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個人融資が急減速、「アパートローン」の動向とは?

更新日:2020年12月01日
個人融資が急減速、「アパートローン」の動向とは?のアイキャッチ

アパートローンというのは、賃貸ビジネスのために建物を購入するために資金を長期的に借入するもので、返済する原資が賃料収入になります。
アパートローンの仕組みは、次のようなものです。

・賃貸物件のアパートなどを購入したり、建築したりする賃貸ビジネスを計画する
 ・物件の価値や賃貸ビジネス計画を確認しながら金融機関が審査する
 ・長期間の最長35年間くらいの借入によって賃貸物件を購入したり、建築したりできる

なお、借入は賃貸ビジネスのためのものであるため、ビジネス計画が大切です。
借入が別にあったり、オーナーが低い年収の場合でも借入できます。

 

アパートローンと住宅ローンの違い

建物を購入したり、建築したりするための借入としては、住宅ローンがあります。

では、住宅ローンとアパートローンはどのような違いがあるのでしょうか?
基本的に、住宅ローンとアパートローンは借入する目的が違っています。
ここでは、住宅ローンとアパートローンの主な違いについてご紹介しましょう。

・資金の用途は、住宅ローンの場合は自分が住むための不動産限定、アパートローンの場合は賃貸のための不動産
 ・借入期間は、住宅ローンとアパートローンとも最長35年間
 ・金利は、住宅ローンの場合は低い、アパートローンの場合は住宅ローンより高い
 ・返済する原資は、住宅ローンの場合は借入する人の年収、アパートローンの場合は対象物件からの賃料収入
 ・審査のポイントは、住宅ローンの場合は年収に基づいた信用力・返済力、アパートローンの場合はビジネス収支の信用力・安全性、担保価値
 ・借入できる件数は、住宅ローンの場合は限度が年収に基づいてある、アパートローンの場合はトータル的なビジネス性によっては限度がない
 ・連帯保証人は、住宅ローンの場合は団体信用生命保険に入ると必要ない、アパートローンの場合は基本的に必要

このように、住宅ローンの場合のほとんどの審査は、借入する人の年収によって行われます。
一方、アパートローンの場合の審査は、物件のビジネス性によって行われ、金融機関によって審査基準や融資条件は違ってきます。
そのため、案件が同じでも、金利が金融機関によって1%、2%くらいは異なるというように非常に違いがある場合もよくあります。
アパート経営が長期間にわたる場合は、1%金利が違うのみで、返すトータルの利息額の違いは非常に大きくなります。

十分に準備したり対策したりして、金融機関と交渉したりすることが必要

例えば、30年間5,000万円を借入した際に、1%と2%の金利の場合の違いは次のようになります。

・1%の金利の場合は、利息が7,895,114円、トータルの返済額が57,895,114円
 ・2%の金利の場合は、利息が16,531,505円、トータルの返済額が66,531,505円

このため、1%と2%の金利の場合の差額は、利息が8,636,391円になり、1%金利が違えば860万円以上もトータルの返済額が違います。

 

融資条件と審査基準

アパートローンの場合は、金融機関や案件によって条件が違うため、借入期間、返済方法、金利、金利固定期間、連帯保証人の有無、資金使途の範囲、担保の必要有無、繰り上げ返済の可否に違いが出て、大きな影響がビジネス計画にもあるので、トータル的にこのような項目を比べることが大切です。
ここでは、それぞれの項目について具体的にご紹介しましょう。

1.借入期間

アパートローンで新築の場合は、金融機関として条件が最もいいところでは、長期間の最長35年間の借入ができます。
しかし、新築の場合でも建物の構造によっては、税法上の耐用年数によって借入できる最長の期間が違っており、短い金融機関も中にはあります。
トータルの支払い利息は、長い借入期間になるほど多くなります。
また、月々の返済額は少なくなって手取り分が多くなるので、ほとんどの場合は長い借入期間の方が有利です。

2.返済方法

返済方法としては、主に元利均等返済と元金均等返済があります。
元利均等返済の場合は、返済額が一定になるというメリットがありますが、トータルの返済利息額が多くなるというデメリットがあります。
元金均等返済の場合は、トータルの返済利息額が少ないというメリットがありますが、初めの返済額が多くなるというデメリットがあります。
このように、元利均等返済と元金均等返済はメリットとデメリットがそれぞれあるので、ニーズによってどちらがいいかが決まります。

なお、融資条件が決まっていたり、返済方法が限られていたりすることも、金融機関によってはあるため注意しましょう。

3.金利

先にご紹介したように、アパートローンの場合は審査をビジネス性について行うため、案件が同じでも、金利が金融機関によって1%、2%異なるというような違いがある場合もよくあります。
1%金利が違うのみでトータルの返済利息額の違いは非常に大きくなるので、いかに金利の違いが小さくても、できる限り金利が小さくなるように交渉しましょう。

4.金利固定期間

金利が上がるリスクは長い金利固定期間になるほど少なくなりますが、当然ですが、金利はその分上がります。
そのため、長い金利固定金利をむやみに選ぶと、大きな利息額を支払うようになるかもしれません。
もし、金利が将来的に上がっても、対応策として借り換えなども考えられます。
そのため、金利をまずは小さくした上で、いかに長い金利固定期間にしてもらうかという考えで交渉しましょう。

5.連帯保証人の有無

アパートローンの場合は、賃貸ビジネスに対する借入であるため、基本的に、法定相続人の連帯保証がビジネス承継者ということから要求されます。
この場合に、金融機関としてはビジネス承継でトラブルになりたくないため、連帯保証として全員の法定相続人を要求する場合や、法定相続人として最低1人の連帯保証でいいという場合など、非常に金融機関で違っています。
また、法定相続人の連帯保証が難しい場合や法定相続人がいない場合は、借入額の数%の保証料と高くなりますが、金融機関の政府系のものなどを利用して保証を保証協会によって行うことでもいい場合もあります。

6.資金使途の範囲

アパートローンは、賃貸ビジネスのための物件を入手するための資金の借入であるため、当然ですが、購入したり、建築したりする費用は出ます。
しかし、アパートローンを契約する前に必要な敷地を調べるための費用や、物件を入手した後に必要な諸経費の不動産取得税などは、資金の用途として認可にならないケースが金融機関によってはあります。
特に、不動産取得税は、何十万円あるいは何百万円というような金額が物件を入手した後数ヶ月後に必要な大きな金額の税金であるため、自己資金がない場合は注意しましょう。

7.担保の必要有無

借入する際には、抵当権が建物と土地につけられて、返済が万一できなければ、残債を回収するために建物と土地を金融機関が競売にかけられるようになっています。
この場合に、独自に金融機関が査定する建物と土地の評価額が融資額より大きくないと、担保が足りないということで借入ができなくなって、担保を別に準備したり、借入額を少なくしたりする必要があります。
金融機関によって違ってきますが、評価額の目安としては次のようになります。

・担保にする土地の評価額の目安は、土地の面積(㎡)に路線価を掛けたもの
 ・担保にする建物の評価額の目安は、建築費の5割~6割

8.繰り上げ返済の可否

アパートローンの場合は長期間で借入するため、金利が将来的に変わった際に借り換えしたり条件を見直したりするなど、いろいろな可能性を考えておく必要があります。
このような場合に、繰り上げ返済が金利固定期間中にできなかったり、手数料が多額に掛かったりすることもあります。
そのため、事前にきちんと確認しておきましょう。

 

空き室発生や賃料低下のリスク

空き室のリスク

アパート経営の場合は、空き室発生のリスクも考えておく必要があります。
空き室になると、賃料はその分全く無くなります。
空き室の比率が多いと、その分収入が下がるようになります。

そのため、アパートローンが返せなくなるということになります。
理想的には満室になることですが、老朽化したり、築年数が経ったりすると、やはり空き室発生のリスクがあります。
ですので、空き室発生のリスクの対策を、満室になっている時から検討する必要があります。

空き室発生のリスクの対策は?

周りの物件を調べて、別の物件には無いような機能性の優れたものをアップすることが大切です。

例えば、別の物件には無いような、安心セキュリティのオートロックなど、最新の設備のシステムキッチンなど、商店街が周りにある駅近、などというようなポイントは非常に強みになります。
さらに、いい関係を賃貸業者とオーナーが築いておくことが必要です。
明らかに賃貸業者とオーナーの仲が良くないような感じの物件も、中にはあります。
このような物件であれば、非常に賃貸業者の意欲が違ってきます。
普段から賃貸業者とオーナーがいい関係を築いていれば、やはりその物件を賃貸業者もすすめてくれます。
オーナーがいい人柄であるということは、賃貸物件を入居する人が選択する際の一つの目安になります。
1人で生活するなどの心配がある場合でも、オーナーがいい人柄であれば安心して暮らすことができるでしょう。

・賃料低下のリスク

アパートを経営する場合は、初めは新築であるため、賃料がたとえ少し高い場合でも入居する人はいるでしょう。
新築のアパートでも、年数が経つにつれてだんだん老朽化してきます。
そのため、賃料低下のリスクが発生してきます。
新しいアパートが周りに建つと、自然と新しい時期の賃料で維持するのが困難になります。
そのため、入居する人を探すためには、賃料を下げる必要があります。

しかし、賃料を下げるのは、売る際の利回りが低下するようになります。
利回りが低下すると売る際の価格も低下するので、キャピタルロスがアパートを売る段階に発生する恐れがあります。
基本的に、賃料が上がることはありませんが、常に賃料が下がるリスクはつきまといます。

賃料低下のリスクの対策は?

賃料低下のリスクの対策は、アパート経営のための建物や土地を入手するところからスタートします。
入手したい物件があれば、事前に周りの賃貸物件の賃料の相場を調査することが必要です。
この際には、築年数ごとに調査する必要があります。

例えば、新築の物件、築年数が10年の物件、築年数が20年の物件を比べてみて、このような物件において賃料の違いが少ないところを選択すると、将来的に賃料低下のリスクを避けることができます。
ほとんどの賃貸物件では、賃料は築30年を過ぎれば3割くらい低下すると言われています。
このようなことを考慮して、十分に計算をしておきましょう。

また、手入れが十分に行われている物件は、築年数が経っている場合でも感じが良く、高い賃料にしても入居する人が現れる可能性があります。
一方、汚い外観である、荒れた共用部分であるなどというように、非常に物件が古そうな場合は、その分賃料も下落してきます。
賃料低下のリスクの対策としては、掃除を清掃会社や管理会社に徹底してもらう、住んでいる人の要望をちょっとずつでも改善する、できればリフォームする、というようなことが必要でしょう。

 

アパートローンの動向まとめ

アパートローンというのは、賃貸ビジネスのために建物を購入するために資金を長期的に借入するもので、返済する原資が賃料収入になります。
住宅ローンとアパートローンの主な違いは、ここでご紹介したように、資金の用途は、住宅ローンの場合は自分が住むための不動産限定、アパートローンの場合は賃貸のための不動産、などというようなものがあります。
アパートローンの場合は、金融機関や案件によって条件が違うため、借入期間、返済方法、金利、金利固定期間、連帯保証人の有無、資金使途の範囲、担保の必要有無、繰り上げ返済の可否に違いが出て、大きな影響がビジネス計画にもあるので、トータル的にこのような項目を比べることが大切です。
アパート経営の場合は、空き室発生や賃料低下のリスクについて対策を考えておく必要があります。

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不動産トラブル弁護士ガイド 編集部

不動産トラブルに関する記事を専門家と連携しながらコラムを執筆中 ぜひ弁護士に相談する際の参考にしてみてください。 今後も不動産に関するお悩みやトラブル解決につながる情報を発信して参ります。

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