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住宅ローンを債務整理したい

更新日:2019年08月27日
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不動産は大きな買い物です。たいていの人は、住宅ローンを組んで手に入れます。けれども働き方改革などで残業が減った結果、残業代が入らず住宅ローンの支払が苦しくなってしまった、という方もいるでしょう。住宅ローンが既に長期にわたって延滞されている場合には、住宅ローンを債務整理する必要がでてきます。債務整理をすると、不動産を失ってしまうのではないか、と心配されるかもしれません。けれども債務整理のうち、任意整理と個人再生という方法なら、不動産を残すことができます。今回は債務整理と住宅ローンに関してお伝えいたします。

1. 住宅ローンは債務整理できるのか


 マイホームを買うために組んだ住宅ローン。けれども何らかの理由により、住宅ローンが払えなくなった場合、どうなるのでしょうか。住宅ローンは債務整理が可能なのか。また、住宅ローンを債務整理した場合には、マイホームはどうなるのでしょうか。
 まず住宅ローンの返済が長期延滞している状態では、もうローンの借り換えができない可能性が高くなります。住宅ローンの返済を長期延滞(だいたい61日以上)をすると、に遅延情報という事故情報が信用情報機関に記録される、いわゆるブラックリストに載ることになります。
ブラックリストに載ってしまうと、住宅ローンの借り換え審査に通ることはまず無いでしょう。そのため、住宅ローンを61日以上遅延している場合には、借り換えが利用できなくなる可能性が高くなります。遅延が数日などという場合には、審査に通って住宅ローンの借り換えが利用できることもあります。その場合でも、遅延した分を完済することが必要です。
住宅ローンも債務整理することが可能です。そこで住宅ローンを延滞し続けるなら、債務整理の方が良いという場合もあります。ただし注意しなければいけない点は、債務整理をすると、住宅ローンを滞納した場合と同じように、信用情報機関に事故情報が登録されるので、一定期間はもう一度住宅ローンを組むことは不可能になる点です。事故情報は、債務整理の手続きが終了したあと、5年~7年くらい経つと消去されます。そのため、住宅ローンも債務整理の手続きが終了したあと、5年~7年くらい経てば組めるようになります。
債務整理の方法別に比較しましょう。

債務整理の方法 住宅ローンを組めるようになるまでの期間
任意整理 合意後の支払い開始時から5年~7年くらい
個人再生 認可決定時から5~10年くらい間
自己破産 免責決定時から5~10年くらい

住宅ローンを債務整理できるとしても、実際に債務整理をすると不動産はどうなるのかが気になりますね。実は不動産を残せるかどうかは、債務整理の種類によって異なります。自己破産の場合は住宅ローンが免除される代わりに、不動産は差し押さえられて競売にかけられてしまい、残すことはできません。
しかし、任意整理であれば、住宅ローンを対象から外すことができます。また、個人再生なら「住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)」を利用すれば、持ち家を手放す必要はありません。
これらをまとめると以下のようになります。

債務整理の方法 不動産を残せるかどうか
任意整理 住宅ローンを対象から外すことで持ち家を残せる
個人再生 住宅ローン特則を利用すれば持ち家を残せる
自己破産 持ち家は競売にかけられるので残せない

2. 任意整理

任意整理とは、裁判所を通さずに直接債権者と話し合うものです。裁判所を通さないことから、他の方法と比べると手続きが簡単で交渉の自由度が高いため、最も多く利用されている債務整理の方法です。
 任意整理をするには通常弁護士など専門家が代理となり、債権者と交渉をします。任意整理で減額できるものは、利息制限法で定められた利率(借入額が10万円以上100万円未満の場合18%)より高い利息の借金です。ショッピングや車のクレジット、住宅ローン等、利息制限法より低い金利の借金は、減額できません。
ただし、これから支払う返済金の利息をカットしたり、分割回数を増やし月々の返済額を少なくできるメリットがあります。
さらに任意整理では、複数の債権者がいる場合に、整理をする債務をこちらが選ぶことができます。例えば住宅ローンのほかにクレジットカードや消費者金融などの滞納もあった場合には、金利の高いものだけを選んで債務整理の対象とすることができます。
そのため他の債務は整理をして、住宅ローンはそのまま残すことが可能です。こうすると他の債務が減り、住宅ローンは従来どおり支払い続けることで、不動産をそのまま維持することが可能になります。ただしこの方法ですと、住宅ローンは現状のまま残るので、依然返済が厳しい、という可能性も残ります。

<任意整理のメリットとデメリット>

メリット 他の債務を減額して住宅ローンだけを残すことで、不動産を維持できる。
デメリット 1.減額できる金額が高くない。特に2010年6月以降に取引を開始したものは減額できない可能性が高い。
2.任意整理後5年間はブラックリストに掲載され、その間は新規の借り入れができない。

3. 個人再生

 個人再生とは、裁判所に申告して債務を減額してもらう手続きです。任意整理と比べると、大幅な債務の減額が可能となります。
個人再生の場合には、減額した債務を3年から5年で完済するように再生計画を立てます。債務額に応じた返済額が決まっており、原則として債務額の1/5が返済額となります。3年から5年で全ての債務を返済できるように、債務全体を圧縮します。
個人再生の最大の特徴は「住宅資金特別条項」があることです。これは不動産を手放さずに、住宅ローン以外の債務を整理するという条項です。「それなら任意整理と同じじゃないか?」と思われるかもしれませんが、債務の圧縮率が大きく違います。そして残った住宅ローンについても、債権者の同意がなくても支払期間の延長をしたり、リスケジューリングして返済し続けることで、不動産を手放さずに済むというメリットがあります。
この住宅資金特別条項はあることで、個人再生は、住宅ローンがある不動産だけは守りたい、という人にとって、大きなメリットのある方法です。


<個人再生のメリット・デメリット>

メリット 1.債務が大幅に圧縮される。
2.住宅資金特別条項により、住宅ローンについては債権者の同意がなくても支払い期間を延長したりすることで、不動産を手放さずに済む。
デメリット 1.3年から5年で完済することが基本になるため、今後も継続して安定した収入がある人が対象となる。
2.認可裁定後5~10年間はブラックリストに載るため、新規借り入れができない。
3.裁判所での手続きとなるため、時間がかかり、また結果が官報に掲載されて全国に周知される。

4.自己破産

 自己破産とは、『破産手続開始決定(破産宣告)』と『免責許可』から成り立ち、この2つを受けることで借金をゼロにすることができます。
自己破産の申立てがされると、裁判官が申立人(債務者)から話を聞き、申立人の現時点の収入や財産等をもって、その負債を支払うことができない(=支払不能状態)のかを判断します。支払い不能が認められた場合、破産手続開始決定(破産宣告)を受け、破産手続きが開始されます。この時点で申立人は破産者となります。
破産宣告だけでは申立人の債務(借金)は消えません。残った借金の返済義務をゼロにする制度のことを「免責」といいます。免責許可とは、文字の通り免責を許可することをさし、許可が下りれば借金がゼロになる制度です。ただし、自己破産することを前提に借金をするなど、返済する気が元々ない借金に関しては免責が下りないこともあり得ます。
免責許可が下りると、住宅ローンを含めて全ての債務がゼロになります。 
 借金がゼロになる代わりに、全ての財産を失うことにもなります。不動産も住宅ローンが免責になるかわりに手放さなければなりません。

<自己破産のメリット・デメリット>

メリット 全ての債務が免責になる(=借金がゼロになる)。
デメリット 1.住宅、車、家財など、ほぼすべての財産を失う。
2.免責決定時から約10年間、ブラックリストに載るため、クレジットカードの作成や新規借り入れができない。
3.裁判所での手続きをなるため、時間がかかり、また結果が「官報」に掲載され、全国に周知される。
4.自己破産を目的とした意図的な借金や、浪費・ギャンブルなどによる借金などの場合は、免責にならない場合がある。

5. まとめ

住宅ローンを返済中の不動産。そのローンの支払いが難しくなった場合には、任意整理、個人再生そして自己破産という3種類の債務整理が可能です。このうち任意整理と個人再生の場合には、不動産を手放さずに債務整理することができます。
 ずるずると住宅ローンの延滞をするよりも、債務整理によって他の債務を圧縮したり、住宅ローンの返済期間を長くして、コツコツと返済を続けることで不動産を手放さずに済む方法があります。
ただし、これらの手続きを自分でするのは極めて難しいことです。任意整理の場合は各債権者と個別に話し合い、交渉をしなければなりません。その時に法的に自分の立場を守りながら、相手との話し合いを落着させるのは、素人にはまず難しいでしょう。弁護士など専門家に依頼する方が、話し合いが成立しやすくなります。弁護士費用が掛かることを考えても、得られるメリットは大きくなります。
 また個人再生や自己破産の場合には、裁判所への申し立てという法的な手続きが必要になります。特に自己破産の場合には、裁判所での聞き取り調査などがあります。これらもやはり自分ひとりで行うことは難しいので、債務整理に強い弁護士と相談する方が、安心して手続き進めることができます。
家計の状況が変わり、住宅ローンの返済が難しくなった場合、その早い時点で、弁護士に相談しましょう。弁護士は、あなたにとって最も適切、かつ無理のない債務整理の方法をアドバイスしてくれます。相談することが、大切な不動産を守ることにもつながります。ぜひ、一歩踏み出して、弁護士へご相談ください。


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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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