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不動産投資物件での家賃保証(サブリース)の問題点・デメリット

更新日:2020年03月09日
不動産投資物件での家賃保証(サブリース)の問題点・デメリットのアイキャッチ

利用していない土地活用の一つにマンション・商業用ビル・駐車場などの賃貸経営があります。
賃貸経営の方法には、いくつかの方法があります。

・自分で賃貸経営を行う
・管理業務のみを外部委託する
・管理業務のみでなく経営も外部委託する

賃貸経営の多様性は、不動産投資への参入への敷居が低くなる要因の一つとも言えます。

家賃保証(サブリース)とは?

賃貸物件のオーナーの多くは「ローン」を組みマンションを建設しています。
マンションの入居者が入らない事で、ローン返済滞納などの不安を解消するためのシステムです。

賃貸物件の「一括借り上げ」「転貸し」「空き室保証」を家賃保証(サブリース)と言います。

家賃保証の仕組み

家賃保証業者の問題点

家賃保証業者の契約内容は、国土交通省により定められた標準契約書を利用しているとは限りません。
オーナーと家賃保証業者の双方が契約に合意すれば有効だからです。
そのため、オーナー側が不利となる契約が多く交わされているのです。

1. 新築マンション工事と家賃保証

空地の持ち主Aさんが、建設業者者営業のBさんに不動産投資を進められました。

「空地を放置しておくよりも、マンションを建てると税金対策になりますよ。
 家賃も入ってくるので、安定した収入にもなります。
 賃貸契約・管理も当社で行いますし、建設したアパートは当社で一括借り上げします。
 ですからAさんは、空き室のリスクを負う事はありません」

このように、家賃保証の多くは「マンション建築」「家賃保証」がセットになっています。
そのため、大きな利益を一括で得るマンション建築工事の仕事を受注するために、高額な家賃保証を提示する事があるのです。
周辺家賃相場の2割を超える家賃保証を提示してきた場合には、十分な注意が必要と言えます。

2. 家賃保証契約と契約内容の見直しについて

家賃保証業者の広告には「30年一括借り上げによる家賃保証で安心!」などのように掲載されます。
賃貸物件の借り上げ価格は、周辺相場を元に決定した「家賃の7~9割」と業者によって大きく価格が違います。
どんなに多くの空き室があっても一定金額を保証してくれるため、十分な利益を見込める価格であれば問題ないとされます。

問題となるのは、2~3年ごとに行われる契約内容の見直しとして更新です。
多くのオーナーが、「経済状況の変動」「マンションの劣化」などによる家賃保証金額の見直しを提示されます。
「保証金額の見直しに応じない場合は、いつでも契約を解除できる」との契約が盛り込まれているため反論できません。

また、家賃保証契約を次々解除している業者も存在します。
マンション建設工事の受注を目的とし、家賃保証契約を行いますが賃貸経営を殆ど行わない業者です。
そのような業者が保証契約を解除した場合のマンションには、ほぼ入居者がいない状態と考えて間違いありません。

3. 免責期間について

免責期間とは、家賃保証を行わなくても良い期間を言います。
この期間の間、オーナーは無収入となります。

免責期間が存在する理由は、マンションが入居可能状態になった瞬間に入居率が100%になる訳ではないからです。
入居者が十分に集まった段階から、家賃保証が開始されるのです。
この新築時の免責期間は、30~180日と業者や物件によって変化します。

また、入居者が退去した後にも、新しい入居者を探すための免責期間(1~2ヵ月)定められる場合があります。

4. 原状回復・修繕費用

「入居者が退去時」のハウスクリーニング、「建造物の劣化」による修繕費用の殆どはオーナー負担となります。
物件維持の面では、許容すべき内容です。
しかし問題は、家賃保証業者の指定通りの工事を行わなければ、契約解除されるケースがあることです。

家賃保証業者の多くは建築業者との関係性が強いです。
そのため「高い価格設定」「必要のない工事内容」ということが起こるのです。
費用負担の際には、見積もり書を十分にチェックする必要があります。

5. 家賃保証解約時のトラブル

家賃保証契約の解除は、家賃保証業者の立場からは容易ですが、オーナーからは困難と言う性質を持ちます。
賃貸借契約は、借主保護の性質が強いためです。
そのため、賃貸マンションを売却したいと思っても、途中で容易に家賃保証契約を解除できません。
また、問題無く契約が解除された場合であっても、引き継ぎがスムーズに行われないことで多くのトラブルが発生します。

  • 家賃の振込先変更が行われておらず、オーナーの元に家賃が入金されない
  • 敷金の引き継ぎが迅速にされない

契約の解約を十分な準備もせずに行うと、トラブルの原因となるため注意が必要です。

家賃保証契約を行う事のデメリット

メリットとデメリットは、表裏一体と言えます。
デメリットの裏のメリットに価値を見出す事ができるかどうかは、物件の所有者の判断次第と言えます。

1. 家賃収入の最大化が行えない

家賃保証業者が間に入ることで、入居率が100%であっても定められた家賃収入しか得る事ができません。
また礼金や権利金などの収入も得る事はできないのです。

  • 空き室のリスクを背負って家賃収入の最大化を目指す
  • 一定の収入で満足する

どちらを選択するかと言う個人の価値観による問題となるのです。

2. 入居者審査を緩くされる

家賃保証業者は、入居率が低い場合であってもオーナーに一定金額を保証しなければなりません。
家賃保証業者もトラブルは避けたいため、入居者審査は行うものの、入居率を上げるため審査を緩くすることがあります。
そのため、大きく文化が異なる人達専用マンションとなる事もあるのです。

3. 家賃保証業者の倒産リスク

経営不振による倒産は、どのような企業でも起こります。
その際には、入居者との間に問題が起きないうちに引き継ぎを行う必要が出てきます。

  • 家賃保証業者と入居者の賃貸契約を、オーナーと入居者の賃貸契約に変更
  • 家賃保証業者が預かっている敷金が回収できない

まとめ

家賃保証が行われると言う安心感は、不動産投資への参入を容易にさせてしまいます。
しかし実際には、建築業者が工事契約による一時的な利益を目的としていることも現実に存在します。
そのような業者から得る不利益を、個人で対処しようとしても非常に難しいです。
家賃保証による不安を感じた際には、早い段階で弁護士に相談を行った方が良いでしょう。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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