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シェアハウスのサブリースは問題が多い!?

更新日:2021年12月01日
シェアハウスのサブリースは問題が多い!?のアイキャッチ

このところよく耳にするサブリースですが、シェアハウスのサブリースがあるのをご存知ですか?
 若い方に人気のシェアハウスをサブリースすることで、資産を得ることができるという内容で広告がされていたりするようですが、本当にそうなのでしょうか?
 詳しくみていきましょう!

そもそもシェアハウス・サブリースとは?

 初めにシェアハウスとサブリースについて、確認しておきましょう。
 
 

シェアハウス

   シェアハウスとは、1つの賃貸物件に家族ではない他人同士が複数で共同生活をする、共同住居型賃貸住宅のことを指します。
   少し前に男女数人が一つ屋根の下で共同生活を送っていたドラマや映画がありましたので、そちらが記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際にシェアハウスの入居者の多くは、20~30代の学生や独身の社会人の方が最も多いそうです。
   賃貸住宅の一種であるシェアハウスですが、リビング・台所・洗面所・トイレや浴室など他の入居者との共用部分があることから、共有部分についての生活ルールが定められていることが多いのが、一般の賃貸住宅とは異なる点です。
  入居契約については、一般の賃貸住宅と同じく定期借家契約を結びます。

 

サブリース

   サブリースとは、又貸し・転貸の事で、建物の一括借り上げや空室保障のことを言います。CMなどで良く聞く「30年一括借り上げ」などはサブリースの事です。
サブリース会社が、大家さんから建物を一括して借り上げ、入居者と賃貸契約を結びます。そしてサブリース会社は入居者から支払われた家賃をリース料として大家さんに支払うという仕組みです。

 つまりシェアハウスのサブリースとは、大家さんが持っている、または新たに新築するシェアハウスを、サブリース会社が一括借り上げをして管理するというものということになります。

会社員に人気のシェアハウス投資

最近は、会社員として働きながら副収入を得るという目的のために、不動産投資をしている人が増えているようです。
中でもシェアハウスに投資する方が増加しているのはなぜなのでしょう?

それは、いくつか理由がありますが、
①安定した利回り(利子も含めた年間収益の投資金額に対する割合のこと)を確保することができるという計画を出される。

②収入は安定しているが、老後の心配もあり投資をすることにした。

③複数の入居者がいるため、収益性が高い・空室率が低いなどのメリットがあり、アパート経営よりもメリットがあるように感じる。
などが挙げられるかと思います。

①についてですが、一部屋あたりの坪数が少なくて済むうえに部屋数が多く、同じ坪数で一家族に貸し出すよりも家賃収入が多く得られることにより、利益が多く得られることが安定した利回りであるという計画のようです。
定期預金などは利率が低いので、利回りが良いと謳うシェアハウス投資による副収入を得ようという方が多いということですね。

 ②は、定年後などに収入が無くなること、また年金に対する不安などから、この先も収入が得られるようにと考える方が増えていることが考えられます。
 
 ③については、①と内容が少しかぶりますが、一軒当たりの部屋数が多く家賃収入が多く利回りが良いこと、お風呂やトイレなどの設備は共有部分にあるため、設備の初期投資が少なくて済む、家賃が安く、設備が整っているので入居者が決まりやすいなど、一部屋一部屋を管理しなければならないアパートよりは敷居も低く、メリットが多く感じられるということです。

 でも、会社員として働きながら自分でシェアハウスの管理をするのは大変ですよね。
 そこでサブリース会社に経営を頼むということを検討される方が多いのではないのでしょうか。

シェアハウスのサブリースが増えているのはメリットが多いから?

 アパートの経営などで使われることの多いサブリースですが、ここ最近ではシェアハウスでも使われることが多いようで、何とシェアハウス全体の32%がサブリースで経営されているそうです。
 
 なぜ3割近くもサブリースで経営されているのでしょうか?
 それは、サブリースをすることによるメリットが関係しているようです。
 
 サブリースには次のようなメリットがあります。

  • 一括借り上げの為、空室による賃料収入が無いというリスクは避けられる。(ただし一定期間家賃を支払わなくてよいとされる免責期間があるので注意が必要。)
  • 家賃滞納による減収や大家さん自身が家賃を集金しなければならないなど、トラブルを回避することができる。
  • 管理業務を任せることができる。

例えば

  • 家賃の集金・管理
  • 家賃滞納時の集金業務
  • 空室時の入居者募集
  • 入居希望者への対応
  • 入居者からの要望・クレームの対応…等
  • 確定申告が簡単。(入居者との契約はサブリース会社が行っているので、収支がシンプルで管理が簡単です。そのため確定申告も簡単にできます。)
  • 入居者トラブルの回避。(入居者の大家さんはサブリース会社ですので、訴訟などの相手になることはありません。仮にトラブルが発生しても、賃料に影響もありません。)

 先に申しあげたとおり、会社員の方がシェアハウスに投資をしていることが多いということもありますので、大変な管理はサブリース会社にお任せをして、副収入としてリース料を受け取ることができるのは大きなメリットと言えます。

 ですが、メリットばかりではありません。シェアハウスのサブリースでは、問題が急増しています。いったい何が原因なのでしょうか?

シェアハウスのサブリース契約にはデメリットもいっぱい!

 普通のアパートなどでもサブリースにはデメリットがたくさんありますが、シェアハウスならではのデメリットもあります。
 
 

家賃の見直しにより家賃が下がってしまう

  サブリース会社との契約で、大体2年ごとに家賃見直しをすることが多いようですが、その際に家賃を大幅に下げられてしまうというトラブルが起こることがあります。
  初めは契約を結びたいがために高利回りになるよう家賃を相場より高く設定したりして、大家さんに良いように見せておいて、後々入居率の悪さや周辺の家賃相場よりも高いことを理由に家賃を下げてくるというケースが多いようです。(中には物件の建築から契約したサブリース会社が、相場よりも高く設定した建築費をごまかすために家賃が高額だったという物件すらあります。いざ入居者がいなくても建築費から補てんするためという理由のようです。)

サブリース会社の倒産

  サブリース会社が倒産したり、運営がうまくいかなくなったりすると、家賃が支払われなくなったり、経営を自分でしなければいけなくなったりします。
  実際に、サブリース会社の倒産により、賃料やリース料が入って来なくなった大家さんが自己破産をしなければいけなくなったというケースもあります。

 

退去率の高さ

  先述したとおり、家賃が低く、設備が整っているので入居率が高いのがシェアハウスのメリットなのですが、簡単に入居できるのと同じで簡単に引っ越しもできてしまいます。
  普通のアパートなどとは違い、共同生活になりますので、他の住人と気が合わない・プライベートが確保できないなどの理由で、数か月で退去してしまう方も多いようです。

 

修繕費がかかる

  シェアハウスは共有部分に家電が置いてあったり、各部屋に家具が置いてあったりしますが、それは大家さんが準備し備え付けたものを入居者が使うようになります。
  家電は5年もしたら買い換えないといけない物も出てきますし、家具も必要に応じて買い直さなければならないでしょう。
その費用の負担を、サブリース会社がするのか大家さんがするのかを、あらかじめきちんと決めておかないと、大家さんが負担することになってしまいます。

 特に退去率の高さと修繕費については、アパートよりもリスクが高いと言えますね。

なぜシェアハウスで問題が急増している?

 しかし、これらのデメリットは、シェアハウスだけではなく、アパート経営でも同じことです。それなのにシェアハウスで問題が急増しているのはなぜなのでしょうか?

 それはやはり、「会社員を中心にシェアハウス投資の増加」の中で触れたように、低金利時代で定期預金などの利率が低いことや、年金に対する不安など、日本を取り巻く様々な問題が「シェアハウスの投資」と「サブリースによる経営」に結びついたというのが原因かと思われます。

なぜ会社員が高額な物件を購入することができたのか?

 ひとつひっかかるのは、いくら安定した収入がある会社員の方でも、例えば1億円を超えるようなシェアハウスの物件を購入することが可能なのか、ということです。(年収が1,000万円ほどある方でも、一般的な金利・30年ローンで6,000~7,000万円の借入が起こせる程度だと言います。)
 
 答えは、「融資資料の改ざん」です。
 最近倒産したシェアハウス事業を展開していたある会社は、大家さんの実際の年収や預金の状況を改ざんして、貸付してくれやすい銀行に融資を依頼していたそうです。
 そうして、大家さんでは通常借り入れることができない金額の物件を購入することができるようにしていたということになります。
 
 初めは高額の家賃収入があるはずだったシェアハウスが、蓋を開けたら周辺の相場よりも高く入居者は決まらない、そして会社が倒産してしまってリース料も入って来なくなった、銀行からの借り入れは、自分の収入に見合わないものだったため、返済が困難になる…。完全な負のスパイラルということですね。

シェアハウスのサブリースを検討するときに大切な事

 シェアハウスも、サブリースもデメリットばかりではありません。先ほど述べた倒産してしまった会社は、極端に悪かった例と言えます。
 これからシェアハウスの投資を検討されている方は、まず自分が契約しようとしている会社が信用できる会社かどうかを見極めて頂きたいと思います。
 そのうえで、契約しようとしているシェアハウスの内容が周辺の相場と比べてどうか、自身の収入に見合っているものなのか、果たして需要があるものなのかどうか、などをしっかりと調査して頂きたいです。
 できれば収支計画書まできちんと作成し、うまくいかなかったときのことまで考えておかれるのがベターかと思われます。 

まとめ

 将来の収入が不安なので、副収入を得たいという気持ちは、多くの方が抱いていることかと思います。
 その気持ちを悪用する会社があるのは確かですが、世の中うまい話ばかりではないことも確かですので、投資をされる際は十分に調査をされた上でご検討されることをお勧めいたします。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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