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リフォーム工事にはトラブルがつきもの!?不動産トラブルに巻き込まれないためには?

更新日:2021年07月14日
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長く住んでいる大事な家をお手入れして、家の寿命を延ばしたい。
 家族が増えたので増改築をしたい、高齢の家族のためにバリアフリーにしたい、家の設備をグレードアップさせたい…等々、様々な理由でリフォーム工事を検討されている方が多いことと思います。

 しかし、リフォーム工事によるトラブルが多く報告されていることをご存知でしょうか?
 一体どの様なトラブルが発生しているのか、またトラブルが発生した時にはどの様に対処すれば良いのでしょうか?
 リフォーム工事のトラブルの内容や、その対処法についてご紹介いたします。

近年増えているリフォームトラブル

 
 近年、リフォーム工事に関するトラブルが急増しているそうです。
リフォーム工事によるトラブルの事例はかなり多いようで、国民生活センターに寄せられている相談件数は、2011年度は13,497件、2012年度も1月末現在で10,153件(前年同期10,326件)もあるそうです。
 2011年度は、東日本大震災によるリフォーム工事の需要が増加したことにより、2010年度に比べて13%増だったそうですが、それでも2012年度は前年比98%と、リフォーム件数はほぼ同じペースで推移していると言えます。

国民生活センターに寄せられている相談事例

 
 国民生活センターのホームページに記載されている「主な相談事例」の相談内容は、次のようになっています。

訪問販売の事例

【事例1】屋根の塗装工事を契約したが、契約金額を修正液で書き直された
【事例2】訪問販売業者の言うままに契約し、代金を支払ったが業者と連絡がつかない
【事例3】11件で総額500万円のリフォーム工事を契約させられていた
【事例4】訪問してきた業者に急かされ、屋根工事の契約をしたが、解約したい
【事例5】訪問販売で屋根の塗装工事を依頼したが、業者が工事に来ない
【事例6】植木の剪定(せんてい)を依頼したのに、塗装工事も契約させられた

店舗購入の場合

【事例7】外壁リフォーム工事を契約したが、業者が一方的にキャンセルした
【事例8】リフォーム工事を契約したが、請求額が最初の金額より1.5倍も高い
【事例9】当日中に契約しないと、50万円高くなるといわれた
【事例10】施工内容がずさんな上、口頭での契約と請求金額が違う
【事例11】浴室と洗面所のリフォームをしたが、施工がずさんで請求額が見積りと違う

出典:国民生活センター

 これはあくまで国民生活センターのサイトに掲載されているトラブルの一部です。
他にも探せばキリが無いほどのトラブルがありますので、そのトラブル事例を次で分類し、トラブル内容の詳細を挙げていきます。
 

トラブル事例を分類すると、大きく三つに分けられる。

 
 トラブルの事例を分類すると大きく三つに分けられます。
 各々どのようなトラブルが起こっているのか見てみましょう。

①価格や工事に関する契約内容が信用できるかどうか
・見積書の金額と、請求された金額が大幅に異なる。
・工事内容が詳細に記載されていない(「工事一式」と記載されている等)。
・明らかにその家庭に必要のない工事が含まれている(無料点検をして、「瓦がずれており、雨漏りの危険がある」などとウソをつき、不必要な工事をさせられる等)。

②確かな施工技術があるかどうか
・遮音工事を依頼したが、効果がみられない。
・耐震工事を依頼したところ、工事のための床下点検をするためと言って基礎に穴を開けられてしまった。
・リフォーム工事をした時に配管に傷がついてしまい、水漏れをしてしまった。
・専有部分のリフォーム工事をしたことにより、共有部分に傷をつけられた。
・過去に施工例が無いリフォーム会社にリフォーム工事を依頼したところ、実は施工が出来ないことがわかった。
・打ち合わせ通りのデザインに仕上げてもらえなかった。

③アフターサービスがきちんと保証されているか
・リフォーム工事後に壁紙が変色したが、引き渡し後の不具合ではないかとして、リフォーム業者が対応してくれない。
・リフォーム工事によるやり直しの工事なのに、追加の工事として工事代金を請求されてしまった。

ここに記載したのはほんの一例です。まだまだたくさんのトラブルがあります。
では、この様なトラブルに巻き込まれないためにはどのようにしたら良いのでしょうか。

リフォームする時に大切なポイント

 
 リフォームを依頼するにあたって大切なことは何か、ポイントを押さえておきましょう。

見積時にわかりやすい価格・内容の契約になっているかどうか。

 まず、業者を決める際は必ず事前に見積もりを出してもらいましょう。
 業者によっては、あらかじめ高い見積もりを出しておいてから、自分の会社を選んでもらうために大幅に値下げをして、お得感を出してくる業者もいます。
 1社に決めるのではなく、複数の会社に見積もりを出してもらうことにより、本当に必要な金額はいくらなのかが見えてきます。すると、お得感を出してくる業者は初めから高い金額を請求していたことになりますね。そのような業者には注意が必要です。

 そして、これ見積書以上の請求がされないかどうか、リフォーム業者がトラブルを予期して見積もりに入れているかを確認する必要があります。
 例えばお風呂場のリフォーム工事を依頼する際に、普通であれば浴室の土台部分の木が腐っている可能性があるとして、あらかじめ補修費用を見積もりに入れておくのですが、その費用を見積もりに入れず、後々請求してくるというパターンなどです。
 知識が無い、または「大丈夫だろう」といった何の根拠もない見積もりを作る業者に当たるとこういうトラブルも起こりかねます。

 契約時に貰える書類などはしっかりと目を通し、わからないところはあらかじめしっかりと話し合うことが大切です。また、書類は必ず手元に残しておきましょう。
 

◇リフォーム工事契約等に必要な書類・チェックポイント等◇

  1. 工事請負契約書…工事金額、工期、支払い条件等(トラブルの際、弁護士さんに相談するときに役立ちます。)
  2. 見積書…工事内容、材料・品番、単価、数量等(材料については、見積時には例えば無垢のフローリングで契約していたのに、実際の取り付けは合板のフローリングだったなどのトラブルにも注意が必要です。)
  3. 図面…完成後の状態、材料・製品の取り付け位置等(リフォーム工事後の雰囲気がどう変わるか、パースやCGを出してくれるような業者だと、なお安心ですね。むしろ出せない業者はレベルが低い可能性がありますのでご注意ください。)
  4. 仕様書…材料・製品の種類・品番、施工方法、取り付け方法等
  5. 工程表…全体工期、工事種別ごとの手順・作業時期等
  6. 保証書…保証期間、保証内容、免責事項等
  7. 工事写真…必要に応じ、箇所ごとに工事中・完成後の写真(リフォーム前の写真も撮って残しておくとなおよいです。)

 また、これらの契約書は必ず書面で行いましょう。「言った、言わない」のトラブルを避けるためには、形で残しておくことが重要です。

過去に施工例がある、施工技術の高さが証明されている等。

 過去の施工例は必ず見せてもらうようにしてください。
 施工例が出せない、見せてもらえないなどの業者は、今までに施工したことのない業者の可能性が高いです。

 また、施工技術の高い会社を選ぶようにしましょう。
 会社概要やパンフレットなどを見て、その会社がどのような経緯でリフォーム工事を請け負うようになったのかを知ることで、専門分野がはっきりします。

アフターサービスがしっかりしている。

 アフターサービスというのは、保証書に記載されている一定期間内の不具合すべてが対象になります。また、小さな欠陥や、起こりがちな不具合も一般的に保証の対象となっています。保証期間や対象となる部位や不具合をしっかり確認しておきましょう。

 ちなみに、瑕疵担保責任というのもありますが、こちらは引き渡し時に存在していた瑕疵が対象です。(瑕疵とは、法律上、なんらかの欠点や欠陥のあることを指します。)
 保証とは異なりますのでご注意ください。

建築士などの有資格者がいる

 平成21年経済センサスによると、リフォーム工事業は、全国で14,622事業所、従業者74,168人となっています。(※)

 この数多くある事業所やですが、実はリフォーム工事業を経営するために必要なものは「建設業許可証」ぐらいなのだそうです。しかし、500万円以下の少額のリフォームであれば、許可証が無くてもリフォーム工事は行えるというのが現実です。(※先述した事業所数等は、許可証が無くても良いことから、正確な数字ではないこともわかります。)
 1級建築士・2級建築士などの建築資格は、リフォーム工事を行うには必要ないということになります。したがって、リフォーム工事未経験者でも簡単に新規参入できるため、悪徳リフォーム業者が増えてしまったという現実もあります。
 今では悪徳リフォーム業者は少なくなってきたようですが、それでも安心できないということはわかりますね。

 知識の無いリフォーム業者が、不燃化されていない壁紙を使ったことにより、建物全体が違法な建物になってしまったというケースすらあります。
 リフォーム業者に頼むと安く済むというメリットもありますが、少々高くついたとしても、様々な法律や建築の知識を持っている建築士の資格を持っている方がいらっしゃるリフォーム業者にリフォーム工事を依頼するほうが、安心できるということになります。

その他確認しておきたいこと

 ・大手ハウスメーカーにリフォームを依頼したところ、施工を始めたのは大手ハウスメーカーの下請けの工務店ということはよくあるそうです。慣れない新人さんが施工して、トラブルになったケースもあるそうですので、あらかじめ確認するのがベターでしょう。

 ・担当している業者がベテランかどうか、見極める必要があります。
  ベテランでも、今までは新築や別の業務を担当してきた人という可能性は否定できません。リフォームという難しい内容を本当に理解しているベテランの担当に頼むというのは大切なことです。

 ・リフォーム工事をする時に、当然ご近所にあいさつ回りをされると思いますが、誠意のある業者は業者自身でもあいさつ回りをしてくれます。
  業者によって何件あいさつをしてくれるか異なりますし、また工事期間中毎日あいさつをしてくれる業者もありますが、問題なのは一度も挨拶をしない業者です。
  近隣トラブルを避けるためにも、どこまであいさつをしてくれるか、確認したいところです。

 ・中古物件を購入する際に、リフォームを一緒に依頼することもあると思いますが、不動産会社から紹介されたリフォーム業者は、不動産会社に有利なことがあります。例えば不動産会社が手数料をもらえるから選んでいるだけ、などです。
  リフォーム業者はたくさんありますので、不動産会社に任せきりにせず、ご自身で何社か見積もりをもらうほうが良い可能性があります。

トラブルが起こったら弁護士さんに依頼しましょう!

 リフォーム工事などについてトラブルが起こった場合は、住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどの機関や、弁護士さんに相談しましょう。
建築関係は法律が多く絡んできますので、法律に強い弁護士さんに依頼するのが一番良いかと思います。中には一級建築士の資格を持った弁護士さんもいらっしゃるようですので、そのような弁護士さんを探されると良いかもしれません。

まとめ

 生活が変わった、家の老朽化が進んだ…など、様々な理由で必要なリフォーム工事。
 せっかく我が家がきれいになるのに、トラブルになるのはあまりに辛いですよね。
 大切な家族が住む我が家のために、時間や費用を惜しんででもきちんと見積もりをし、しっかりと納得した上でリフォーム工事を依頼してくださいね!
 

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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