆者が実際に受けた相談で、オーナーとサブリース会社との間の賃貸借契約書を見ると、「貸主は、借主に対して6か月前までに解約通知をすることによって契約を解除でき  る」という旨の条項がありました。実際にオーナーも、サブリース会社の担当者から「自由に解除できます」などと説明されたそうです。オーナーは、契約書の条項どおりに、サブリース会社との間の契約を自由に解除できるでしょうか。
結論から申し上げますと、自由に解除できません。

① 借地借家法の条文

 ポイントとなるのが、借地借家法の条文です。いわゆる普通賃貸借契約の場合(定期賃貸借契約ではない場合)、貸主から契約を終了させる場合には「正当事由」(貸主側に当該物件の使用を必要とする事情や立退料の支払い)が必要と定められています(借地借家法第28条)。そして、借主に不利な特約は無効となります(同法第30条)。

 オーナーとサブリース会社の関係は、形式的には、オーナーが貸主、サブリース会社が借主となります。上記の借地借家法の条文からすると、「貸主は、借主に対して6か月前までに解約通知をすることによって契約を解除できる」という条項は、「正当事由」なしに契約を解除できることになるので、借主に不利な条項として無効となります。

② サブリース契約にも借地借家法が適用される

 サブリース会社は転貸事業における賃借人であって、実際に物件を使用しているわけではありません。そもそも借地借家法は入居者の生活を守る趣旨で成立した法律ですので、転貸事業における賃貸借契約に適用されるのかが裁判で争われたことがありますが、結論として借地借家法が適用されます(最高裁判所平成15年10月21日付け判決)。

 そして、正当事由を要することなく、貸主からの解除を認める特約は、借主にとって不利な特約ですので無効となります。東京地方裁判所平成23年1月28日付け判決も、期間内解約特約を無効と判断しました。このように、オーナーは契約条項を根拠に、サブリース会社との間の契約を中途で解除することはできないことになります。

③ サブリース会社との契約を解除するためには

 オーナーがサブリース会社との間の賃貸借契約を解除するためには、期間満了の6か月前までに更新拒絶の通知を行い、サブリース会社が解約に応じない場合には建物明渡請求訴訟を提起し、裁判所から判決を得る必要があります。裁判所に請求が認められたとしても、立退料の支払いが必要となるのが一般的です。訴訟となると、多大なコストと時間がかかりますので、現実的ではないでしょう。

(3)賃料を減額されるリスク

 (1)で述べたとおり、サブリース会社にとって、オーナーに対して支払う賃料額と入居者から得られる賃料額との差額が利益となります。当然、入居者が入らない場合(空室率が高くなった場合)、逆ざやとなってしまいます。

 そこで、オーナーとしては、サブリース会社から、賃料を一方的に減額されるリスクがあります。サブリース契約を締結するときに、契約書をしっかりと読むとよいです。「契約更新時に賃料額について協議することができる」という程度の条項であれば問題ないですが、「借主は、貸主に対して通知をすることにより賃料を減額できる」という条項があった場合には、一方的に賃料を減額される可能性がありますので、注意が必要です。

(4)サブリース会社が抜けるリスク

 建物の老朽化等により空室が増え、入居者が入りづらくなった場合には、サブリース会社としてはメリットが少なくなりますので、サブリース契約を解除して抜けてしまう可能性があります。(2)の述べたとおり、貸主側から借主に対して契約を解除する場合には正当事由が必要ですが、借主側から貸主に対して契約を解除するのは自由です。あくまで借地借家法は「借主」にとって不利な条項を無効とすると定めているだけです。

 オーナーとしては、当初、仮に入居者が入らなくても(空室)、賃料収入を得られることをメリットと考えてサブリース契約を締結していると思いますが、そのメリットを享受できなくなります。
 今後、日本の人口が減少し続ければ、都心や駅近の物件以外は入居者の募集に苦戦し、空室率が上昇していくことが想定されます。サブリース会社が入っているから安心だと考えているオーナーは注意したほうがよいでしょう。

(5)物件売却時に売買価格が下がることも

 オーナーが、サブリース会社が借りている物件を売却する場合、通常よりも売買価格が低くなるリスクがあります。(1)で述べたとおり、サブリース会社が入っていることによって、当該物件の収益性が通常より下がっている可能性があります。収益物件の買い手は、その収益力(利回り)に着目して売買をしますので、当然、売買価格も下がります。(2)で述べたとおり、サブリース会社との間の賃貸借契約を自由に解除することができませんし、賃料の増額も見込めません。買い手としては、制限の多い物件として敬遠しがちです。

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木村 俊将
(東京弁護士会所属 / 法律事務所アルシエン)

「弁護士資格取得後、興和不動産(現新日鉄興和不動産)の法務部にて、個々の取引についてのリスクを分析したうえで 契約書類をチェック・修正し、取引を有利に進めるための助言を行う業務(取引推進支援業務)や、調停・裁判等の紛争に対応する業務(紛争解決支援業務)に従事。

「取引が無事に成立するようにサポートしたい」「不動産をめぐるトラブルを予防したい、解決したい」という思いから、平成23年1月に法律事務所アルシエンを開設。
以来、不動産問題に特化した弁護士として、主に不動産のオーナーや不動産事業者からの法律相談に対応。最近では、共有不動産を巡るトラブルや相続がからむ不動産問題の解決に注力している。」

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編集部

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