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その契約書は大丈夫?よくある事務所賃貸契約のトラブル

更新日:2019年01月22日
その契約書は大丈夫?よくある事務所賃貸契約のトラブルのアイキャッチ

まず確認するのは契約書!

賃貸物件を事務所として借りたい思っている人でも、賃貸借契約書の内容を十分に確認していないこともあるのではないでしょうか。
しかし、賃貸借契約書が不利な内容の場合は、トラブルに先々なる可能性があります。

ここでは、賃貸借契約を実際に行う際に、どのようなことに注意すべきかについてご紹介しましょう。
雛形と言われるものが、賃貸借契約書にはあります。
オーナーがそれぞれ自分に応じた雛形を持っており、この雛形をベースに、さらに賃貸物件を借りる相手に応じた内容に変更したものを案文と言います。
この案文について、双方の要望を仲介業者を通じて擦り合わせて了解したものが、契約を結ぶ際の原文になります。
そのため、「案文」の段階までに、賃貸借契約書については交渉する必要があります。

押さえたい契約書に関して注意すべき4つの項目

①保証金と敷金

注意すべきことは、金額と敷金です。
敷金は、役割としては保証金も同じです。
敷金は、家賃を滞納したり、原状回復したりする際に使用されるお金であり、残額は退去する際に返されるものです。
金額については、店舗や事務所というようなビジネス用の場合、基本的に、毎月の家賃そのものが高くなるので、必然的に高くなります。
また、ビジネス用の場合は、敷金の平均は3ヶ月~6ヶ月分と、住宅用の場合の1ヶ月~2ヶ月分よりも高いので、契約する際に相当な金額を準備する必要があります。

例えば、20万円の家賃に対して、6ヶ月分の120万円の敷金を請求されることがあります。
基本的に、賃貸物件を見る際に、家賃の交渉や敷金については了解して案文を確認しているでしょうが、この際に再度話が違っていないか、妥当な敷金か確認しましょう。
交渉が最終的にできるのは、案文を擦り合わせる時です。
敷金を支払う中においても、預託日は大切なポイントになります。
基本的に、預託日は契約する日になりますが、ビジネス用で注意すべきことは、契約する日と実際に入る日が大きく違うことです。
基本的に、ビジネス用に賃貸しているビルの場合は、退去勧告を6ヶ月前までに行って、勧告してから退去するまでに貸主は新しく借りる人を、借主は新しく引越しするところを見つけます。
そのため、何ヶ月も先に入るというようなことが、双方の事情によっては生まれます。

借主にとって、契約する際に敷金を支払うのは、やっと探した賃借人が逃げないための方法になります。
そのため、敷金を支払う日を案文をもらった時に確認していなければ、契約をする際に敷金が準備できないというようなことになりかねません。
必ず敷金の預託日は書かれており、ほとんどの場合は契約する日になっています。

しかし、入る予定日の前の日ということもごくたまにあります。
賃貸物件を探す段階において、敷金がこれだけ必要ということが分かるため、必ず確認しておきましょう。

 

②中途解約・契約解除・期間内解約

●中途解約

中途解約については、退去通告期間に注意しましょう。
貸主が契約を更新しないで退去する際は、基本的に、退去を一定の期間を設定して通告する必要があります。

つまり、貸主としては、通告しても一定の期間がなければ退去させられないことになります。
この期間の平均的なものが6ヶ月になります。
高額なオフィスビルのような賃貸物件の借主を探すためには、基本的に、時間がかかります。

もし、期間が通告してから退去するまで短く、借主がいなくて家賃が入らない期間があると、大きな損失が貸主にはあります。
そのため、双方にとって6ヶ月間は必要な期間になります。
賃貸住宅の場合は、一般的に、通告は1ヶ月前になるため、賃貸住宅と同じであると考えていれば費用が余計にかかります。
この期間は、引越しの計画や原状回復を立案する時にも大切であるため、十分に確認しておきましょう。

●契約解除の条件

契約解除の条件について、次に確認しておきましょう。
基本的に、契約を貸主が解除するためには、正当事由として著しく賃貸借の信頼関係が無くなるようなものが必要になります。
例えば、家賃の滞納の場合には、過去の判例においては6ヶ月の滞納がこれに該当するとされています。
そのため、貸主は2ヶ月と書いても有効でないことが分かっています。

しかし、書いておくと借主は滞納が2ヶ月以上にならないように注意する可能性があり、督促も契約書によってしやすいので、無効に法的にはなりますが契約書から除外されにくいものです。
除外そのものは無理かもしれませんが、もし1ヶ月にこの契約解除がなっていれば交渉しましょう。
お金が口座にもしなくて、家賃の支払いができなかった場合、1ヶ月ということで督促や退去を貸主から要求されると、対応がすぐにできても賃貸借関係の将来に影響を与えます。

全く家賃の滞納をする感じがしない場合でも、万一の間違いのことを考慮して、2ヶ月に変えてもらうように交渉しましょう。
2か月というのは、平均的な契約解除の月数です。
余裕があれば、敷金を1ヶ月分上乗せすると、対応してくれるようになるでしょう。

●期間内解約

ほとんどの賃貸借契約書の場合は、解約予告の一定の期間があると、借主のみでなく、契約を貸主から終了させられると記載されています。
しかし、貸主は正当事由がなければ、借主との解約は基本的にできません。
そのため、この項目についても裁判所で実際に主張しても無効であることが多くの貸主は分かっていますが、賃貸借契約書に書いています。
書いているのは、形式的な場合もあったり、万一の際の保険としている場合もあったりします。
いずれにしても、書くことによって不利にならないので、書いていることを除外してくれないことが多くあります。
記載している程度の意識で基本的に問題ありません。

また、万一実際に解約できると考えられていると、トラブルに先々なりかねないので、無効ということが分かって記載しているのか、除外してくれないか、仲介業者を通じて一度確認してみましょう。

③明け渡し

明け渡しの原状回復の際には、業者の指定に注意する必要があります。
費用は借主が支払うにも関わらず、どうして業者を借主が指定できないのかというようなことがあるでしょう。
これは、次の借主にできる限り綺麗にして渡したいという貸主の要望と、できる限り原状回復費用を安くして引越し費用を少ないしたい借主の要望が平行線になっているためです。
業者選びを借主に任せれば、安く費用を抑えたいので安いところに依頼して、最終的に工事が杜撰なものになって、家賃収入が確保できない時期が生じる恐れがあります。
このようなことを避けるために、賃貸借契約書には業種指定ということが記載されています。

しかし、貸主の業者である必要は必ずしもありません。
もし、よく知っている業者に依頼したいのであれば、貸主に工事費のいくらかを収めることによって、借主がすすめる業者を許可してくれることもあります。
同様に、入る際にオフィスイメージやレイアウトを変更したいというような場合でも、内装工事を行う業者が決められている場合があります。
しかし、申請を事前に行っていると、借主が指定した業者になる可能性が大きくなります。
案文にこのような記載がなければ、貸主に確認して記載しておくと確実です。

④遅延損害金

遅延損害金では、金利に注意する必要があります。
金利としては、最も遅延損害金において使用される14.6%が書かれています。
賃貸借契約書によっては、金利が高い18%や20%の場合もあるので、金利は交渉する際のポイントになります。
14.6%の金利は、従来の金利計算の「日歩4銭」というようなものをベースにしたものであり、法律で決まっているというものではありません。
しかし、逆にこれ以上金利は高い方がいいということでもありません。
他社より金利が高いと言ったり、何をベースにした金利であるか確認して、金利がさらに低くならないか交渉をしましょう。

特約項目読んでますか?

不動産チェック項目
特約項目というのは、雛形で作った条文にプラスして、特別に賃貸借契約書のために締結するものです。
特約項目は、条文に記載されている内容の補足・上書きになるので、特約項目の方が強くなります。
この特約項目は、必ず確認しておく必要があります。
特約項目で記載されていることは、主として次のような内容などです。

・フリーレント
 ・フリーレントを利用した後に解約する際の違約金
 ・造作の特別なもの
 ・原状回復の条件と範囲
 ・保証会社の利用

フリーレント

最近は、フリーレントがほとんどの賃金物件についているので、特約項目においてもよく目にするようになりました。
フリーレントというのは、家賃が一定期間無料になるもので、無料になる期間・違約金・共益費の取り扱いが記載されています。
しかし、家賃が無料でも、別に共益費がなっていることが多くあります。
そのため、無料期間は一切支払う必要がないと考えていれば、イニシャルコストが大きく違ってくるかもしれません。

原状回復

次に、特約項目としては原状回復があります。
ビジネス用の原状回復費については、基本的に、特別項目に明記されていると、全額を貸主が負担します。

しかし、このような記載がなければ、原状回復の範囲はビジネス用の場合でも国土交通省が決めたガイドラインにしたがって、請求対象は通常に損耗する分以上だけになります。
なお、ビジネス用の場合は、全て原状回復費を借主が負担してくれないと、貸主は非常に不利になるため、基本的に、書かれているものであると考えておきましょう。
書かれているため、「聞いていない」ということを退去する際に言うのは無駄であり、裁判しても無駄に費用がかかります。
そのため、原状回復費は支払う必要があると考えておきましょう。

事務所賃貸契約書の交渉ポイント

賃貸借契約書の内容を大きく変更することは、基本的にできません。
特に、オーナーに大手の会社がなっているほど、絶対なものに雛形はなり、変更することはできません。
しかし、オーナーが個人の場合は、それなりに融通が利きます。

賃貸借契約書の内容において、交渉ができる可能性があるのは次のようなことが挙げられます。
・敷金については、6ヶ月以上の場合は減額を要求する
・契約解除については、1ヶ月以上の滞納で退去通告の場合は2ヶ月以上を要求する
・仕切り・造作などの取り付けについては、申請すると借主が業者を選択できるという文言の追加を要求する
基本的に、仲介業者を介して交渉は行われます。
当然ですが、直接個人のオーナーとやり取りする際は、自分が交渉する必要がありますが、基本的に、業者に依頼することができます。
上手く交渉するためには、信頼を相手から得ることが大切です。
取引をすで行った経験ある場合は、いいイメージを相手が持っていると、融通が賃貸借契約書の内容にも利くでしょう。
賃貸借契約書の内容の擦りあわせの時期は、案文を確認している途中までです。
原本が完成すると訂正ができないため、賃貸物件を探す時から自分の要望などはメモなどしておいて、確認漏れがないようにしましょう。

また、賃貸借契約書は、基本的に、貸主が有利になるように作られていますが、自由に借主は交渉ができます。
しかし、あまり交渉すると、話そのものがなかったようになることもあるので、どうしても譲ることができないところや、確認したいところなどをまとめておいて、できる限りやりとりを少なくすることが大切です。
交渉する時期を間違えて、原文になった後で交渉する、あるいは契約した後に交渉するのは、賃貸借関係のその後に良くない影響を与えます。
そのため、案文を確認している際に、交渉は必ず済ませるようにしましょう。

事務所賃貸契約の注意すべき点まとめ

賃貸借契約書というような文面であれば、どのようなことが記載されているか分からない、などということで十分に読んでいないような人もいるでしょう。
賃貸借契約書は全文を読む必要はありません。

ここでご紹介したようなポイントを押さえることによって、トラブルを先々避けられるようになります。
借主が賃貸借契約書の交渉が有利になるように交渉するために、ぜひこのようなポイントを参考にしましょう。

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編集部

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