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土地やマンションの相続税に関わる評価額の計算方法とは?

更新日:2022年01月05日
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不動産をお持ちの方は、土地の評価額についてどのように計算されているかご存知でしょうか?
相続税は、評価額によって計算されるのですが、評価額には色々と種類があります。
ここで一度、土地の評価額について色々と知っておきましょう!

土地の価格には複数種類がある

 土地の価格には、実はいくつもの種類があります。
 ・時価(実勢価格)
 ・公示価格
 ・路線価
 ・固定資産税評価額
 このように1つの土地に対して、目的に応じて売買価格と公的価格の4つの価格があるため、「一物四価」などと呼ばれています(基準地標準価格や売却基準価格を含めて一物五価、一物六価と呼ばれることもあります)。

 では、これらの価格の計算はどのようにされるのか、次で詳しくみてきましょう。

土地の評価額の計算基準

 ●時価(実勢価格)
  実際に売買される場合の取引価格です。
  売り手と買い手の合意により決まる価格で、公示価格と同等~2割増の価格になる場合が多いようです。

 ●公示価格(実勢価格の約90%)
  全国の主要地点において、毎年1月1日時点の更地としての価格を国土交通省土地鑑定委員会が公表しているものです。
  公共用地の取得や、一般の売買取引などの参考価格になります。
  公示価格については国土交通省のホームページなどで閲覧することができます。

 ●路線価(実勢価格の約70~80%)
  国税庁が定めた、贈与税や相続税を計算するための土地の価格です。
  公示地価は決められた土地について定められた価格ですが、路線価は土地に面する道路に定められた価格です。
  路線価については国税庁のホームページで確認をすることができます。
  なお、路線価が定められていない土地に関しての相続税の計算は、固定資産税評価額を使用します。

 ●固定資産税評価額(実勢価格の60~70%)
  固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて市町村などの自治体が管轄内の個別の土地に対して定めた評価額のことです。
  固定資産税評価額は、固定資産税だけでなく、不動産取得税や登録免許税の計算などにも使用されます。
  固定資産税評価額は、土地(家屋)が所在する市町村の税務課にて固定資産課税台帳を閲覧することができます。市町村によっては、本人や本人から委任を受けている人などしか閲覧できないこともあります。
  また、建物の相続税の評価額=固定資産税評価額となります。

この記事では主に相続税について触れていきますので、使用する計算基準は「路線価」と「固定資産税評価額」なるわけですね。

土地・マンションの相続税評価額の計算方法

 では、実際どのように相続税を計算するのかということですが、先述したように土地は路線価の有無によって異なります。(建物については固定資産税評価額と同額ですので割愛します。)
 
 ●路線価方式(路線価のある土地)
  路線価×面積(㎡)×補正率(※)=評価額
  ※土地によっては(不整形地や間口が狭小な土地など)は、特別な補正がなされます。補正率は土地の形状により異なります。

例えば路線価が5万円、面積が100㎡で、通常の土地だった場合の評価額は、500万円となります。

 ●倍率方式(路線価のない土地)
  固定資産税評価額×国税局長が地域ごとに定めた一定の倍率(評価倍率)=評価額

  固定資産税評価額のまま相続税を計算すると、そもそも路線価より固定資産税評価額のほうが評価額が低いため適切ではなくなってしまいます。そのため評価倍率を掛けて評価額を出すというわけですね。

 不動産についてはこれらの評価額を使います。それに預貯金や有価証券などを含めた遺産総額を相続人の人数で割り、課税価格や相続税額が計算されます。
 

マンションの相続税は専有部分と共有部分にかかる

 マンションの建物には専有部分(自宅部分)と、共有部分(廊下、庭など)があります。相続税の建物の評価をする際には、この共有部分も含められます。
 相続税評価額の計算をする際には、まずマンション全体の相続税評価額を、土地と建物を分けて計算します。その評価額に、「持分割合」を掛けて各戸の評価額が求められます。
 持分割合とは、自分が所有する専有部分の割合のことを言います。
 持分割合は、法務局で取得できる「全部事項証明書(昔で言う登記簿)」で確認をすることができます。また、マンションの売買契約書にも記載されています。
 全部事項証明書の「表題部」の中に「敷地権の割合」という項目がありますが、これが専有部分の割合の事です。

土地やマンションを所有していることでかかる税金

 不動産を所有している方には、毎年「固定資産税」が課税されます。
 また、市町村の都市計画に定められた地域には「都市計画税」も課税されます。
 それぞれの税金について、どのようなものなのか確認しておきましょう。

 ●固定資産税
  不動産の所有者が、所有しているだけで納付しなければならない税金です。
  固定資産税は次のように求められます。
  固定資産税の税額=課税標準額(※1)×1.4%(標準税率(※2))
  ※1…固定資産課税台帳に登録された価格
  ※2…自治体により異なる

  土地は路線価をもとにした評価額、建物は「再建築価格(更地にして同じ建物を建て直したとした場合にかかる建築費)×経年減点補正率」で求められた評価額が、課税標準額に用いられます。
  そのため、建物については徐々に固定資産税は下がっていきます。土地についてはその年の路線価によって変動しますし、例えば家の近くに線路が引かれるなど、利便性が上がれば路線価が上がり、固定資産税が上がることも考えられます。

 ●都市計画税
  都市計画税は、都市計画の「市街化区域」という地域に課税されます。
  市街化区域は、「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」の事を言います。つまりは建物をどんどん立てて良い地域の事だそうです。
  都市計画税が課税される理由は、市町村の都市計画により市街地が進んでいることから、その利便性を受益しているという考えによるものです。
  都市計画税は次のように計算されます。
  都市計画税の税額=課税標準額×最大0.3%(標準税率(※2))

 自分の所有している土地が市街化区域かどうかは、自治体によってはインターネット上で確認できるようになっていますので、気になる場合は確認してみましょう。

土地やマンションなどを相続する際の注意点

 土地・マンションに限らず、不動産を相続する場合には注意すべき点があります。
 いくつか挙げますので、参考にしてみてくださいね。

 ●共有名義にしない
  例えば亡くなった父の土地を、兄弟2人で相続した場合に、法定相続分(法律で定められた遺産の取り分の事)のまま相続をすると、不動産を兄1/2、弟1/2で共有することになります。
  もしそのまままた相続が発生すると、例えば兄が亡くなり、その兄に子供が2人いた場合、兄の子供がそれぞれ1/4ずつを相続することになります。
  そうして、放置し続ければ相続人がネズミ算的に増え、最終的には誰が相続人なのかを把握できなくなっていきます。売却や取り壊しなどの処分したくなった場合も、相続人全員の同意が必要になりますので、簡単に処分できなくなります。
  人数が少ない場合でも、相続人が増えることにより相続争いの火種になりかねません。不動産を相続する場合は、上手に遺産の配分をして、名義人を一人にすることが大切です。

 ●登記を必ずしておく
  登記名義人を、きちんと不動産を相続した相続人に変更しておかなければ、例えば相続するはずではなかった相続人が、勝手に登記をして、家を担保にして借金をして行方をくらます、勝手に家を売却するなどのトラブルになりかねません。
  遺産分割協議が終わり、相続人が決まったらすぐに相続登記を済ませておきましょう。

 このように、不動産を相続することによってトラブルが起こることはよくあることです。遺産相続協議がまとまらず困っている、相続人どうしで揉め事が起こっている…と言った場合には、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
 また、登記については司法書士が一から進めてくれます。登記は複雑なところがありますので、素人では簡単にすることができません。費用はかかってしまいますが、司法書士に依頼すれば気持ちよく登記を済ませることができるでしょう。

まとめ

 相続税や固定資産税の計算には色々な方法があることがわかりました。
 自宅はどのように計算されているのか、一度調べてみてはいかがでしょうか?
 また、相続税の計算などで疑問を持たれた方などは、専門の税理士などに相談してみましょう。

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